横溝 裕次 院長の独自取材記事
よこみぞ歯科
(久留米市/田主丸駅)
最終更新日:2024/01/30

下田主丸バス停より徒歩1分の所にある「よこみぞ歯科」。静かな田園地帯にあるクリニックを率いるのは、大学病院や基幹病院で10年間、口腔外科や画像診断の研鑽を積んだ横溝裕次先生。生まれ育った地域に貢献したいと、2010年に開業した。高齢者から小さな子どもまで、家族ぐるみで通う人が多いクリニックだ。そうした親しみやすさの一方で、勉強会への参加による新たな治療技術習得や、先進的な診療設備導入にも積極的。「地方であっても患者に質の高い治療を提供したい」と、穏やかな口調の中にも歯科医療への熱意を込める横溝院長に、同院で行っている治療内容や、患者に対して心がけていることなどの話を聞いた。
(取材日2023年12月15日)
口腔外科を中心に研鑽を積み、生まれ育った地域に貢献
最初に、歯科医師をめざした理由と開業までのご経歴を教えてください。

中学生の時に親と進路について話す中で、将来は医療分野に進んで人の役に立ちたいと思うようになりました。家族にも親類にも医療関係の人はおらず、最初は漠然とした思いだったのですが、次第に志望先がはっきりとしてきて、福岡歯科大学に進学しました。大学卒業後は10年間、主に口腔外科領域で研鑽を積みました。久留米大学病院の歯科口腔医療センターに入局し、大学院に進学しました。博士号取得後は、聖マリア病院の歯科口腔外科や九州大学病院になどで勤務しました。その傍ら、一般的な歯科に週1回勤務し、開業医としての勉強も続けました。
口腔外科がご専門なんですね。
将来開業することを考えた時に、手術や全身管理について勉強しておいたほうが良いと考えたことや、口腔外科は大学病院などの大きな医療施設でないといろいろな症例を経験できないことから、口腔外科を専攻しました。インプラント手術や外科的処置、親知らずの抜歯、口腔がんの治療などに携わりました。九州大学病院では口腔の画像から疾患を診断する部門に所属し、エックス線やCT、MRIなどの画像検査と診断について勉強しました。疾患を正確に診断するには、画像に関する知識は欠かせないと考えたからです。
こちらで開業された理由はなんですか?

実家がすぐ近くにあり、子どもの頃からここで育ってきたんです。大学に残るか開業するか迷った時期もありますが、やはり地元に貢献したいと、2010年に当院を開きました。開業すると、子どもの頃から顔なじみの近所の方や、学生時代の友人などが大勢来てくれて、恵まれたスタートでしたね。地域のかかりつけ医として幅広い分野を診療するとともに、私の専門分野である口腔外科にも対応しています。インプラント治療や抜歯、炎症や顎関節症の治療、嚢胞の摘出、外傷の小手術を行います。口腔がんも、治療はできませんが診断は可能ですので、大きな病院で診てもらったほうがいいと判断したら、すぐに久留米大学病院や聖マリア病院に紹介します。患者の皆さんのことをよく知っているからこそ、期待を裏切らずしっかりと治療をしなくてはという思いで、日々診療しています。
一口腔単位で診て、患者の歯を長く残す環境を整える
どんな患者さんが多く来院しますか?

