徳井 幹也 理事長の独自取材記事
徳井内科クリニック
(横浜市西区/横浜駅)
最終更新日:2025/02/13

横浜駅西口から徒歩4分の好立地にある「徳井内科クリニック」。広々とした待合室は清潔感があり、落ち着いた雰囲気で、待ち時間もリラックスして過ごすことができそうだ。理事長の徳井幹也先生は、日本糖尿病学会糖尿病専門医の資格を有し、横浜市立市民病院での勤務を経て2004年に開業した。診療内容は、一般内科から糖尿病や生活習慣病、甲状腺や内分泌疾患、消化器内科、循環器内科まで幅広く、胃内視鏡検査も実施している。生活習慣病のエキスパートである医師が複数人常駐する同院。同じ志を抱く医師4人が集まる同クリニックの特徴や診療方針について、徳井理事長に聞いた。
(取材日2024年10月1日)
専門的なチーム医療で生活習慣病の患者をサポート
クリニックの特徴を教えてください。

常勤の医師は4人います。私を含めた3人が糖尿病など生活習慣病を専門としていて、もう1人は消化器を専門としています。2004年に開業し、2008年には関内に分院ができました。当院の患者さんは生活習慣病の方が約7割、うち糖尿病の方が6~7割です。かつて糖尿病を診る外来は60代、70代の方が中心でしたが、近年は20代の方もいますし、30代や40代になると相当数の患者さんが通院されています。若い患者さんには、肥満を伴いながら脂質異常症や高血圧症も見られるなど、いくつかの病態が相まっているメタボリック症候群が多い印象です。若年層が増えたことは、食生活の欧米化に加え、皆さんが会社や自治体の健診を受けるようになってきたことで、早期発見が進んだ結果だとも考えられます。
生活習慣病を専門とする先生が3人もいらっしゃるのですね。
はい。4人で定期的に顔を合わせて、患者さんのことや、糖尿病の薬についてどんなところが良いのか、どんな人に向いているのかなどを話し合って、情報を共有しています。なぜなら、糖尿病は世界中に多くの患者さんがいて、新薬がどんどん開発される領域だからです。当院を開業した20年前と比べても、糖尿病の薬の数は驚くほど増えています。薬の有用性はそれぞれ違いますし、もちろん値段も異なります。そのため、治療や投薬のノウハウとメソッドを持つ専門家がいることはクリニックの強みになりますね。医療業界では、さまざまな病気において治療法が確立されていて、医師はエビデンスに基づいたガイドラインをもとに治療するのが一般的です。ある意味治療が画一的になる中で、当院では患者さん一人ひとりの生活のリズムや経済状況を踏まえて、一様に同じような薬を使うのではなく、生活改善の方法や扱う薬について患者さんと相談しながら決めていきます。
生活習慣病のエキスパートに、生活改善や薬について相談できることは患者さんにとって心強いですね。

医師同士はもちろん、当院にいる管理栄養士や糖尿病の療養指導を専門的に学んだ看護師とも情報を共有することで、患者さんへの理解を深めています。管理栄養士は栄養指導の際、20~30分かけて患者さんから日々の生活について話を聞き、生活リズムや食事の状況、運動量について改善すべきところがあれば指摘します。看護師は採血室や手が空いていれば待合室で患者さんと話をします。そうした中で、ご本人の近況だけでなく、「今はお父さんが認知症で大変」などの、患者さんの家庭環境や周りの状況についても知ることができます。より詳しい情報が得られると、患者さんが努力しているのに数値が改善しない理由が見えてくるなどして、「じゃあ、違うタイプの薬を追加してみよう」などと一歩踏み込んだ治療ができるようになるのです。
精密な測定装置を導入し、採血した当日に結果を報告
診察する時、先生が意識していることは何でしょうか?

