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水林 竜一 院長の独自取材記事

四日市糖尿病クリニック

(四日市市/中川原駅)

最終更新日:2019/07/25

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木の風合いを生かした壁面に、緑色の枠で縁取られた大きな窓。温かみのある外観の「四日市糖尿病クリニック」は、市立四日市病院で部長を務めていた水林竜一院長が、2010年に開業したクリニックだ。水林院長は日本糖尿病学会糖尿病専門医であり、糖尿病とその療養指導に関する専門知識を持ったスタッフも在籍。治療やケアなど多方面から患者を支えるチーム医療を実践している。水林院長は「治療のゴールは、患者さんが長生きすること」と言い切り、患者それぞれに合った、無理のない治療を心がけている。広い待合室では糖尿病教室はじめ、ジャズライブやクリスマス会など楽しいイベントも開催。気取りなく満面の笑みで話してくれる水林院長から、地域や患者への深い思いが伝わってきた。
(取材日2019年6月28日)

ゴールをめざし、患者と一緒に頑張る姿勢を大切に

この場所に開業したのはなぜですか?

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開業前に7年ほど勤務していた市立四日市病院に近いからです。当時、市内の他の病院では糖尿病専門の医師が減り、同院に患者さんが集中していました。医師も時間も限られた中で、患者さんの通院の間隔を延ばさざるをえず、診察のクオリティーが下がる心配がありました。私が開業すれば、そこでも患者さんを引き受けられるため、患者さんをうまく分散し、診察のクオリティーを保っていけると考えたんです。ですから、病院同様、血液検査やヘモグロビンA1c、甲状腺検査の機器もそろえ、結果を即日に出せるようにしています。

患者さんはどんな方が来られますか?

糖尿病の方が9割、あと1割は、甲状腺疾患や肥満の方でしょうか。当院では基本的に16歳以上を対象としており、患者さんは10代から100歳ぐらいまで。この地域は企業の工場も複数あるので、若い方、働き盛りの方も多く、50~80代を中心に満遍なく来られていますね。10代ではもともとインスリンが働かないことによって発症する糖尿病1型の方が多いです。1型は、糖尿病患者全体の1割以下といわれていますが、当院ではそれ以上の割合の方が来られていますね。1型の方とご家族向けには、快適な生活を送るための勉強会と懇親会を行っていて、食前食後で血糖値を測り、クイズ形式で楽しくやっていますよ。

診療では、どのようなことを心がけておられますか?

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治療に前向きに取り組んでいただき、良い結果を出すために、患者さんの症状や性格を考えて、褒めたり、励ましたり、時には厳しいことを言ったり、何でもしていますね。治療のゴールは、血糖値を良くして、長生きすること。そのためのアプローチは患者さんによって何通りもあって、それを模索しながら向き合っています。よく親が子どもに「勉強しなさい」とか「勉強しないとろくな大人にならないぞ」などと言うけれど、子どもの心にはなかなか響かないでしょう。本人がやる気になるよう、患者さんに合わせて一緒に頑張っていく姿勢を大切にしています。

専門スタッフと患者を支えるチーム医療

糖尿病は食事指導や運動指導が重要といわれますが、どのように指導されていますか?

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治療は、教科書どおりにすると、「あれは食べては駄目、これも駄目」「これだけ運動しないと駄目」とストップや駄目出しばかりになります。言うのは簡単なんですが、バランスの良い食事や運動は誰でもうまくできるわけではありません。糖尿病専門の医師としての腕の見せどころは、どこまでOKを出せるか、だと思っています。「これは、このぐらいなら食べていいよ」とどの程度まで言えるか。何かあったら私が責任を持つ、という覚悟でいます。なぜこうしたやり方になったかというと、自分だったら絶対に医師の言うことを聞かないからです(笑)。

