加藤 順子 院長の独自取材記事
じゅん内科クリニック
(宝塚市/逆瀬川駅)
最終更新日:2025/02/14

阪急今津線・逆瀬川駅から徒歩2分。駅前の好立地でありながら、逆瀬川と山々を望む落ち着いた環境に「じゅん内科クリニック」はある。クリニックに一歩足を踏み入れると、木立をモチーフにしたぬくもりを感じる空間が広がる。呼吸器疾患の研究と診療に携わってきた加藤順子院長は、幼少期を過ごした思い入れのある土地で、地域医療に携わりたいという思いから2009年に開業した。喘息やアレルギー疾患の診療はもちろん、生活習慣病の治療まで幅広い内科、呼吸器系の治療に対応。「早めの受診と定期的な診察で、病気が重症化する前に防いでいきたい」と真剣なまなざしで語る加藤院長の言葉には、さまざまな患者を診察してきたからこその重みがある。気兼ねなく相談できるかかりつけ医として地域の人々の健康を支え続けてきた加藤院長に話を聞いた。
(取材日2024年11月29日)
地域への思いと医師としての歩み
内科の医師になられた経緯をお聞かせください。

祖父が長期入院でほぼ寝たきりになった経験が、医師を志すきっかけでした。病気と向き合う祖父や家族の気持ちを身近で見てきただけに、その不安な気持ちに寄り添える医師になりたいと思い、内科の医師の道を選びました。内科は患者さんとじっくり向き合い、定期的に診察を重ねることで、その方の体調の変化や生活習慣まで理解していける。そこに大きな魅力を感じました。大学院では衛生学を専攻し、予防医学についても学びました。実験を中心とした研究生活で、病気の予防や健康管理の重要性を改めて認識できました。その後、医局では循環器や呼吸器などさまざまな領域に対する診療の経験をしました。内科全般の知識を総合的に身につけられたことで、今では患者さんの症状を多角的に診られるようになりましたね。
大学病院での研究や診療はどのようなことをされていたんですか?
大学病院では主に喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の研究と診療に携わってきました。ちょうどその頃、喘息治療で新しいステロイド薬が発売され始めた時期で、先進の治療について学ぶことができたのは貴重な経験でした。その後、市中病院では呼吸器疾患に加えて、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病の診療も担当。さまざまな症状を持つ患者さんと接する中で、一人ひとりの生活スタイルに合わせた治療プランを考えることの大切さを学びました。
逆瀬川で開院された理由を教えてください。

この地域で幼少期を過ごした思い出があるんです。緑豊かな山々と逆瀬川の流れる穏やかな環境は、当時から変わらない魅力があります。地域でお世話になった方々に医療を通じて恩返しがしたいという希望もあり、この場所での開院を決めました。駅前という便利な場所でありながら、落ち着いた雰囲気が残る逆瀬川。思い入れのあるこの地域で、お子さんからご高齢の方まで、安心して通院していただけるクリニックをめざしています。
内科、呼吸器科の症状を丁寧に診療
どのような症状の患者が来院されますか?

咳が続く方や喘息の方が多くいらっしゃいます。最初は「風邪かな?」と思って来院される方も多いのですが、丁寧に症状をお聞きすることで、背景にある問題が見えてくることがあります。例えば朝方や夜間に咳が出る、息をするとゼイゼイする、痰が絡むといった症状がある場合は、単なる風邪ではなく喘息の可能性もあります。またご高齢の方は血圧の薬の処方や、糖尿病やコレステロールなど一般的な内科の相談もあり、総合的に診させていただいています。
咳の症状については、どのように診断されていますか?
咳の原因はさまざまです。季節の変わり目や花粉の時期は特に呼吸器の症状が出やすくなります。例えば春先に咳が続く場合、花粉症からくる咳なのか、それとも喘息の症状なのか、適切に見極めていく必要があります。またご高齢の方は症状が重症化しやすいため、早めの受診をお勧めしています。症状が強くなくても、検査をすると気道に炎症が隠れているケースもあるんです。当院では、患者さん一人ひとりの症状に合わせて必要な検査を行っています。具体的には、気道の炎症を調べる検査装置で、呼気中の一酸化窒素濃度を測定します。息を吹き込んでいただくだけの簡単な検査なのですが、この数値を参考に気道炎症を調べていきます。また重症度に応じて肺活量の検査やエックス検査なども行い、必要な場合は宝塚病院や宝塚第一病院、宝塚市立病院といった医療機関と連携してCTを撮るなどの精密検査を勧めています。
喘息の診断の際、特に重視されている点は?

まず大切にしているのが、詳しい問診です。症状がいつ起きやすいのか、どんな時に悪化するのかなど、お一人お一人の状況を丁寧にお聞きしています。そのために一般的な問診票に加えて、咳の症状に特化した問診票も用意しています。また「これくらいなら大丈夫」と思っていても、検査で数値が悪いこともあります。逆にとても心配されている方でも、検査結果が安定している場合もあります。だからこそ、早めの対応で重症化を防いでいくためにも、症状が2週間以上続くようでしたら、受診を検討していただきたいですね。また、症状が落ち着いた場合でも気道の炎症が続いている可能性は高く、著しい気温の変化やハウスダストなどで再び症状が現れてしまうこともあります。根本から改善することが大切ですので症状が繰り返される場合も、ご相談に来ていただければと思います。
通いやすさにこだわった診療スタイル
院内での診療体制について聞かせてもらえますか?

患者さんの時間を大切にしたいという思いから、診察時間をできるだけ無駄にせず、スムーズに受診していただけるよう当日予約制を導入しました。また感染症対策として、発熱のある方は別室で待機していただき診療するなど、患者さんが安心して通院できる環境づくりを心がけています。それから、できるだけ院内で検査ができる体制を整えています。例えば、糖尿病の方には血糖値を測るHbA1cの検査を院内で実施。1~2ヵ月分の平均的な血糖値がその場でわかります。検査を外注すると結果が出るまでに時間がかかることも少なくなく、次の診察まで間が空いてしまいます。その場で結果がわかればすぐに診療方針を決められますし、何より患者さんが余計な不安を抱えずに済むでしょう。
その他、特徴的な診療である禁煙の外来について教えてください。
禁煙治療は3ヵ月間のプログラムで、保険診療で受けていただけます。初診の後、2週間ごとに2回、その後1ヵ月ごとに2回の合計5回、予約制で診療を行い、医師と看護師が一緒に患者さんの禁煙をサポートしています。例えば「タバコを吸いたくなった時はガムを噛んでみましょう」など、具体的な対処法もアドバイスします。特に最初の1ヵ月が大切な時期。次の診察までの間も、必要に応じて電話で様子をお伺いしています。定期的に通院することで、禁煙に向き合い、その方のペースに合わせて焦らず着実に進めていけるのが特徴です。
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

「こんなこと相談してもいいのかな」と迷われる方も多いと思います。でもそんな時にこそかかりつけ医がいると安心できるでしょう。体調の変化や不安な症状があれば、遠慮せずに何でもご相談ください。実際に診察してみると「大きな問題はなかったです」とお伝えできることもありますし、もし気になる症状があれば必要に応じて検査や治療を行えます。日本の医療の良いところは、自分で病院を選べること。どうぞハードルを高く感じず、まずは気軽に来院していただければと思います。