濱野 哲敬 院長の独自取材記事
整形外科 ぐんまの森クリニック
(高崎市/倉賀野駅)
最終更新日:2024/12/04

高崎市郊外にある県立公園「群馬の森」の程近く。緑に囲まれたのどかな住宅地に「整形外科 ぐんまの森クリニック」はある。大学病院の整形外科で長年研鑽した濱野哲敬(はまの・のりたか)院長が2024年4月に開業。野球部に在籍していた高校時代、仲間がケガで野球を断念したことをきっかけに整形外科医を志す。大学からはゴルフにスイッチし現在も競技に出るほど真剣に取り組んでいる。そういった院長のスポーツへの熱い思いは、整形外科での診療にも反映され、部活動の学生や社会人のスポーツ愛好家を手厚くサポートする。「ケガを繰り返さないように原因を除去したいんです」と語り、診断・治療にはエコーを使い、時にはイラストや動画を交えながら、患者の体の癖や傾向について詳しく説明する。そんな濱野院長に同院の診療について話を聞いた。
(取材日2024年10月3日)
一般の整形外科疾患に加え、スポーツ障害にも対応
先生が医師になられたきっかけと、整形外科を選んだ理由を聞かせてください。

小学校・中学校・高校と野球をしていたのですが、高校の野球部にいた時、仲間がケガで野球を続けられなくなり、その状況をずっともどかしく思っていました。そのことが、自分が医師になったモチベーションの一つになっていますね。なので、医師になる動機と整形外科を専門にすることは、自分の場合はイコールでした。
患者さんはどういった方々が多いですか?
多いのは、やはりお年寄りの方ですね。それと、他院と比べると、スポーツ選手や愛好家が多い印象はあります。開業した時、群馬県の高校野球を応援する意味でクリニックの外壁に地元の高校の全国優勝を祝して横断幕を垂らしていたんですね。するとそれをきっかけに、野球をやっている若い世代から壮年世代、スポーツ愛好家が多く来院され始めたように思います。そういったスポーツに関わる患者さんは、日常生活には困らないけど、競技を行うときに困っているといった相談が多いですね。一般の整形外科ではそういった悩みに対応をしていないところが多いようで、当院がそこに対応できることは一つの特徴になるかなと思っています。
ほかに、同院のこだわりなどはありますか?

スポーツ選手は、なるべく練習や試合を休みたくないという気持ちが強い方が多く、当院ではできるだけプレーしながら治療する方針を取っています。やむを得ない場合は、「これがこうなったらプレーできるんだけど」と、なるべくビジュアルでわかりやすく説明して納得してもらうようにしています。それと、患者さんは、痛みのピークを100とした場合、痛みがゼロになったときに治ったという実感をされる方が多いんです。それは一つの真実なんだと思うんですね。けれども100から90、80と痛みが減っていく中、30ぐらいまでは割とすんなりいっても、30ぐらいからゼロに至る過程は時間を要することが多いんです。患者さんには、痛みがゼロになるまでには日々を重ね、時間の経過が必要と説明して、納得してもらうよう努めています。
痛みに対し原因除去をめざす
注力している症状や、目立つ主訴について伺います。

