藤原 裕矢 院長、藤原 智子 副院長の独自取材記事
ふじはら内科クリニック
(福津市/東福間駅)
最終更新日:2025/04/28

JR鹿児島本線・東福間駅から徒歩1分。福岡県福津市若木台にある「ふじはら内科クリニック」は、生活習慣病を中心に専門性を要する診療を提供するとともに、患者一人ひとりの背景や感情にも寄り添うことを心がけている。糖尿病、内分泌、呼吸器疾患を専門とする院長の藤原裕矢先生は、「生活習慣病は、単に診察や患者さんの行動の制限をするだけでは十分ではありません。患者さんがなぜその生活を続けてしまうのか、背景やストレス要因にも目を向けながら、一歩ずつ改善できるよう支えたいですね」と語り、総合的な視点で患者を診ることを大切にしている。副院長の藤原智子先生も心療内科での経験を生かし、患者の心のケアにも重点を置く。裕矢院長と智子副院長に、開業の経緯や診療のこだわり、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2025年3月13日)
糖尿病・内分泌の専門家としての専門的医療
裕矢院長のご経歴と専門分野について教えてください。

【裕矢院長】広島大学卒業後、九州大学病院、また九州大学大学院、福岡徳洲会病院などで糖尿病・内分泌診療を学びました。そしてその後誠和会牟田病院にて、九州大学第3内科、福岡大学内分泌糖尿病内科の諸先生方より臨床・研究のご指導をいただいたことが、糖尿病・内分泌の専門家としての礎となりました。一方で、日本・モンゴルでの動脈硬化や骨粗しょう症と生活習慣に関する研究にも携わったり、メタボリック症候群と性ホルモンに関する研究により博士号を取得し、呼吸器専門病院や北米型ERを持つ救急病院、地域密着型病院での勤務経験を経て、専門性と総合診療を兼ね備えたクリニックを志すようになりました。
智子副院長のご経歴と専門分野を教えてください。
【智子副院長】長崎大学卒業後に、九州大学病院や関連病院などで心の健康と体の健康の関わりについて学びました。その後、結婚・出産を契機に、健診業務を専門とする福岡労働衛生研究所に勤務。予防医学の大切さについて学びました。子どもたちが成長し、再び本格的に医療に携わることを考え始めた頃、夫が開業を決意。最初はサポートとして関わるつもりでしたが、クリニックを支えるべく勤務することにしました。糖尿病などの生活習慣病では特に、薬による治療だけでなく、患者さんの日頃の食生活、運動習慣によって改善が期待できるものです。幸い、前職の健診業務にて食事指導、運動指導のノウハウを培ってきましたので、その経験を診療に生かしたいと思っています。
開業のきっかけや、この地域に対する印象を教えてください。

【裕矢院長】病院勤務では、高血糖緊急症、1型・2型糖尿病の教育入院や合併症管理、バセドウ病・橋本病、原発性アルドステロン症、クッシング病など、内分泌疾患の専門的検査・治療を経験しました。一つの病院に長く勤務したことで、患者さん一人ひとりのライフイベントと病気との関わりの重要性や地域とのつながりの大切さを実感し、医師としてのやりがいが深まる中で、次第に開業を志すようになり、福岡市内での開業も検討しましたが、すでに医療機関が多く、患者さんとの距離が近い地域医療をめざせる場所を探していたところ、福津市での事業継承の話をいただきました。福津市は自然が豊かで利便性も高く、住民の方々も温かい印象があります。私は広島出身ですが、生まれ育った地域と似た雰囲気があり、なじみやすさを感じました。ここで、一人ひとりとじっくり向き合う診療を続けていきたいと考えています。
地域に密着した総合的医療
医院継承に伴い受け継いだところ、変更したところはありますか?