押しつけの医療ではなく、患者さんの気持ちを優先する医療を提供することです。生活改善すべきことがあっても、その患者さんにとって難しいことならば、こちら側が譲歩する。数値が改善しない場合に画一的な措置を取るのではなく、この患者さんにはどういうアプローチがいいのかと考える。糖尿病はずっと向き合っていかなければいけない病気であり、長い年月の中で患者さんには変化が訪れます。運動をすごく頑張っていた方が腰や膝を悪くして歩けなくなったり、同じ生活をしていても年齢を重ねることにより、膵臓の力が衰えたり、血糖値の数値が悪くなったり。ですから、一人ひとり治療のアプローチが異なるのはもちろん、一人の患者さんに対する治療も、状況によって変えていかなければなりません。そうした時に、都度、今の患者さんにできることは何かと新たな道を探すようにしています。
クリニックの設備について教えてください。
血液検査でHbA1cという項目をチェックできる機材を配備しています。糖尿病の検査でしか使わないので、一般の内科クリニックで置いているところは少ないかと思います。当院ではこだわりを持って基幹病院と同じレベルの機材をそろえ、HbA1cを迅速に、かつ精密に調べることができます。採血した日に結果がわからないと、再度受診が必要になります。当院では採血すると、その日のHbA1cの数値をすぐに、しかも精密にお伝えできて、なおかつ前回と比べた状況も適切にお伝えできます。患者さんは、わずかでも数値が変化すると喜んだりもっと頑張ろうと意気込んだりしてくださるので、精密な数値を提供することが、治療を続けるモチベーションになるために、必要であると思っています。
血液検査の他、胃内視鏡やエックス線、超音波など、さまざまな検査も行っているそうですね。

はい。当院の患者さんは大方生活習慣病なのですが、その方たちの健康を総合的に診て差し上げたいと考えているので、症状のある方には、ある程度の検査ができるように機材をそろえています。生活習慣病を頑張って改善につなげても、がんで亡くなる方は大勢います。人間の死因にはさまざまなものがありますが、死に至る多くの要因は、生活習慣病によって血管が詰まってしまうこととがんに罹患すること、この2つなんです。生活習慣病に関しては専門家として診察していきますが、がんは検査で見つけるしかありません。なお、内視鏡検査は、当院に在籍している日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の医師が担当します。
開業20年の実績を糧に今後も地域医療に貢献していく
生活習慣病の予防において大切なことは何ですか?

ほったらかしにしないことでしょうか。健康診断を受けて、何かの項目で基準値を超える、または超える一歩手前の数値が出たら生活習慣を見直しましょう。何もせず放置しておくと状況が悪化する恐れがあるので、早めに体調を元の状態に戻すべきです。ジムで運動するなどご自身で対処できる方は受診する必要はないのですが、そういう方はごく一部で、誰かに見てもらったり、相談に乗ってもらったりすることで頑張れる人のほうがとても多いと思います。運動しているのに体重が減らないとか、数値が年々上がってきているとか、心配なことがあれば医療機関に足を運んで相談してください。
2024年で開業20年となります。これまでを振り返って、どのようなことを感じますか?
開業前は横浜市立市民病院で内科副医長を務めていました。当時は毎日多くの患者さんの診療にあたり多忙だったので、患者さんと向き合う時間を増やしたいと思い開業しました。しかしありがたいことに当院にも多くの患者さんが通院してくださって、当初忙しさはあまり変わらなかったんです。そこへ船江修先生が来てくれて2人体制になり、さらに宮本和則先生、消化器を専門とする是木茂幸先生が加わり、現在の4人体制となりました。今では患者さんといろいろなお話をして深く向き合う医療ができるようになったと自負しています。患者さんの中には、私が市民病院に勤めていた時を含めて25年以上お付き合いしている方もいらっしゃいます。ありきたりですが、患者さんやそのご家族から感謝の言葉をいただいた時には、医師として一番のやりがいを感じています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

開業20年を一つの節目として、来院する方が元気に、笑顔で、長く健康を維持できるように、心新たに歩んでいきたいと思います。患者さんに寄り添う医療を提供することをポリシーとし、同じ希望を抱いてくれている医師たちと力を合わせて、今後も地域医療に貢献していきたいです。医療機関を怖いところだと思っている方がいるかもしれませんが、相談しに行くくらいの気持ちで気軽に受診していただければうれしいです。