私は大学病院で肩の治療を専門に行ってきたので、当院でも四十肩や五十肩、肩の腱板が切れたなど、肩に悩みを持つ患者さんの治療に力を入れています。そのほかはやはり、整形外科に多い、膝、腰の痛みに悩む患者さんは多いです。多くは加齢が原因となるものです。膝でいうと、骨と骨の間の軟骨がすり減ってくることで痛みが生じる変形性膝関節症の方が多いですね。腰についても、骨と骨の間の椎間板が減ることによって痛みが生じます。また、当院には「かかとが痛い、足首が痛い」と言って来られる偏平足の方もいますね。そういった方は足の長さを測ってみると左右差があり、それが原因になっている場合もあります。足だけでなく膝や股関節に痛みがある方も同様に、左右差が原因になることもあります。
そういった症状には、どういう治療をなさっているのですか?
肩でいえば、「肩が痛い」ということをもう少し分解して診ていき、漠然としていた痛みの原因をクリアにしていきます。当院では多くの患者さんにエコーで取った画像を見てもらうんですよ。そのほうが悪い場所や炎症の様子もよくわかりますからね。例えば、右肩が痛い場合は左右で比べ、「正常な肩はこう見えるんですが、痛みがあるほうはここが原因で腫れているんですよ」と、エコーの画像で様子を伝えます。すると患者さんもだんだん、漠然としていた痛みが「ここが悪いんだ」と頭の中で整理されてくるんですね。そうすれば、行うべき治療も明らかになり、あとは患者さんの状態に合わせた注射やリハビリテーションを行うという流れです。野球の場合の肩の痛みは、悪くなる場所がだいたい決まっていて、診察室でストレッチを1回一緒にやってみて、「家でもこれをやってください」と伝えます。ストレッチは五十肩、四十肩の人にもやってもらいますね。
肩以外ではどのような対応ですか?

腰痛では場合によっては注射や手術が必要になることもありますが、例えば、ももの裏や足首など、体のある部分が硬くその状態で何かの動作や姿勢を続けていたために腰が痛くなったというケースが多いですね。なので、その原因を除去しないと繰り返すことになってしまうので、ご自身で注意していただくことと、病院で手伝えることと両方で対処します。偏平足の患者さんは、足の負担がある一定の部分に集中し、それが疲労につながって痛みを生じるのですが、注射や薬による治療、足を休める、リハビリテーションを行うなど、いろんな対応があります。当院では、治療用のインソールの提案も行っています。変形性膝関節症の場合は、膝関節に負担をかけない姿勢のアドバイスも行っています。もともと体には多少の左右差があるのですが、許容範囲を超える場合はコルセットやインソールで矯正を図るなどの対応が必要になります。
診察ではイラストや文字にしてわかりやすく説明
診療で心がけていることは何ですか?

診察ではメモ帳を常に用意していて、必ず書いて説明するようにしていますね。例えば、治療期間の目安を説明する場合は、「この期間は注射や薬を使った治療を行い、次の段階では注射をなくして薬だけの治療に移行します」といった内容をなるべく目で見てわかるように表現します。口頭での説明や、書いて説明してもわかりづらいときには、動画を用意して「筋が切れているというのは、こういう状態になります」と一緒に見ながら説明をします。患者さんに十分説明したつもりでも、患者さんによっては次の診療時には頭に残っていないこともあり、言葉で伝えるのはなかなか難しいと今までの経験から感じていました。ですので、患者さんにはなるべくイラストか動画か写真を使って目で見てもらいながら説明するようにしています。
整形外科診療を通じて最近感じる変化などありますか?
解明されたことが多くなってきて、できることが広がったと思います。例えば、骨折でも、今まではギプスをつけて骨がつながるのをじっと待つしかありませんでしたが、「骨折部位に超音波を当てて、骨の形成を促進してみましょうか」といった提案もできるようになりました。それとは違う話で、元気な高齢の方が増えたと感じています。例えば80歳の方でも、今は20年前と違って随分お元気で動ける方が多いんです。ただ、骨密度が昔の80歳と今の80歳で違うかっていうと、決してそんなことはないとは思うんですね。そうすると、動ける=転ぶ可能性が高いことになり、ケガのリスクも高くなります。その一方で、若年層と同じようにスポーツ障害の悩みを持つほど動ける高齢者もいます。そういう意味では医療の幅が広がってきている印象があります。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

痛みがあるときは、何かの原因があるはずなんです。なので、処方される薬や注射だけに終わらずに、その原因について患者さんと一緒に理解したいと思います。地域の高齢の方々に加え、若い人にも些細なことで相談してもらいたいですね。スポーツ障害の悩みについても、当院がそこに熱量を持ち手厚い対応をめざしていることを知ってもらいたいです。そのほかに、私が10歳まで海外に住んでいたこともあって、外国の人に対して抵抗がないんですね。この辺りには中国・ベトナム・インドネシアの方なども多くいらっしゃるので、外国の方でも気軽に受診していただければと思います。