【裕矢院長】前院長が長年にわたって築かれた地域との信頼関係を大切にしながら、診療の幅を広げるため設備面の強化を行いました。もともと生活習慣病を中心とした診療が行われていましたが、当院では糖尿病や内分泌疾患、呼吸器疾患の診断・治療にも力を入れています。具体的には、院内での検査体制を充実させるため、糖尿病の合併症を詳しく評価できる機器や甲状腺の診断に必要な設備を導入しました。これにより、より精密な診断と早期対応が可能になりました。また、病診連携を強化し、必要に応じて速やかに専門医療機関へつなげる体制を整えています。
糖尿病・生活習慣病の治療で、特に大切にされていることは何ですか?
【裕矢院長】糖尿病・生活習慣病の治療では、単に数値を改善することだけを目的にするのはなく、患者さんの背景や気持ちに寄り添いながら、無理なく続けられる方法を一緒に考えることを大切にしています。例えば、糖尿病の患者さんは「食事や運動が大事」と頭では理解していても、生活環境やストレスによって思うように実践できないことが多いものです。そのため、診察では生活スタイルや食習慣、仕事や家庭の状況まで伺いながら、一人ひとりに合った改善策を提案します。「食べてはいけない」「運動しなければならない」と厳しく制限するのではなく、「どこまでなら続けられそうか」「まず何から始めると負担が少ないか」を話し合いながら進めることが大切です。小さな成功体験を積み重ね、前向きに治療に取り組めるようサポートしています。
クリニックの設備や、診断・治療のために導入されている機器について教えてください。

【裕矢院長】より精密な診断と迅速な治療を提供するために、院内の検査機器を充実させています。糖尿病の診療では、血糖値やHbA1cを確認するだけでなく、合併症の早期発見が重要です。そのため、神経障害や血管合併症のリスクを評価できる機器を導入し、より詳細な診断が可能な体制を整えました。また、甲状腺疾患の診断にも対応できるよう、エコー機器を入れ替え、より細かく評価できるようにしています。呼吸器疾患に関しても、肺機能検査や睡眠時無呼吸症候群の簡易検査を実施し、症状に応じた適切な治療を提案します。さらに、生活習慣病の診療では、定期的な検査を通じて患者さんの状態をしっかり把握し、長期的な健康管理をサポートできる環境を整えています。
病気だけでなく人を診る「全人的医療」
「for others, with others.」という言葉に込めた思いをお聞かせください。

【裕矢院長】この言葉には、「患者さんに寄り添いながら、一緒に健康を支えていく」という思いを込めています。医療は、医師が一方的に提供するものではなく、患者さんとの信頼関係の中で成り立つものです。治療方針を押しつけるのではなく、一人ひとりの生活や価値観を尊重しながら、一緒に最適な道を探っていくことが大切だと考えています。また、この姿勢は患者さんとの関係だけでなく、スタッフ同士や地域医療の連携にも共通しています。私たち医療者も決して1人ではなく、チームとして支え合うことで、より良い医療を提供できるのです。そうした「支え合う医療」の実現をめざし、この言葉を理念として掲げています。
患者さんとの向き合い方や診察時に心がけていることを教えてください。
【裕矢院長】診察では、患者さんの訴えにしっかり耳を傾けることを大切にしています。特に生活習慣病の治療は、単に数値を管理するだけでなく、患者さんの生活や気持ちに寄り添いながら進めることが重要です。そのため、検査結果の説明だけでなく、日常の悩みや困り事についても話しやすい雰囲気をつくるよう心がけています。
【智子副院長】心療内科の経験を生かし、患者さんの不安に寄り添うことを意識しています。体の不調だけでなく、ストレスや心の問題が生活習慣に影響を与えることも多いため、対話を通じて気持ちの整理をお手伝いすることもあります。診察を通じて「話を聞いてもらえて安心した」と感じてもらえるよう、患者さんとの関係を大切にしています。
今後、クリニックとしてめざしていきたいことや取り組みたいことはありますか?

【裕矢院長】糖尿病や甲状腺疾患、呼吸器疾患の専門的な診療を充実させ行いながら、生活習慣や食事などの療養支援にも丁寧に取り組みたいと考えています。安定した生活習慣病に対してはオンライン診療も活用し、通院の負担軽減にも努めながら、地域の皆さんが気軽に相談できるクリニックをめざしていきたいですね。
【智子副院長】健康や予防についても気軽にご相談いただけるよう、対話を大切にしながら一人ひとりに寄り添った診療を行い、地域に根差した医療を提供していきます。