柳原 琢磨 院長の独自取材記事
ハートフル歯科・矯正歯科
(広島市佐伯区/佐伯区役所前駅)
最終更新日:2025/01/31

広島市佐伯区にある「ハートフル歯科・矯正歯科」は、広島市出身の柳原琢磨院長が2011年に開業した。コイン通り商店街や広島市立五日市小学校など、住民の生活拠点にほど近い立地であることからも、地域に根差した歯科クリニックとして親しまれている。同院では、虫歯治療からホワイトニングまで歯科診療全般に対応するが、柳原院長が大学院での研究や広島県内の歯科医院での臨床で培った専門性を生かし、歯周病治療と矯正歯科を診療の2本柱としている。「どんな治療にも歯の土台が大事」と、歯周病を専門分野に選んだ柳原院長。しっかり目線を合わせて、一つ一つの質問に丁寧に答え、専門的な話題もわかりやすく説明するインタビューでの姿勢からも、患者との信頼関係を何より大切にするという柳原院長の誠実な人柄が伝わってきた。
(取材日2024年12月5日)
外科手術など専門的な歯周病治療で、歯の土台を守る
歯周病治療がご専門だそうですね。

はい。例えばきれいで丈夫な義歯を入れたとしても、土台がしっかりしていなければ何年かしたら取れてしまうかもしれませんよね。歯を支える歯茎を健康に保つこと、つまり歯周病治療こそ歯科治療の基本と考えて専門に選び、広島大学卒業後は、広島大学病院歯周診療科で臨床経験を重ねつつ、大学院で歯周病の病態に関する研究に没頭しました。その一方で、アルバイト先の歯科クリニックの先生が勉強熱心で、幅広い診療に対応している姿を見て、将来開業をめざすのもいいなと思い始めたんです。大学院修了後は開業を視野に入れ、県内の歯科クリニックで勤務医として診療に励みました。その中で外れたブラケットを装着するなど、矯正歯科にも携わる機会があり興味を抱き、全国各地の勉強会へも足を運んで勉強しました。当院では、これまでに培った知識と技術を生かし、歯周病治療と矯正を診療の2本柱としています。
歯周病予防には日々のセルフケアが重要ですか?
口の中を清潔に保つことは、虫歯や歯周病予防の基本です。ただ、セルフケアだけではどうしても歯周病の原因になるプラークや歯石を完全に取り除くのは難しいので、定期的に歯科医院でクリーニングをしていただきたいです。歯科衛生士が超音波装置や手用器具を用いて、ご自身では落としきれないプラークや歯石の除去を図ります。その際に、歯磨き指導や唾液検査での口内環境の分析も可能です。唾液を採取した5分後には、どのような菌が口の中に存在するかわかり、虫歯や歯周病のリスクを判断できるので、それに基づいたケアを提案いたします。また、噛み合わせも重要です。例えば、歯を食いしばる癖があるなど、歯茎に負荷がかかると歯周病の進行を早めるからです。当院では噛む力を測定する機器により、力の強さやバランスをチェックするなど、噛み合わせも含め口の中をトータルで診察し、歯周病の予防・治療に取り組んでいます。
先生の専門性を生かした歯周病の具体的な治療方法を教えてください。

進行してしまった歯周病は、歯石やプラークを除去しただけでは治りません。場合によっては歯の土台の歯槽骨が溶けたり、歯茎の状態が悪くなってしまい、外科的な治療が必要になることもあります。歯周外科手術には、大学病院で専門的な治療に携わった経験が生かされていると思います。例えば、フラップ手術。歯と歯茎の間の溝にプラークがたまり、細菌による炎症が起きて溝が深くなったものを歯周ポケットといい、歯周病の原因になります。フラップ手術では、歯茎を切開して歯周ポケット内の歯石の除去を図り歯根をきれいに掃除し、縫合します。また、歯周病で失われた歯周組織を再生するための治療にも対応しています。フラップ手術により歯周ポケット内を掃除して、縫合前に組織を再生するための薬剤を注入するというものです。当院では、保険適用の薬剤を用いた治療を行っています。
子どもから高齢者まで幅広い世代の矯正に対応
2本柱の一つである矯正歯科についてもお聞かせください。

