下郷 司 院長の独自取材記事
眞下草津医院
(草津市/草津駅)
最終更新日:2026/03/25
野村運動公園のそばの落ち着いた住宅地にある「眞下草津医院」。2021年に新築移転した院内は吹き抜けの待合室が明るく開放的で、すっきりとした空間が心地良い。院長を務める下郷司先生は、へき地医療への志から自治医科大学に進学。卒業後は県北部の診療所で5年にわたり訪問診療を含む地域医療に携わった。消化器外科を専門としながらも「その人を診ることを大切にしたい」と穏やかに語り、患者の生活背景にまで目を向ける丁寧な診療姿勢が印象的だ。気さくで優しい笑顔の先生のもとには、これまで打ち明けられなかった悩みを相談に訪れる患者も多いという。訪問診療にさらなる力を注ぎたいと語る先生に、地域医療への思いや今後の展望を聞いた。
(取材日2026年3月11日)
へき地医療への志を原点に、患者の暮らしに寄り添う
医師の道を志されたきっかけを教えてください。

中学生の頃に読んだ1冊の本がきっかけです。誰もいないへき地で医者になれたらいいなと、漠然と憧れを抱いたのが始まりでした。その思いを形にしたくて、地域医療を担う医師を育てる自治医科大学に進みました。1993年の卒業後は大津赤十字病院で初期研修を経て、滋賀県北部にある坂田診療所に赴任しました。そこで5年にわたりへき地医療に取り組み、乳児健診や予防接種、行政検診から訪問診療まで、年齢も症状も問わず幅広い診療を経験しました。当時は高齢者施設がまだ少ない地域でしたので、ほとんどが個人宅への訪問でしたね。地域の暮らしに入り込みながら一人ひとりを診たあの日々が、今の私の医療の土台になっています。
こちらのクリニックで診療されるようになった経緯をお聞かせください。
専門は消化器外科で、外科を選んだのは「答え合わせができる」面白さがあったからです。症状を一つずつ検討して、おなかを開けてみると実際どうだったのかがわかる。その過程に惹かれました。消化管の手術や抗がん剤治療にも携わりましたが、病院で外来診療を続ける中で、患者さんの生活に密着したことを見ていないと病気は治療できないのではないかと感じるようになりました。通院が難しくなった方をどう支えるかという課題にも直面し、もう一度訪問診療に取り組みたいと思ったんです。当院は早くから訪問診療に力を入れており、診療していた科も同じでしたのでご縁をいただきました。2018年から勤務を始め、2023年に院長を引き継ぎました。
クリニックの設計でこだわった点はありますか?

一番こだわったのは待合室の吹き抜けです。体調が優れないときに天井の低い空間で待つのは圧迫感がありますよね。少しでも明るく開放的な場所にして、気持ちが楽になるようにしたいと考えました。新築移転が新型コロナウイルスの流行と重なったこともあり、駐車場から直接入れる発熱患者専用の診察室を設けています。生活習慣病などで定期的に通われている方と発熱の方が同じ空間で待つのは避けたかったんです。院内の情報はデジタルサイネージで発信し、壁にあれこれ掲示物を貼らなくて済むようにしました。すっきりした空間のほうが気持ち良く過ごせますからね。バリアフリー設計で院内の移動もしやすく、入り口の広い駐車場は10台分を確保していますので、お車での来院にも便利です。
相談しにくい悩みにも応え、幅広い診療で地域を支える
診療で大切にされていることを教えてください。

