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小栗 久典 不妊センター長 の独自取材記事

ロイヤルベルクリニック

(名古屋市緑区/徳重駅)

最終更新日:2023/09/22

小栗久典不妊センター長 ロイヤルベルクリニック main

産科・婦人科、不妊治療を軸に、小児科や歯科にも対応する「ロイヤルベルクリニック」。大通り沿いに面した立地で、広い駐車場を備えることから遠方から訪れる患者も少なくない。同院では不妊治療を専門とする部門「不妊センター」を置き、2013年に同部門の不妊センター長に就任した小栗久典先生をはじめとする医師、看護師、培養士などがチームとなり、妊娠を希望する患者の診療にあたる。小栗先生は生殖医療に加えて女性のヘルスケアにも精通する専門家で、治療では生活習慣に関するアドバイスや医療的なアプローチを盛り込みながら、患者自身が本来持つ「妊娠力」を高めることに力を注ぐ。常に患者の選択を尊重し、誠心誠意治療に取り組む小栗先生に、同院の不妊治療の特徴や診療方針、不妊治療にかける思いなどをたっぷりと聞いた。

(取材日2023年8月23日)

豊富なノウハウを生かしできる限り自然な妊娠をめざす

小栗先生のご経歴をお聞かせください。

小栗久典不妊センター長 ロイヤルベルクリニック1

鹿児島大学医学部卒業後、地元である半田市に戻り、半田市立半田病院で研鑽を積み、名古屋大学医学部の産婦人科に入局しました。当時は不妊治療の黎明期で、私も教授の鶴の一声で、生殖医療の基礎を学ぶために専門家の先生のところに出向いていました。その後勤めた常滑市民病院では、子宮筋腫のオペや分娩など一般的な産婦人科診療を経験することに。充実感はあるものの生殖医療との関わりがなくなってしまい、「このまま産婦人科医を終えるのは寂しい」という思いが、いつしか心の奥底に芽生えてしまいました。そんなとき、知り合いの不妊治療専門クリニックの医師から「診療を手伝ってほしい」と持ちかけられたんです。打診を受けて一念発起し、再び不妊治療に関する勉強に取り組み始めました。そして2013年に当院に入職しました。

診療のモットーは何ですか?

生殖医療、そして女性のヘルスケアの専門家として培った知識や技術を生かし、できる限り自然な妊娠をめざしています。体外受精は医学の中でも新しい学問です。明らかになっていないことも多く、私も時間を見つけては勉強会に出向いたり文献に目を通したり、研究発表を耳にしたりと今なお新しい情報を取り入れてブラッシュアップを重ねているところです。自分自身が行った診療を振り返っても、10年前と内容はがらっと変わっていると思います。体外受精について学びを深めれば、タイミング法や人工授精といった一般不妊治療にも生かせます。日々の勉強は妊娠をかなえていく上で欠かせません。

不妊治療において、どのような強みをお持ちですか?

小栗久典不妊センター長 ロイヤルベルクリニック2

私を筆頭に生殖医療の専門知識を有する医師が、できる限り短期間のうちにスクリーニング検査を行って問題点の有無を把握し、妊娠・出産歴や不妊期間、卵巣予備能などを総合的に判断し、ノウハウを最大限生かして適切な治療につなげています。治療において「正しい知識を用いる」というのは、当たり前ですがとても重要なことです。例えば、内服の排卵誘発剤は女性ホルモンの働きの抑制を図ることで卵巣を刺激するホルモンの分泌を促します。卵巣内の卵の数を増やすことが期待できるものの、副作用として子宮内膜が薄くなり、精子の通り道の役割を担う頸管粘液の分泌量も減少する、つまり妊娠しづらい状況になってしまう恐れがあります。薬の作用、副作用を十分に理解し、漫然とした治療は行わない。そしてできる限り短い周期のうちに不妊の原因を見つけ出し、次の一手を検討していく。これらを常に心がけています。

