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川端 貴美子 理事長の独自取材記事

MIZUHOデンタルクリニック

(直方市/中泉駅)

最終更新日:2023/09/14

川端貴美子理事長 MIZUHOデンタルクリニック main

永満寺団地バス停から徒歩1分ほどの場所にある「MIZUHOデンタルクリニック」は、ハンディキャップのある幅広い年齢層の患者を受け入れている歯科医院だ。川端貴美子理事長は福岡歯科大学に通う学生時代に「障害者歯科」に出合い、その道を志した。大学院では麻酔科で全身麻酔や患者の全身管理を学び、医療法人徳洲会の病院や小倉記念病院などを経て同院を開業した。「私たちがサポートすることで、家の中にいるだけではわからない“気づき”を得ることが大事なんです。歯科治療もその一つ。それをまた生活に生かしてくださるとうれしいですね」と明朗快活な口調で語る理事長に、治療で心がけていること、併設しているショートステイなどについて話を詳しく聞いた。

(取材日2023年7月31日)

型にはめず、患者一人ひとりの個性に応じた治療を提供

貴院ではハンディキャップのある方の歯科治療を行っていると伺いました。

川端貴美子理事長 MIZUHOデンタルクリニック1

お子さんから高齢者まで幅広い方がいらしてくださっています。外来での診療や、ご自宅や病院、施設への訪問診療などさまざまな対応が可能です。私たちは、人にはそれぞれ個性があり、ハンディキャップのある方たちはその「個性の幅」がより広いのだと捉えています。大きい声が苦手だったり、生まれつき耳が聞こえなかったり、年齢を重ねて認知症が出てきたりと。ですから当院ではルーティン的な治療はしません。まず最初の問診、というよりごく普通の対話に近いですが、何が苦手なのかといったその方の「個性」を、ご本人やご家族などからお伺いし、その方に合った治療方法を、その方に合うペースで一緒に考えていくスタイルを取っています。

患者さんができるだけストレスを感じないようにしているのですね。

「この方は何をされたら嫌なのか」を特に考えます。大きい声が苦手、逆に小さい声だとストレスになる方もおられます。あとは待ち時間が苦手な方も多いですね。なので治療は予約制で、待ち時間は会計以外ほとんどないと言ってもいいくらいです。時間通りに始まり、時間通りに終わるように努めています。遅刻された患者さんには「30分の予定だったけど、遅れたので25分の治療時間になりますよ」とお互いの「約束ごと」を丁寧に確認していくことで、だんだんと時間を守ろうと心がけていただけるようになると思います。しかしそれは決して、患者さんを急かしているのではありません。最初の数回は治療をせず、あいさつや雑談をメインに行うことも治療に必要なことだと考えています。対等な人間同士として、理解を深めるコミュニケーションなのです。

理事長以外の歯科医師やスタッフさんも同じようにされるのでしょうか?

川端貴美子理事長 MIZUHOデンタルクリニック2

苦手なことがわかったら必ずカルテなどに記載して全員に申し送りする以外は、それぞれのやり方にお任せしています。ただ一つお願いしているのは、患者さんを絶対に傷つけないことです。行動でも言葉でも、患者さんが傷つくことを故意に行うのは許しません。実際に患者さんに接していると私たちが捉え違いをし、患者さんの希望をうまくかなえられないこともありますが、「間違いだった、今度からはこう接しよう」と改めればいいだけのこと。患者さんのペースを尊重し、ゆっくりと治療を行っていくのが当院のスタイルなのだと思います。

患者の生活に寄り添い、多くの気づきをともに得ていく

2階にはショートステイも併設されていますね。

川端貴美子理事長 MIZUHOデンタルクリニック3

利用者さんのほとんどは当院の患者さんで、介護者が休養時間を取るためのレスパイトにも対応しています。利用の際にご家族、特にお母さまにお伝えしているのは「ご家族のご希望に100点満点で応えることは正直難しいですが、できるだけの対応を行うので、お子さんがどうしたら喜ぶのか、どうしてほしいのかを教えてほしい」という点です。ずっと見ている親御さん以上のことはできませんからね。楽しく過ごしていただけるように、2階のベランダでバーベキューをすることもあれば、ホタルを見に行くこともあります。ハンディキャップのある方は他の人よりもちょっとだけ苦手なことが多いので、ご家族だけでレジャーに行くなど、難しいことも多いでしょう。しかし私たち歯科医師や地域の看護師さんなどと手を取り合うことで、可能になることもあるんです。

