安岡 高志 院長の独自取材記事
YMメトロクリニック
(大阪市中央区/日本橋駅)
最終更新日:2024/07/11

大阪を代表する繁華街の中でも数多くの飲食店が立ち並び、古くから活気のある町として栄えてきた宗右衛門町。そんなエリアで働く人たちの健康を支えているのが「YMメトロクリニック」だ。突発的なケガや体調不良の際も駆け込めるよう夜10時まで診療しており、診療内容も患者のニーズに寄り添ったものが多い。安岡高志院長は患者との関係構築を大切に考え、丁寧な説明や対話に注力。診断時には循環器出身の医師としての経験も生かす。勤務医時代とは大きく異なる環境で安岡院長が日々何を思い、どのような医療を提供しているのか詳しく聞いた。
(取材日2024年6月25日)
繁華街で働く人の医療ニーズに応え、夜10時まで診療
夜10時まで診療されている珍しいクリニックですね。

当院は、大阪の「ミナミ」と呼ばれる繁華街の中でも割烹・飲食店が多い宗右衛門町にあります。ここに定住している人は比較的少なく、働きに出てくる人たちによって活気づくのが昔からの特徴です。そのため地域に根差したクリニックのように、午前中に近所の方が受診することはほとんどありません。むしろ午前中は人通りが少なく、逆に夜間は多くの人でにぎわいますので、ここで働く皆さんが気軽に立ち寄れるよう午後2時から夜10時という遅めの時間帯に診療しています。出勤前にいらっしゃる方はだいたい夕方6時まで、また出勤中でも体調不良で診てほしいという方や、飲食店での調理中にケガ・やけどをした方などが受診されますね。
医院の診療体制を伺います。
医師は私を含め計3人で、私は水曜と金曜以外、ほかの医師たちは私の不在時に診療するという形で分業しています。協力していただいている先生はいずれも内科全般に専門的に対応できますので、いつ受診してもトータルな治療を行える体制が整っています。また最近の傾向として、インバウンドの影響で海外からの患者さんが大幅に増加しています。当院の近くにあるホテルからも診療の相談が増えているため、翻訳機を活用し、英語のみならず中国語や韓国語などでの会話や東南アジアの患者さんへの診療にもできる限り対応している状況です。一方で院内での診療のほか、法人が運営している介護施設に週に2回ほど、午前中の訪問診療も実施しています。一般的な開業医としての医療と在宅医療の2本柱で、トータルするとほぼ1日中何かしているといえますね。
診療内容や、よくある主訴について教えてください。

当院は内科・外科・皮膚科・循環器内科を扱っており、風邪やちょっとした不調であっても遠慮せず相談できる間口の広いクリニックです。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したこともあり、発熱症状の患者さんに対しても通常と同様に検査・治療をいたします。患者さんからはなかなか血圧が下がらない、糖尿病をうまくコントロールできない、女性の方だと肌荒れやニキビといったお悩みをよくいただきます。加えて地域柄、ストレスによる不眠や不安障害も若い女性に多いですね。心療内科のように踏み込んでお話を聞くことはできませんが、ストレス軽減に重要な睡眠をより良い状態で取れるよう、状態を見極めた上で睡眠導入剤をお出しすることが可能です。そのほか、ヘルペスや梅毒の患者さんも近年増加しています。相談しにくい病気ではあると思いますが、お越しいただければ性感染症検査や治療はもちろん、今後の予防もお手伝いさせていただきます。
生活事情を理解しているからこそ通院・継続を重視
特に注力している治療はありますか?