お子さんからお年寄りまで本当に幅広い年代の方が来院してくださいます。高齢者は、糖尿病や骨粗しょう症、心臓病などの基礎疾患を持つ方が多くいらっしゃいます。特に外科的治療を行う際は、服用している薬についてきちんと把握しておかなくてはなりません。地域の内科などのクリニックと連携しながら、患者さんの負担にならない範囲で治療を行っています。これも口腔外科の経験が生きている部分ですね。高齢者が多い地区でもありますので、義歯にも力を入れています。たとえ総入れ歯であっても、前歯で硬いものが噛みやすくなる義歯の調整法を研究している先生に師事しました。しっかりと噛むことができるようになれば、栄養も取れますし、脳や消化器系機能の活性化にもつながります。また、年齢が上がるにつれて罹患リスクが高くなる歯周病も、一般的な治療に加え、外科的手術、歯周組織再生療法にも対応しています。
お子さんに対する治療について教えてください。
子どもの患者さんの来院目的は、多くが定期的なクリーニングとフッ素塗布ですね。親御さんの歯の健康に対する意識が高まっているからでしょう。私は校医も務めていますが、学校で行う歯科検診でも、虫歯の子は少ないなと感じています。ただし油断は禁物で、乳歯が虫歯になった場合には、永久歯が生えてくる時にエナメル質形成不全などの悪影響を及ぼしますので、やはり小さい頃から定期的に受診して、クリーニングをする習慣をつけておくことをお勧めします。小さなお子さんは最初は診療を怖がるかもしれませんが、当院のスタッフは私も感心するくらいに子どもをあやすのが上手ですし、できることから少しずつ進めていきますのでご安心ください。当院は、お子さんの後にその親御さんもかかりつけになってくださるなど、家族ぐるみで来院される方が多いんです。子どもたちが大きくなってもずっと通ってくれるようなクリニックでありたいですね。
先生は、審美歯科にも力を入れているとお聞きしました。

セラミック治療やホワイトニング、矯正治療なども行っています。セラミック治療は見た目の自然さだけでなく、歯と親和性が高く長持ちしやすい、再治療のリスクの低減につながるといったメリットがあります。しかし、悪くなった歯にセラミックでかぶせ物を作製すればそれで治療は終了というわけではありません。歯や歯肉、顎関節など、口の中全体を一つの単位として考える一口腔単位で診ることが必要なんです。当院では、なぜその歯が悪くなったのかを可能な限り突き詰めます。歯が悪くなる原因が歯並びにあるなら矯正をするなど、患者さん自身の歯を長く残すための環境を整えた上で、見た目も良くするというのが、私が考える審美歯科です。
勉強会に積極的に参加し、質の高い治療を提供
診療において心がけていることはなんですか?

当院では、「親切・笑顔・丁寧」という診療方針を掲げています。自由診療を受ける方、保険診療を希望される方、いろんな患者さんがいらっしゃいますが、分け隔てなくどの方に対しても親身になって対応します。患者さんは痛くて不安な気持ちで来られていると思いますので、少しでも不安を和らげられるよう笑顔で接するようにしています。そして、お口の中の治療ですから、患者さんはどんな治療をされているかわからない部分もあると思います。だからこそ、基本に忠実な治療を心がけています。丁寧に診療を行う分、時間がかかる治療もありますが、そんな時は長めに予約時間を取り、できるだけ待ち時間が発生しないよう配慮しています。治療計画を立てるにあたり、一口腔単位で診てご提案・説明しますが、最後に選ぶのは患者さんです。きちんと同意を得てから治療を開始します。
勉強会にも積極的に参加されているそうですね。
当院は周りが田園に囲まれたのどかな場所にあるのですが、そのような地域にあっても、質の高い治療、患者さんに満足していただける治療を提供したいと考えています。できないことがない歯科医院にすべく、数多くの勉強会に参加しています。私1人では限界がありますので、スタッフにも勉強会への参加を推奨したり、月に1回ミーティングを開いたりしています。勉強会に参加したら必ずそれを自分でまとめ直して報告をしてもらい、スタッフ全員で学びを共有するようにしています。また、今後の歯科治療はデジタル化が必須と考え、新しい機器も積極的に導入しています。
最後に、今後の展望とドクターズファイルの読者へメッセージをお願いします。

これからも変わらず、私自身がリタイアするまで勉強を続けて、より良い医療を患者さんに提供したいですね。若い頃は自分の理想の治療を追求するあまり、独り善がりだった部分もあったかもしれません。経験を重ね、今は何よりも患者さんの気持ちや利益を一番に考え、患者さんが笑顔でいてくれるようなクリニックであることが大事だと考えています。これまで、多くの師匠に本当にたくさんのことを教えていただきました。今度はそれを若い先生方に伝えて、人材を育成していくことも私の務めだと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミック治療/5万5000円~、ホワイトニング/2万7500円~、矯正治療/13万円~、歯周組織再生療法/7万7000円~