来院される方の半数以上が70歳以上で、訴えとして最も多いのは生活習慣病の管理です。ただ、それに限らず幅広い症状の方がいらっしゃいます。中には肩を脱臼された方が来られることもあります。もしそのような場合、エックス線を撮った上で整形外科におつなぎするようにしています。地域の方の困り事を最初に受け止め、必要に応じて適切な医療機関にご紹介する、いわばコーディネーターのような役割ですね。診察では飾らず自分の人間性をそのまま出すようにしています。特別なことをしているわけではないのですが、これまでなかなか言えなかったことをここで話してくださる方が多いんです。一人ひとりのお話に丁寧に耳を傾けたいので診察が少し長くなることもありますが、時間帯予約を電話やインターネットから取っていただけますのでご活用ください。
消化器外科のご専門を生かした診療についてお聞かせください。
消化器外科の専門性を生かし、肛門外科も診療しています。人に相談しにくい、お尻のトラブルにも対応していますので、安心してお話しください。軽い症状であれば塗り薬や飲み薬で改善が見込めますし、生活習慣が深く関わる疾患ですので、日々の暮らしを見直すだけで手術が不要になることも期待できます。院内ではイボ痔をゴムで結ぶ処置などを行い、根治手術が必要な場合は連携先の病院をご紹介しています。患者さんの生活背景も踏まえ、その方に合う方法を一緒に考えるようにしています。胃の内視鏡検査では、ほぼ眠った状態で検査を受けていただくために、静脈内鎮静を取り入れています。外科で麻酔管理に携わった経験があり、鎮静中の安全には十分配慮しています。長年検査を避けてこられた方にも「よかった」と言っていただけたらうれしいですね。
検査や生活指導の体制についても教えてください。

生活習慣病の管理では食事の見直しが欠かせません。ただ、普段の食事でどれくらいの塩分を取っているかはご自身でもなかなかわからないものですし、それを詳しく説明するには外来の短い時間では足りないんです。そこで当院では管理栄養士による栄養指導を取り入れており、希望される方はどなたでも受けていただけます。検査面では、臨床検査技師が超音波検査装置を使って頸部や乳腺、腹部臓器、泌尿器系、宿便の有無、下肢動静脈など幅広い部位を調べています。体の状態を多角的に把握する上で欠かせない検査です。さらに循環器内科を専門とする医師が月に2回診療を担当しており、心臓や血管に関わる疾患にも対応できる体制です。さまざまな専門職と力を合わせて、患者さんの健康を支えています。
「その人を診る」を信条に、訪問診療の充実をめざす
在宅医療への取り組みについてお聞かせください。

当院は機能強化型在宅療養支援診療所で、24時間365日連絡が取れる体制を整えています。個人のお宅に加え、サービスつき高齢者住宅への訪問も行っています。通院が難しくなった方や、ご家族がお忙しくて連れてこられないという方にも、住み慣れた場所で医療を届けたいという思いで取り組んでいます。外科の経験を生かし、褥瘡(じょくそう、床ずれ)のケアやちょっとした外傷にも対応できるのは強みですね。産婦人科を専門とする女性医師にも週1回診療を担当してもらっており、在宅の高齢女性が抱えがちな婦人科系の悩みにも応じています。機能強化型在宅療養支援診療所として他の医師や病院と患者さんの情報を共有し、訪問看護ステーションや介護事業所とも連携しながらチームで支える体制を大切にしています。
今後の展望について伺います。
訪問診療の体制をさらに充実させることが今の一番の目標です。現在は私がほぼ一人で定期的な訪問を担っていますので、今後は2人体制を整えて、より安定した在宅医療を届けたいと考えています。訪問診療に関心のある医師や看護師に加わってもらえれば、患者さんへの対応の幅もさらに広がるはずです。外来についても、スタッフの接遇教育に力を入れています。年に1度は研修を行い、忙しいときにこそ、その忙しさを患者さんに感じさせないことが大切だと伝えています。受付に来られた患者さんがいるのに下を向いたままでいるようなことがあってはいけませんよね。基本的なことではありますが、こうした積み重ねがクリニック全体の雰囲気をつくっていくものだと思っています。
読者へメッセージをお願いします。

病気を診るのはもちろんですが、「その人を診る」ということを何より大切にしています。同じ病気でもお一人お一人生活の背景は異なりますし、そのバックグラウンドがわかれば治療の方針も立てやすくなります。体のことで気になることがあれば、些細なことでも構いませんので気軽にご相談ください。専門外の症状であっても、まずお話を伺った上で必要に応じて適切な医療機関におつなぎします。プライベートではジャックラッセルテリアという小型犬を飼っていまして、元気いっぱいのこの子との散歩が日々のリフレッシュになっています。患者さんに運動をお勧めする立場ですから、自分自身も体を動かさなければと思っています。滋賀県長浜市の出身で幼い頃からスキーに親しんでおり、今でも年に数回スキーを楽しんでいます。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃の内視鏡検査/1万5490円~

