高田 剛資 院長の独自取材記事
たかだ耳鼻咽喉科・小児科クリニック
(枚方市/樟葉駅)
最終更新日:2025/04/10

子どもの体調が優れず、大変な思いをしながら耳鼻咽喉科と小児科の両方を受診した経験のある保護者は多いだろう。京阪本線樟葉駅から南へ歩いて3分、「京阪くずはメディケアモール」内にある「たかだ耳鼻咽喉科・小児科クリニック」の高田剛資(つよし)院長は、このような親子のニーズをくみ、2010年に両科を併設したクリニックを開設。小児科の医師である妻とともに、優しい笑顔でわかりやすい説明と苦痛に配慮した診療を提供している。ほとんどの患者がクチコミで訪れるなど、地域の子育て世代からの支持も厚く感じる。自身も子育て中、また「趣味を通じて、医師ではなく素のままの自分を保ち続けたい」という明るく気さくな高田院長から話を聞くほどに、受診している親子がうらやましく思えた。
(取材日2018年3月14日)
「保護者の味方」として、耳鼻咽喉科と小児科を併設
耳鼻咽喉科と小児科の併設という、珍しいスタイルのクリニックですね。

私自身は耳鼻咽喉科の医師ですが、勤務医であった頃から、小さな子どもを育てるお母さん方に病気の子どもを連れて複数のクリニックを受診する大変さをお聞きしていました。そこで、小児科の医師である妻とこのクリニックを立ち上げたのです。患者さんの大半は未就学児ですが、耳鼻咽喉科・アレルギー科では大人も診察しています。受付は共通で、どちらを受診すれば良いかわからなくても、受付スタッフに相談してもらえれば適切にご案内しますし、両科の診察を続けて受けてもらうこともあるなど、症状に応じて柔軟に対応しています。電子カルテを導入しているので、患者さんの情報は両科で瞬時に共有できますから、同じ説明を繰り返してもらう必要もなく、親御さんの手間もかなり軽くなっていると思います。
どのような症状で受診される患者さんが多いですか?
耳鼻咽喉科ではアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎のお子さんが多く、アレルギー性鼻炎では喘息を合併してしまう場合もあり、アレルギー疾患は国民病であることを痛感しています。これらの鼻炎に対しては一般的な対症療法のほか、慢性副鼻腔炎では内視鏡手術、アレルギー性鼻炎では高周波を使った粘膜焼灼手術を日帰りで行うこともできます。高周波であれば1回の焼灼でも症状の緩和や持続性が期待でき、痛みも軽く、手術時間も片鼻10分程度で済みますので、患者さんの負担は軽くなると思います。また、アレルゲンに対する舌下免疫療法にも少しずつ取り組んでいます。小児科では一般的な小児科疾患のほか、予防接種も積極的に実施しています。
クリニックモール内、あるいは地域の病院との連携はありますか?

当クリニックのある「京阪くずはメディケアモール」内には、現在8つの医院があります。耳鼻咽喉科関連では、例えば耳鳴りなら脳神経内科、頸椎の違和感なら整形外科、胃酸逆流による喉の不快感なら内科のクリニックへ、また小児科で相談が多い皮疹は皮膚科へ、必要に応じてご紹介しています。各クリニックはその道のスペシャリストが開業されていますので、安心して助けていただいていますね。また1階にある画像診断クリニックへは当日の撮影も依頼できますので、患者さんの時間的な負担も少なく、診断までスピーディーに進められます。それから先ほどの舌下免疫療法については、万が一ショック症状が出れば、関西医科大学でバックアップしてくださるという病診連携もあります。これらに限らず、 枚方は病診連携、診診連携が盛んで、地域や病院の先生方とも非常に仲良くさせていただいていますので、われわれにも患者さんにも恵まれた環境だと思っています。
わかりやすさ、安心感、笑顔を大事にする診療
耳鼻咽喉科の日々の診療では、どのようなことを心がけていますか?

