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小野 芳裕 院長の独自取材記事

うばこ山整形外科クリニック

(名古屋市緑区/有松駅)

最終更新日:2021/10/12

小野芳裕院長 うばこ山整形外科クリニック main

「クリニックである前に、地域住民にとって『良い隣人』でいたい」と話すのは、「うばこ山整形外科クリニック」院長の小野芳裕先生。2011年、名古屋市緑区姥子山に開業し今年で6年を迎える。同院が特化しているのは、小児や障碍のある患者の整形外科診療。生活をサポートする装具が患者に必要な場合、ベテランの装具士と連携し、患者それぞれの患部の可動範囲や位置などを詳細に調べた上で製作を行うため、使用した患者から喜びの声をもらうことも多いそうだ。院内は、かわいらしい手作りのオブジェや絵画が壁に飾られ、まるで美術館のような雰囲気。「和みの空間」を意識してつくったのだと笑顔で話す小野院長に、地域に密着した医療人のあり方や診療理念など幅広く話を聞いた。

(取材日2017年5月11日)

患者が「和める」空間を意識した院内づくり

開業に至るまでの経緯を教えてください。

小野芳裕院長 うばこ山整形外科クリニック1

ここは以前勤めていた病院からもアクセスが良く、その頃の患者さんも通いやすいので、開業地に決めました。有松や桶狭間のような名勝地もあり、歴史的にも趣深い土地でとても気に入っています。各方面からの電車や車でのアクセスもだいぶ良くなりましたね。開業医は、地域の方々に育てていただくという部分が大きいと思っています。お子さんからご高齢の方、障碍のある方まで幅広く来院されますので、皆さんが不自由なく暮らしていけるような、いわゆるノーマライゼーションの追求ができるようにという思いでクリニックを始めました。その理念をロゴマークでも表現しました。車いすに座った人と子どもが手を取り合っているデザインなんですよ。

院内の設備について教えてください。

特徴としては、個室のリハビリルームがあることですね。お子さんや発達障碍のある方ですと、オープンスペースでリハビリをするのが苦手な方もいますので、その導入部分として個室から始めるようにしています。個室といっても、保護者の方や介助者の方も入っていただけるような広さも兼ね備えています。あとは院外になりますが、回廊のように歩道をつくり、歩行ができる方のリハビリにも対応しました。手足の麻痺がある患者さんがボールを蹴ったり縄跳びをしたりしてリハビリをすることもあります。受付のカウンターを低くしている部分は、車いすの方のお顔が見やすいよう配慮してつくりました。

壁のイラストやオブジェもすてきですね。

小野芳裕院長 うばこ山整形外科クリニック2

私自身もとても気に入っています。障碍のある患者さんに描いていただいたイラストや、現代アートの作家さんに作っていただいたオブジェを壁に飾っているんです。ただ診察を待っているだけより、何気なくやった視線の先に、このようなアートがあると気持ちが和むでしょう。いかにも病院に来たという感じより「ここに来ると和める」と思っていただいたほうがうれしいですからね。

「地域住民にとって良い隣人」であるために

先生のご専門は小児整形外科だそうですね。

小野芳裕院長 うばこ山整形外科クリニック3

研修医の頃、「愛知県心身障碍者コロニー」というところに赴任したのですが、そこで初めて重度の心身障碍のある方の治療に携わったんです。その時に「この人たちの力になりたい」と思い、それ以来小児整形を専門としてきました。その後開業し、現在は当院でリハビリや装具療法を中心に治療を行っています。患者さんそれぞれ体の曲がり具合や手の置き場所、痛みが出る場所も異なるため、装具は完全オーダーメイドです。それを着けた患者さんが「動きやすくなった」と喜んでくださると、とてもやりがいを感じますね。また一般整形外科として、高齢者の方の骨粗しょう症やリウマチ、スポーツ整形外科などの診療も行っています。

患者さんと接する上で気を付けていることはありますか?

