北瀬 裕敏 院長の独自取材記事
創生会クリニック
(神戸市東灘区/深江駅)
最終更新日:2025/11/12
阪神本線の深江駅から徒歩1分、四半世紀以上の歴史を持つ「創生会クリニック」。2024年5月に北瀬裕敏院長が着任し、循環器の専門性を生かした診療を展開している。「心臓病の早期発見が何より大事」と語る北瀬院長は、近畿大学卒業後、クリニックやリハビリテーション病院での勤務を経て同院へ。「循環器があまりにもわからなくて勉強したら、だんだん面白くなってきた」という探求心の持ち主で、難しい専門用語を常にわかりやすく説明することを心がけている。一方で15年以上続けるバンド活動では、ギターとボーカルを担当し年6回のライブをこなすという意外な一面も。地域医療にかける思いや、気軽に相談できるクリニックづくりについて話を聞いた。
(取材日2025年10月16日)
日本循環器学会循環器専門医が診療するクリニック
5月から創生会クリニックの院長に着任されたそうですね。

はい、ご縁があってこちらへ来ることになりました。創生会クリニックは1998年から27年間、地域に根づいて診療を続けてきた歴史あるクリニックです。前任の先生から引き継いだ患者さんもいらっしゃいますし、新しく循環器の相談で来られる方も増えてきました。私の専門は循環器内科で、特に心臓病の早期発見と治療に力を入れています。心筋梗塞は時間との勝負です。手遅れになると命に関わることもある。息切れや胸の苦しさ、詰まったような感じなど、少しでも気になる症状があれば早めに受診していただきたい。「軽い気持ちで相談だけでも良いので来院してほしい」と常々思っています。そのために、気軽に来ていただける雰囲気づくりを心がけています。
循環器を専門にされた経緯を教えてください。
実は最初は循環器がさっぱりわからなくて、このままではまずいと思って勉強を始めたんです。数年はやってみようと思ったんですが、勉強しているとだんだん面白くなってきました。気がつけばずっと続けていました。心臓って本当に奥が深い分野なんです。心筋梗塞を早期発見につなげられるとやりがいを感じます。適切な診断と治療で、患者さんの生活を守ることに貢献できる。そういう場面に立ち会えることが、この仕事の魅力だと思っています。もちろん判断が難しいケースもありますが、そんな時こそ丁寧に診察して、必要があれば適切な医療機関をご紹介するようにしています。
クリニックの特徴について教えてください。

深江駅から徒歩1分という好立地で、車でも阪神高速の深江ICや深江浜ICから近くアクセスは便利です。院内は車いすでも入りやすいスロープがあります。待合室は木のぬくもりを感じるブラウンのフローリングで、自宅にいるような落ち着いた雰囲気を大切にしています。最近エックス線を新しい物に変えたんですが、エックス線室には空の壁紙を使って、患者さんの緊張を和らげるための工夫もしています。診療は内科・循環器内科・訪問診療の3本柱です。風邪などの一般内科から循環器疾患まで幅広く対応しています。高齢者の多い地域なので、全身を診ながら、日本循環器学会循環器専門医としての専門性も生かした診療を心がけています。
わかりやすい説明で患者に寄り添う
循環器疾患の早期発見について詳しく教えてください。

心臓病は本当に時間との勝負なんです。息切れ、胸の苦しさ、詰まったような感じ。そういう症状があれば心臓病の可能性があります。脚のむくみから心機能の低下が見つかることもあり、心臓から遠い場所の症状でも注意が必要です。心房細動という不整脈は脳血栓を起こす可能性がある病気です。早期に発見できれば、適切な薬物治療で管理できます。「最近つらい、疲れやすい」という方は一度検査に来ていただきたい。早期発見できれば余裕を持って治療可能なことも。だからこそ「こんなことで相談して良いのかな」と思わずに来ていただきたいんです。健康診断の結果を持参いただければ、より詳しい説明もできます。
認知症の相談にも対応されているそうですね。
高齢者の多い地域ですから、認知症の相談も増えています。施設の方はもちろん、ご家族から「ちょっとおかしいんだけど」と相談されることがあります。外来診療時の様子だけで気がつくレベルになると相当進んでいることが多いので、ご家族から早めに相談してもらうことが大切です。「うちのお母さん最近おかしい」といった相談でも、ご家族だけで来ていただいてもOKです。ご本人が嫌がって受診できない場合もありますからね。必要であれば心療内科など専門の先生をご紹介することもできます。どこの病院のどの科に行けば良いかをセレクトするのもわれわれの役目です。長年のキャリアで培ったネットワークを生かして、その患者さんに最適な道筋をつけるよう心がけています。
診療で心がけていることは何ですか?

特に心がけているのは、難しい専門用語をできるだけわかりやすい言葉で伝えることです。医師の説明はどうしても専門的になりがちです。なんとか理解してもらえるように工夫しています。特に高齢の方には丁寧な説明が必要です。理解が難しそうなときは、ご家族に来てもらって一緒に説明することも検討します。症状をよく聞いて、適切な検査をして、診断につなげていく。これが基本です。判断がつかない場合も山ほどありますが、そういうときこそ丁寧にヒアリングします。必要なら大きな病院を紹介する。すべての患者さんに「ここに来て良かった」と思ってもらえるような診療をめざしています。
地域のかかりつけ医として歩んでいく
訪問診療について教えてください。

主に法人内のホームを回っているのと、ごく近隣のお宅に伺っています。長年創生会クリニックにかかってこられて通院が難しくなった方には、ご希望があれば訪問診療で対応しています。訪問は看護師と一緒に、午前診と午後診の間の時間で週に何回か行っています。施設では看取りも行います。通院している方であれば最後まで診させていただく。地域のかかりつけ医として、その方の人生に寄り添っていきたいと思っています。高齢者が多い地域ですから、糖尿病や呼吸器疾患などさまざまな病気を抱えた方がいらっしゃいます。前任の先生から引き継いだ患者さんも大切にしながら、私の専門である循環器の知識も生かして診療を続けていきます。
プライベートではバンド活動をされているそうですね。
実は15年くらいバンドをやっていまして、ギターとボーカルを担当しています。ビッグバンドで16、17人くらいのメンバーがいます。昭和のポップスからロック、J-POP、洋楽まで幅広くカバーしていて、年に6回くらいライブをやっています。病院のフェスティバルに呼んでもらうこともありますし、ライブハウスでも演奏しています。「黙っていると怖そうに見える」とよく言われますが、音楽をやっている時は別人みたいだと言われます。良いリフレッシュになっています。医療も音楽も、準備と練習の積み重ねが大切。どちらも真剣に向き合うことで、それぞれの質が高まっていくと感じています。
地域の皆さんへメッセージをお願いします。

地域の皆さんのお役に立てるよう頑張りますので、何か困ったことがあれば気軽にご相談ください。特に循環器のことはぜひお任せいただきたい。心臓病は早期発見が本当に大切です。「こんなことで」と思わずに、軽い気持ちで相談だけでも来ていただければと思います。ご家族についての相談ももちろん歓迎です。27年の歴史あるクリニックの良さを大切にしながら、循環器の専門性も生かして、より多くの患者さんのお役に立ちたい。難しい専門用語はできるだけ使わず、わかりやすく説明することを心がけていますので、安心して受診してください。これからも地域のかかりつけ医として、皆さんの健康を支えていきたいと思っています。