専門スタッフと連携し不妊に悩む患者を支える

受診する患者さんの傾向について教えてください。

小栗久典不妊センター長 ロイヤルベルクリニック3

若い人であれば20代前半、閉経が迫る年齢の方で治療に取り組まれている方もいらっしゃいます。思うような結果が得られず転院してきた方も少なくありません。不妊であるかどうか評価する上で不可欠な検査を受けてこないまま治療を継続していた、というケースも珍しくありません。一方で最近では、不妊治療に積極的に協力する男性が増えている印象です。ただ、依然として検査をためらう人は多いと感じます。当院でも男性不妊の診療に対応しており、必要とあればTESE(精巣内精子採取術)に対応する泌尿器科と連携し、検体採取などに応じています。不妊のおおよそ5割は男性側にも原因があるとされています。不妊治療は、女性だけが背負うものではないのです。

診療において、スタッフの皆さんのサポートも欠かせないものと感じます。

そうですね、患者さんの多くはいろんな不安や疑問を抱えていますから、おのずと質問や相談も多くなってしまいますので、不妊カウンセリングを専門とする看護師にフォローをお願いすることもあります。また、培養士の存在も欠かせません。培養室を常に受精卵が育ちやすい環境に整えるだけでなく、複数人の培養士による受精卵のチェックを行っているので、状態評価の精度向上や取り違えなどの防止につなげています。通常診察を行っていない日曜日にも、培養士は出勤して受精卵の状態を確認しています。こういった緻密で繊細な管理体制も特徴です。

他の診療科との連携体制についても教えてください。

小栗久典不妊センター長 ロイヤルベルクリニック4

妊娠がかなった場合には、当院の産科で分娩まで一貫してフォローいたします。万が一、悲しくも流産してしまった場合にも、産科に電話でお問い合わせいただければ曜日に関わらず24時間対応しています。産科ともカルテを共有しているので、流産時の状況も詳細に把握した上で、今後について対応できる体制となっています。私は診察日には朝7時までには出勤してカルテに目を通しているのですが、患者さんにとってより良い治療をめざしていく上で、カルテに書かれた情報は本当に大切なものだと思っています。患者さんのために次は何をしてあげられるか、過去を踏まえて未来につなげていくために今何ができるかを考え、治療にあたっています。

妊娠は今しかできないこと。人生を見据え治療に尽力

先生の考える、受診に適したタイミングや日常生活におけるアドバイスをお教えください。

小栗久典不妊センター長 ロイヤルベルクリニック5

避妊せずに性交をしているのに、1年以上妊娠の兆候が見られなかったのなら、年齢に関わらず医療機関に相談しましょう。妊娠率が下がる30代以降は、なるべく早めに。年齢を重ねるごとに治療の選択肢が少なくなり、染色体異常などのリスクも高くなりますから。可能であれば、日本生殖医学会生殖医療専門医の資格を有する医師の診察を受けるのが望ましいです。早くから不妊治療に取り組んでいれば質の良い胚の凍結につながりますし、治療の選択肢そのものが多いので結果として費用負担も軽くできる可能性があります。すぐに妊娠を希望しない場合も、体調の変化を把握する一環で基礎体温を記録する習慣をつけておくと良いですよ。現代の社会の在り方を見ると、若くから妊娠を意識するのは難しいかもしれません。ですが少しでも妊娠を希望したい気持ちがあるのであれば、早くから「どんな人生を送りたいのか」を考え行動することが求められるのだと感じます。

将来どうありたいかを思い描いた上で、「今」何をすべきかを考える、ということでしょうか。

そうですね。人生には「今しかできないこと」と「いつでもできること」があり、妊娠や出産、さらにいえば子育ても、前者にあたると私は考えます。不妊治療は、妊娠・出産がゴールではありません。そして、残念ながら治療すれば必ず妊娠できるとは限りません。どこかで決断しないといけないタイミングが来てしまいます。そんな場面で納得のいく選択をするためにも、ライフプランを考え続ける必要があるのだと思います。

患者さんの人生に大きく関わる治療に携わる立場として、診療にかける思いをお聞かせください。

小栗久典不妊センター長 ロイヤルベルクリニック6

タイムリミットのある不妊治療において、患者さんに「もっと早く知りたかった」と言わせてしまうことは最も避けなければなりません。患者さん自身が選んだ道をきちんと歩んでいけるよう、専門家として力を尽くすのがわれわれの大切な役目です。常に、患者さんとそのパートナーにとってより良い治療を提示し、納得いく選択をしていただけるよう診療に取り組んでいます。患者さんも、ぜひ不妊治療について勉強してもらいたいです。他でもなく、あなたとパートナーの人生です。受け身ではなく、積極的に参加して望む効果を実感してもらえたらと思います。

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