不安と戦う社会不安障害やうつ病
精神科は「生き方」の相談場所
小倉めんたるクリニック
(北九州市小倉北区/平和通駅)
最終更新日:2023/08/07


- 保険診療
うつ病、社会不安障害、適応障害、パニック障害、不眠症、過食症などは生きている限り誰もがかかり得る疾患だ。医学的根拠に基づいた薬物療法なども重要だが、第一に考えるべきは、休む環境を整えること。うつ病なので数ヵ月会社を休みたい、でもその間の給料が心配……。このように不安がある患者もいるだろう。「小倉めんたるクリニック」の濱田直之院長は、「治療への不安を取り除くためには金銭面での安心が欠かせないため、傷病手当金などの制度が使えるか、復職した場合どんな仕事内容が適切なのかなど、薬だけではなく、長期的に『患者さんの生活をどうするか』を考えていくのが精神科の役割」だと語る。そこで今回は精神科を受診するタイミング、そして体、ひいては命を守るために活用可能な制度について詳しく話を聞いた。
(取材日2023年7月24日)
目次
うつ病の治療には休養が不可欠。精神科は治療をサポートする制度・働き方など「生き方」を含めた相談場所
- Q精神科や心療内科はどのタイミングで受診すべきでしょうか?
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A
▲「困った時の駆け込み寺」をめざしていると話す院長
過度なストレスがかかり、いつもどおりの日常生活が送れないときです。どうしても会社に行けない、行こうとすると涙が出て止まらない、だるさが取れない、意欲がわかない、不眠の症状が出る、食欲減退もしくは過食状態になるなどは、うつ病の症状と言えます。また社会不安障害もうつ病につながる大きな要因の一つ。通常であれば他人と問題なくコミュニケーションが取れ、仕事もきちんとできるのに、会議やプレゼンテーション、就職や受験の面接などの人前に出る場面で、緊張して頭が真っ白になり、受け答えも十分にできない。このようなときに受診していただくのが良いタイミングだと考えられます。
- Qうつ病や社会不安障害ではどんな治療を行いますか?
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A
▲雰囲気づくりを大切にしながら診察を進める
うつ病や社会不安障害は脳の神経伝達物質がうまく働いていないために起きていることが考えられます。うつ病は薬も当然ですが、まずは休養を取ることを第一に考えます。「治療のための休養が必要」という診断書の作成もその一つ。通勤しながら症状の改善が望める方もいますが、基本的にうつ病は体と脳を休めなければ改善を図ることは難しいもの。無理に勤務して悪化するよりも休むほうがベストなケースが多いです。しかしそこで心配になるのが金銭面ですよね。お金がないと治療ができない、しかし働かないとお金が心もとない。そういう際に活用できる制度の一つが「傷病手当金」。毎月支払っている社会保険料から、病欠の際に支払われるものです。
- Qうつ病の治療をサポートできる制度もあるのですね。
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A
▲落ち着いて過ごせる和の空間が特徴的
傷病手当金は社会保険に加入していた期間や会社に在籍していた期間、給与額によって給付額が異なりますが、治療を受ける患者さんの支えになると思います。不安がある状態のままだとうつ病の改善は望めません。だから金銭的な不安を少しでも減らすことは、うつ病の症状改善をめざすのに大切です。またもし離職することになっても疾患が原因の場合は待機期間なしで失業保険の受給が可能になるケースも。だから患者さんの生活背景やご状況をよく聞き、金銭面のフォローを含めた治療計画を立てていくのが非常に重要なのです。精神科の治療をイメージしづらい方もおられるようですが、私は精神科の治療は人生相談でもあると考えています。
- Q復職した場合はどのようなことが大切でしょうか?
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A
▲無理なく治療に向き合える状態をつくることを意識
まず大事なのは、うつ状態などになる前の仕事量に急に戻さないことでしょう。同じにしてしまうと、またすぐに悪化するのは目に見えています。大企業であればメンタルヘルスに精通した産業医がおられることもありますが、日本の多くの企業は中小企業です。私が医学的な意見書を企業に提出したり、上司の方に当院まで来ていただき、どういう業務内容が適切なのかをご相談することも可能です。だから「うつの症状が落ち着いたから終わり」ではありません。どう社会復帰するか、復帰するならどうやって再発を防ぐかを患者さんお一人ではなく、会社の方々や家族の方々とともに、最も良い方法や手段を長期的に考えていくことが大切なのです。
- Qうつ病によって就労困難となった場合のフォローはありますか?
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A
▲活用できる制度を伝えながら治療に専念できるようにサポート
傷病手当金、失業保険、会社のご協力などが得られてもどうしても難しい場合、また社会保険に加入していない場合は、障害年金や生活保護という手段もあります。障害年金とは、精神科に1年半以上通院し症状が良くならない場合、申請することが可能です。それでも「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことが難しい場合、生活保護を申請も考慮します。生活保護を受け、治療を続け、その後少しずつ仕事に戻ることをめざす道もあります。こちらも受給要件があるためすべての方に適用できるとは断言できませんが、これらの制度があることをまず皆さんが知り、必要なときに活用できるようにしておくことこそが重要なのです。