お話を伺っていると、患者の気持ちに寄り添ってくださると感じます。

糖尿病は、悪い生活習慣が原因のようにいわれていますが、それほど患者さんは生活習慣が乱れているのでしょうか? そうではないのです。太っていなくても、若くても、運動していても、誰でも糖尿病になる可能性はあります。簡単にいいますと、遺伝子が関係するからです。親が糖尿病であった場合、特に両親ともそうであった人の発症の確率は高くなります。予防するためには、親の糖尿病発症時の体型、体重を聞き出して、それと同じにはならないこと。その遺伝子がない人は、いくら食べても太っても糖尿病にはなりにくい。ですから、あれも駄目、これも駄目、というやり方ではなく、何をどれだけ食べて、どうすれば長生きできるかを、一緒に考えていきたいのです。今、糖尿病の人の平均寿命は、そうではない人に比べると短いです。本人の責任のみではないし、生活習慣に大して違いはないのに生まれてしまう差を縮めていきたいです。

こちらには、糖尿病について専門的な知識を持ったスタッフがいらっしゃるそうですね。

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はい、日本看護協会糖尿病看護認定看護師と、療養指導をする専門スタッフがいます。治療においては、事務も含めスタッフの力は大きく、皆で連携して行うチーム医療は重要になります。糖尿病の方は、深爪やたこなど足のトラブルからばい菌に感染して足が壊疽してしまう恐れがありますので、当院ではフットケアにも力を入れており、看護師が行っています。管理栄養士も親身になって栄養相談や食事指導を行っており、ホームページで低カロリー、低糖質のレシピを紹介したり、街の飲食店とコラボしてメニューを提供したりしています。三重県北勢地域では看護や栄養についての勉強会が活発で、スタッフたちは参加してスキルアップに努めています。

近隣の開業医も含めた地域の力が強み

先生が医師をめざされ、糖尿病を専門にされた理由は何ですか?

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高校が進学校で医学部をめざす友人が多く、じゃあ自分も、というのが最初です。でも不合格で浪人に。高校を卒業したら家を出る約束でしたので、愛知の実家から東京へ出て新聞奨学生になりました。それで朝夕の食事と部屋が確保でき、予備校にも通えました。浪人中いろいろ考えていた時に、経済でも政治でも、文学、音楽の分野でも、みんな人間について探究しているんじゃないかという結論に至り、それなら自分はどういう形で人間を考えるかと自問しました。得意なのは数学と物理、それなら医学部で人間の体の仕組みを学ぼうと、はっきり決めました。大学では「学ぶことが目的で、医師にはならない」と言って先輩に怒られたこともありましたが、次第に現実が見えてきて(笑)、医師になりました。救急にも興味があって実際に勤務しましたが、体の仕組みをじっくり学ぶという点で、慢性疾患である糖尿病を専門にしました。

先生は、英語やスペイン語、ポルトガル語も堪能でいらっしゃるとか。

はい、四日市は外国の方も少なくないので、コミュニケーションにとても役立っています。英語は、大学時代に半年間アメリカに留学して学びました。当時はアメリカで医師免許を取ってアメリカで仕事をしたいと思っていたんです。ニューヨークではスペイン語をよく目にしたので、それも学ぼうと、今度は国家試験が終わった翌日に成田からスペインに行き、1ヵ月間マドリードでホームステイしました。だから国家試験の勉強と留学手続きを同時進行していました(笑)。スペイン語ができれば、ポルトガル語も似ているので話せるようになりますよ。

今後についてお考えをお聞かせください。

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繰り返しになりますが、患者さんが長生きできるように、これからも一緒に取り組んでいきたいです。やはりそれが目標ですね。当院では、近隣の人たちも交えて7月にはジャズライブ、12月にはクリスマス会を行っており、これも続けていきたいと思います。クリスマス会では、待合室のまきストーブで1時間以上かけて鶏の丸焼きをするんですよ。小さな町だから、タクシーに乗れば運転手が患者さんだし、飲み屋に行っても患者さんがいます(笑)。近隣の開業医の先生もみんな仲が良くて、顔の見える連携力もこの地域の強み。この5月には鈴鹿市に当院の分院がオープンし、糖尿病の方の受け入れのすそ野が広がりました。鈴鹿の分院と合わせ、皆さんの健康な生活のため努力していく所存です。

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