このエリアで働く方たちは、職業柄どうしても生活習慣が不規則になります。従って飲酒履歴の多さからくる肝機能障害に陥りやすく、喫煙者の割合も高く、ストレスもたまりやすい仕事だからこそ心疾患のリスクも決して小さくありません。そして高血圧・糖尿病・脂質異常症の3つを抱えている方が多いことを受け、当院では生活習慣病の治療に力を入れています。まずは検査の数値をご説明した後、毎日の生活リズムや喫煙の有無、外食の頻度などその方の習慣についてヒアリングします。その際、食生活を改善できそうかどうかもしっかり確認し、できそうなら1ヵ月ほど様子を見る、難しそうであれば内服治療を開始するのが基本です。飲食は職業として必要な部分も大きいため、実現可能性を考えながら無理なく治療を進めています。
生活習慣病の患者さんと接する上で大切にしていることはありますか?
一般的な規則正しい生活と真逆のスタイルは変えることができず、さらに飲食、喫煙、外食、睡眠不足が常につきまとうため、そもそも食事だけでは改善が期待できないのが実状です。その中で私が大切だと考えているのは、定期的な通院と治療継続。コミュニケーションがうまくいっている患者さんのほうがちゃんと来てくれると思いますので、とにかく丁寧な説明と同意、会話を心がけています。そして内服薬によるサポートを根気強く続け、少し数値が下がったときにはそれを伝えて、患者さんのモチベーションを上げながら治療にあたれるようにしています。あとは日常生活で取り組めそうなアドバイスとして、飲酒は仕方がないけれど休肝日はつくろう、外食時は減塩や糖質制限を意識しようなどと伝えています。
一方、地域の医療機関との連携も重視しているそうですね。

私は胸部外科の出身で心臓血管外科と呼吸器外科を専門に診療していました。勤務医時代は循環器を専門に大学病院などで診療しており、当時の経験から、クリニック内で抱え込むよりも適切な医療機関に患者さんを紹介したほうが良いケースがあることも理解しています。従って当院でも、重症化する前に専門の医師にスムーズにつなげるため、周辺地域では大阪赤十字病院や国立循環器病研究センターなどと密に連携しています。呼吸器外科領域において悪性腫瘍の治療に数多く携わった経験も生かし、患者さんの訴えから病気の芽を早期に摘み取れるよう努めています。
かつて受けた医療を多くの患者に還元してきた医師人生
医師をめざし、胸部外科に進んだ経緯をお聞きします。

同じく医師である父の影響を受け、学生時代から医師になろうという気持ちがありました。本も医療系のものを好んで読んでいましたね。また、私には先天性疾患があり、21歳の時に手術を受けました。それまでは日本の心臓外科の技術では手術自体が危険なレベルで、20歳くらいの時にようやく手術ができる病院が見つかったんです。この出来事を機に循環器に興味を持ち、今度は自分が同じ病気の人を治療したいという思いのもと、胸部外科に入局しました。胸部外科は緊急手術が多く、手術時間も長期に及ぶ過酷な環境であることはわかっていましたが、自分にしてもらったのと同じ医療を提供できれば貸し借りなしだと思い飛び込んだのを覚えています。
これまでの診療で印象的だったことはありますか?
ここでは言い切れないほどたくさんありますよ(笑)。勤務医時代はやはり、心停止状態の患者さんに夜通し緊急手術を行ったときや、非常に難しいことがわかっていた手術を終えた時に大きな達成感を感じました。過去に治療した患者さんの中には、勤務先が変わってもはがきや年賀状で定期的に近況を知らせてくれる方もいるんです。当院でも、感謝の言葉をいただけるのが一番うれしいですね。趣味の話など雑談に多く時間を割くこともあり、「先生は話しやすいからよく来る」と言っていただけるのもうれしく思います。
先生も夜遅くまでお仕事をされていますが、どのようにリフレッシュされていますか?
休日は気持ちを切り替えて、誰にも邪魔されずに好きなことを満喫しています。自分が没頭できることをしていれば、肉体的には疲れているかもしれませんが、あまりつらく感じないんですよね。私の場合、一つは旅行です。愛犬家なので犬と一緒に旅をするのが何より和む時間で、これまでに日本全国を回りました。読書も趣味で、月に4~5冊、多ければ10冊ほど読む月もあります。ミステリーものはかなり読みますよ。あとは映画も自宅・映画館のどちらでも楽しんでいますね。気分転換はストレス軽減につながるので、ぜひ患者さんにも試していただきたいと思います。
読者へのメッセージをお願いします。

今まで取り組んできたこと、築き上げてきたものを大切に、これからも変わらない医療を続けてまいります。そして健康のためには通院の継続も不可欠です。どんなに些細であっても患者さんのお困り事、気がかりなことに寄り添いたいと考えていますので、遠慮せずご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは初診料:1000円