最も大事なのは、患者さんに今の体の状況を理解していただき、それに対してどのようにアプローチするのか、自分の問題として考えてもらうこと。ですから時間はかかりますが、特に初診では内視鏡の映像などもモニターで見てもらいながら、できるだけわかりやすく具体的に説明しています。医師に言われたから、ではなく、患者さん自ら治療に取り組むことが大切なんですね。また、お子さんの治療では声を荒げない、極力痛い思いをさせないよう徹底しています。できれば短時間で、楽しくニコニコ笑いながら診療をしたい。ですから採血や点滴などは本当に必要最低限しか行いませんし、スタッフも育児経験のある女性で、やわらかい雰囲気でお子さんに接してくれています。
ご夫婦で別の科を担当される利点やメリットを教えてください。
小児科の医師と耳鼻咽喉科の医師では視点が違うので、それぞれが積んできたキャリアに基づいて患者さんの症状を広く検討することができますし、気になることがあれば相談できる、それが一番大きいですね。耳鼻咽喉科では現在の病態や症状の改善が中心になりますが、小児科の医師、特に内分泌や成長を専門とする妻は、患者さんの5~10年後を想像しながら長い目で診療しています。先々を考えながら手を打つというアプローチを提案してくれますので、子どもに対する捉え方の深さには、刺激を受けることも多いですね。当クリニックで予防接種に積極的に取り組むのも、同じ理由からです。
耳鼻咽喉科では、大人の患者さんも診てもらえるのですね。

ええ、よく「子ども専門ですか」と問い合わせがありますが、耳鼻咽喉科では、もちろん大人の方も診察しています。お子さんと一緒に通院するお母さんも多いですよ。また最近では、睡眠時無呼吸症候群に対する治療も行っています。CPAP療法といって、寝ている間に装置を使って気道に空気を送り続けるのですが、鼻詰まりがあるとその効果が得られません。睡眠時無呼吸症候群の患者さんは内科や循環器科を受診することが多いのですが、耳鼻咽喉科では、鼻の状態をサポートしながらCPAP療法を継続できるというメリットがあります。最近では検査機器の精度も向上し、当クリニックでも診断から治療まで行えますので、気になる方はご相談いただければと思います。
「先生」ではなく一人の人間として患者と向き合う
なぜ耳鼻咽喉科の医師を志したのですか?

私は、中校生の頃から弓道を始め、武道家になりたいと思うほど熱心に取り組んでいました。弓道を続けている方には医師が多いと聞き、体に詳しくなれば弓道も上達するのではないかと考え、志したのが最初です。医学部では法医学者になるつもりで、監察医にも関心があったのですが、教授からはせっかく医師になるのだからと臨床を勧められました。また学生時代には、ボランティアとしてパキスタンへ行き、ヨウ素が不足して甲状腺腫が多い地域の住民にヨードを添加した塩を配布するという活動もしていました。そんな経験もあり、頭頸部を含めた部位を、診断から治療、手術まで自分の手で行える科として、耳鼻咽喉科を選んだのですね。私はいろんなことに関心を持つタイプですので、過去のさまざまな出会いや経験が、現在の仕事につながっていると感じています。
では、ご趣味の弓道は今も続けていますか?
はい、忙しい毎日ではありますが、周囲の理解もあり、現在も週に2~3回は弓道場に通って稽古をしています。医師というのは特殊な職業で、医師免許を取れば若くても周囲からは先生と呼ばれてしまいます。また、忙しい仕事ですので職場にいる時間が長く、先生と呼ばれ続けることで、何かを勘違いをしてしまいがちです。しかし、道場に行けば職業に関係なく皆さん同じ、いち弓道人ですので、本来の自分、素のままの自分を取り戻す大事な時間になっています。ですから私は若い医師にも、「先生」ではなく一人の人間として参加できる趣味を持つことを勧めているんですよ。
最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。

今の時代、インターネットで調べれば病気の情報はいくらでも手に入りますが、個人的な体験談も多く、集めた情報がすべての方に当てはまるわけではありません。また現在の医学は基本的には西洋の学問ですので、エビデンス(科学的な根拠)に基づいた診断や治療法が行われますが、人には個人差があり、そこから外れたレアケースも多いのです。だからこそ、1人で思い悩むのではなく、相談だけでも構わないので受診してほしい。叱られると思って医師を遠ざけるのは、もったいないことです。また、妻は母親でもありますので、お母さんの気持ちに寄り添ってお話ししています。子どもの病気や子育てに悩んでいるお母さん方には、ぜひ来ていただきたいですね。