顎に永久歯が生えるスペースがしっかりと確保できていないと、歯並びが悪くなる原因になります。永久歯が生えそろう前のお子さんには、取り外し式の装置を用いて、歯を支える骨の幅をゆっくりと広げるための床矯正を行います。さらに、部分矯正や口の周りの筋肉などの訓練であるMFTも実施し、複合的な方法でお子さんの口腔にアプローチしています。永久歯が生えそろった後の年代の患者さんには、主に以前から力を入れているブラケット矯正を実施しますが、ニーズの高まりにより、適応するケースではマウスピース型の装置を用いた矯正も行うようになりました。矯正を希望される方は多く、お子さんや若い世代だけでなく、上は70代の患者さんも。年代が高い方は、加齢で歯茎が下がったことで歯並びの変化やがたつきを感じて受診されることが多いため、まずは歯周病のケアをした後で矯正に着手することになり、歯周病と矯正の2本柱の診療が役立っています。
院内設備とその活用方法をお聞かせください。
画像診断には、エックス線だけでなく、歯周病治療などで3次元的に骨の状態を確認できるCTを備えた複合装置を導入しています。また、歯周病や根管治療などの精密な診療には、歯科用顕微鏡が欠かせません。歯周外科の手術にも使用します。位相差顕微鏡という、染色せずに生きたまま細菌などを観察できる特殊な顕微鏡も備えています。歯科衛生士が除去したプラークを観察し細菌の状態を調べるのですが、患者さんご自身にお見せすることもあります。細菌は生きていますから、結構動き回りインパクトは大きく、「こんなものが口の中にいるのか」という驚きから治療へのモチベーションにつながればと思っています。治療する過程での細菌の様子も見られますよ。
先進の機器に加え院内はとてもきれいで、開業から約14年経過しているとは思えません。

クリニック名が「ハートフル」ですし、心温まる雰囲気にしたいと考え北欧風の明るい内装にこだわりました。長年きれいなままなのは、スタッフの掃除の手が行き届いているおかげですね。スタッフは、「患者さんの心にも寄り添う」という当院のフィロソフィーを理解し、実践してくれています。親しみやすく、気軽に、安心して受診できる歯科クリニックにしていくために、スタッフの存在はとてもありがたいですね。
患者の目を見て話し、信頼関係を築く
診察で心がけていることを教えてください。

診察の際にはしっかり患者さんの目を見てお話をしています。私は幼少期から健康で医者いらずで育ち、唯一お世話になった歯科医師の先生にとても良くしていただいた体験が歯科医師をめざすきっかけになりました。だから自分も患者さんに寄り添いたいと考えています。医療で最も大切なのは、患者さんと信頼関係を築くことだと考えます。患者さんが信頼を寄せてくれているかどうかで、同じ治療をするにも受け止め方も変わってくると思いますし、相談のしやすさも左右すると思うんです。信頼関係が築けていれば、医療者側も患者さんが何か言いたいことがあると察知して、問いかけることもできます。その他、歯科衛生士に処置をお願いする場合も、まずは私から患者さんに話をしたり、資料を用いてわかりやすく説明したりするなど、コミュニケーションの方法にも工夫を凝らしています。
休日はどのように過ごしていますか?
正直に言うとクリニックで仕事をしていることも多いですね(笑)。そうはいっても、たまには読書や音楽鑑賞を楽しんだり、愛犬の散歩もしています。診療日は忙しく、神経も使う仕事ですから、オフタイムは気持ちを切り替え、リラックスするようにしているんです。
今後の展望をお聞かせください。

クリニックの規模を拡大するよりも、より専門性を深めていきたいと考えています。診療に必要な知識や技術のアップデートを図るとともに、研究も続けていきます。診察の際に許可を得た患者さんの唾液を採取し、口腔内の菌叢(きんそう)を調べたり、噛む力を測り治療前後で比較したりするなど、診療しながらデータを蓄積しているので、もしかしたら今後の研究発表につながるかもしれません。診療をする中で、矯正を受けられた患者さんが気持ちも前向きになりメイクを楽しまれていたり、歯周病治療中の患者さんがプラークを観察してその経過に目を輝かせたりしてくださったら、大きなやりがいになるなと希望を抱きながら患者さんに向き合っています。これからも当院の診療理念に共感してくれるスタッフとともに、信頼を寄せてくださっている患者さんにより良い診療を提供し、喜んでいただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはマルチブラケット矯正/60万円~、部分ブラケット矯正/30万円~、小児矯正(床矯正、MFT)/34万円、マウスピース型装置を用いた矯正(部分)/45万円~、ホワイトニング(ハイブリッド)/5万円~、ホワイトニング(ホーム又はオフィス単独の場合)3万円