地域全体で患者さんを支えていくのですね。

ご本人の思いはもちろん、ご家族の思い、そしてきょうだいがおられるのでしたら、その子が無意識のうちに思っているであろうことも大切にしたいと考えています。ハンディキャップのある方のきょうだいは「苦手なものとは距離を置く生活」に慣れていることが多いです。先ほどのホタルはそのわかりやすい例で、川べりなどの道が不安定な場所に行くのは、ご家族だけでは対応が難しくて諦める。それが日常になっているんですね。しかしそれはその子にとっては純粋に可哀想なことであるとも言えるのです。そこで私たちの医療知識と、看護師などの協力があれば、今以上に楽しいことができる可能性が広がる。「こんなことができたんだ」とうれしいこともあれば、逆に「これは難しかったか」ということもあるでしょう。しかし大事なのはその気づきを得られることだと思うんです。

治療だけではなく、生活において得るものがあると。

川端貴美子理事長 MIZUHOデンタルクリニック4

ホタルを家族全員で見に行けた。その成功体験は次の何かへとつながっていくでしょう。そして、治療を通じてお子さんの成長を感じられる可能性もあります。例えば、家では口を開けてくれないけれど、当院では口を開けて治療を受けているとなれば、それはお子さんが成長しつつも、親御さんに甘えている証拠だとも考えられますよね。ハンディキャップのある方の成長は健常者のそれより遅いかもしれません。しかし一歩一歩前に進み、成長していると実感できたら、これ以上ない幸せではないでしょうか。

他院の歯科医師とも連携し、治療を受けやすい環境へ

治療の送迎サポートをしているのも気づきにつながると思ってのことでしょうか?

川端貴美子理事長 MIZUHOデンタルクリニック5

はい、そうですね。訪問診療だと私たちがご自宅に伺うので、患者さんは外に出る苦労をしなくて済みます。でもまだ歩ける方、手助けがあれば外来に来られる方もおられるでしょう。外出しない状態が続くと、内にこもる生活になりかねません。とはいえ、月に1回の入れ歯の調整のためだけにご家族が有給を取るのも難しいですし、家の外にあるものや人と触れ合うのはとても大切なことですから。一方で施設へ入居される場合や、病院に入院されるなどの際は、ご家族と入院先の病院などとのすり合わせができれば、私たちがそちらに治療へ向かいます。このように場合によっては、患者さんに来てもらうよりも私たちが行くほうが良いケースもありますし、最期まで私たちが追いかけて診療することも大切にしたいと思っています。

治療中はどんな工夫をされていますか?

患者さんが言葉にできずとも、私たちが様子を見て患者さんが感じていることを察することが必要ですし、質問をする場合も「はい」「いいえ」と、ごく短く答えられるように言葉を選んでいます。耳が聞こえない場合は、手話ができる方、そうではない方がいらっしゃって、手話には歯科の医学用語がほとんどありません。ですから、絵カードなどを使って「痛い」と指し示せるようにするなどの工夫をしているんです。また、歯周病治療やインプラント治療などが必要になった場合は、信頼できる先生を紹介するようにしています。私が得意なのは患者さんとの付き合い方。診療に関してはその道がお得意な先生がおられれば、その先生にお任せするのが、歯科医師としての正しい選択だと考えています。とはいえ他院に行くことを患者さんに強要することはないです。他院でインプラント治療だけをして当院に戻ってきていただいても構いません。

それは患者さんとの信頼関係を大切にされているからでしょうか。

川端貴美子理事長 MIZUHOデンタルクリニック6

患者さんにその思いが伝わっているなら、ありがたいですね。歯科医院に行くのはハードルが高いと感じるかもしれませんが、誰であっても新しい場所に行くのは怖いものです。ですから最初はお電話でも良いですし、とりあえず話に来る、といったように気楽に考えていただいて構いません。私は相談支援専門員といってハンディキャップのある方のお悩みを各サービスとつなげる資格も持っているので、お口以外のお悩みにも多少は対応できます。ですから安心して足を運んでみてください。患者さんの個性やペースに合わせて、ゆったりと治療をするのが当院の特徴です。個性はそのままに、しっかりと歯の治療、そして生活と向き合っていくお手伝いができればと思います。

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