まずはインフォームドコンセントをしっかり行うことですね。幼児でもご高齢の患者さんでもそれは変わりません。私がこれから行う治療について、必ずきちんと説明をし、ご納得いただいた上で治療を行うようにしています。あとは、聞き取りを詳しく行うことも大切にしていますね。例えば腰が痛い、首が痛いと言って来院された方でも、原因を尋ねると「わからない」と答える方がほとんどなのです。原因がわからないまま治療をしたとしても、いったんはそれで症状は良くなりますが、また同じことになってしまいますよね。その原因が、仕事なのか、趣味で行っている作業なのか、日頃の姿勢なのか、椅子や机の高さなのか……。考え始めるといろいろと出てくるんです。それを患者さんと一緒に突き詰めていくことが大切だと思いますね。時間もかかることですが、患者さんにとっても日頃の生活を見直すきっかけになります。

クリニックの診療理念を教えてください。

スタッフにも話をするのですが、当院では患者さんに対して「○○さん」とお声掛けをしていて、「○○さま」とは呼ばないんです。というのも、これまで私が出会ってきた数々の先生方から教わったことなのですが、われわれドクターは、患者さんの身近な存在であるべきだと思うんです。この地域の皆さんのかかりつけ医である以前に、良い隣人でいたいです。しかし、いくら親しみをもっていただくためとはいえ、「さん付け」で呼んでいても、患者さんに敬意を感じていただけなければ失礼にあたってしまいます。そうならないように、私たちは態度や言葉遣い、適切な医療の提供という形でしっかりと応えていくべきだと思っています。

先生をはじめスタッフの方々も親しみやすく、優しい方ばかりですね。

小野芳裕院長 うばこ山整形外科クリニック4

そう言っていただけるとうれしいですね。スタッフには先ほどの理念を共有するとともに、「いつも元気でいよう」ということも伝えています。患者の皆さんと接していて思うのですが、私たちのほうが患者さんから元気をもらうことが多いんです。特に、障碍のある方はとても心が豊かな方が多く、さまざまなことに全力で取り組み、いつも前向きなので、本当に頭が下がります。でも、できたらそれに負けないくらいの元気をこちらからも差し上げたいですね。そのためにも、患者さんとの出会いを大切にし、何気ない語らいを楽しもうというスタンスで診療をしています。仕事場だけじゃなく、スタッフと一緒にテニスクラブを作って皆でテニスを楽しんだりと、仕事以外でもコミュニケーションをとりながら仲を深めています。

それぞれの専門分野が連携したクリニックをめざす

スタッフの方がとても生き生きとお仕事をされているんだなと感じました。

小野芳裕院長 うばこ山整形外科クリニック5

とても優秀なスタッフばかりで、私は恵まれていると思います。院内の整頓をきちんと自発的に行ってくれますので、診察のスムーズさを毎日のように感じています。当院は現在スタッフが27人いるのですが、院内の設備は「28人目のスタッフ」なんです。「28人目は自分からは何もできないので、私たちできれいにしてあげよう」ということは、常に言っていることの一つでもありますね。

心に残る患者さんとのエピソードはありますか?

皆さん思い入れがありますので、特別にということで言うと難しいですね。小児整形は、お子さんの時から診察を続け、ある程度経過を追って診ていくことが多い分野なんです。なので、患者さんの成長を実感するときはとても感慨深いものがあります。ある女の子の患者さんは、小さい時からずっと車いすの生活をしていたのですが、その子が成人式の時、振袖を膝元にかけて見せに来てくださったんですよ。不遜ではありますが、まるでわが子を見ているかのように心が温まる瞬間でしたね。

先生の休日の過ごし方や、健康のために行っていることがあれば教えてください。

休日は妻と一緒に、犬を連れて遠出することが多いですね。トイプードルを飼っているのですが、とてもかわいくて癒やされます。海辺で歩いたり、公園へ行ったりと、運動も兼ねてあちこちへ出掛けていますよ。学生の頃はワンダーフォーゲル部だったこともあり、現在も山登りは好きですね。時間が合えば息子たちと登り、山小屋で2~3泊ほどして景色を楽しんでいます。

今後の展望をお聞かせください。

小野芳裕院長 うばこ山整形外科クリニック6

現在の状態をより高めるために、事務スタッフ、看護師、理学療法士、柔道整復師、マッサージ師、リハビリ助手、義肢装具士などそれぞれの専門職が、各々のスキルを高め、患者さんにより良い医療を提供していきたいですね。スタッフ同士の連携を強め、同じ理念を共有できたら良いと思います。今でもその取り組みはしていまして、互いの分野の知識が自然に身に付いているスタッフもいます。これからもその歩みを止めず、地域の皆さんの「良き隣人」であり続けたいですね。

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