佐藤 毅 院長の独自取材記事
佐藤歯科医院
(大田区/雪が谷大塚駅)
最終更新日:2024/12/13

大田区・雪が谷大塚駅にほど近い住宅街の一角で、80年以上にわたって地域の歯科診療を担う「佐藤歯科医院」。3代目の佐藤毅院長は、九州歯科大学歯学部口腔保健学科の教授に就任した今もなお、週末を利用して診療を続けている。2024年6月からは、東北大学歯学部の後輩で奥羽大学教授の羽鳥弘毅先生が右腕として加わり、開院日は限定的ながら大学教授2人による専門的な治療が可能な歯科医院として再スタートを切った。「父の代から長年通ってくださる患者さんの力になり続けたい。その一心で二足のわらじを履くことにしました。羽鳥先生は難症例にも対応できる補綴のスペシャリストですから、部分入れ歯・総入れ歯からインプラントまでお気軽にご相談いただきたいですね」と話す佐藤院長に、経歴や専門分野、診療にかける思いなどを聞いた。
(取材日2024年9月15日)
現役大学教授2人による専門性に基づく診療を実施
「佐藤歯科医院」は先生で3代目だそうですね。

当院は、1935年頃に母方の祖父が開院した歯科医院で、母と結婚した父が2代目を継承しました。その父が2022年8月に亡くなり、私が3代目として診療しています。当時の私は大学病院で診療と研究をしていて、非常にやりがいを感じていた時期でした。ただ、当院は歴史が長い分、一緒に年を取ってきた患者さんたちがたくさんいらっしゃいます。診療をやめれば、その方たちの行き場を奪ってしまうことになる。悩みましたが、当院を信頼して通ってくださる方のお力になりたいという気持ちが勝り、週末に当院の治療を継続することで大学病院での研究・診療と両立することにしました。ここで父が診療する姿を見て育ち、結果として歯科の道に進みましたから、思い出深い場所を人手に渡したくないと思ったのも理由の一つですね。
今は、どのようなスケジュールで診療しているのですか。
平日は九州歯科大学で研究と教育と診療に携わり、週末にこちらで診療するのが基本的なスケジュールです。しかし、あちらでやるべきことも多く、帰ってこられない週もあるのが悩みでした。そんな時、出身大学である東北大学の同窓生が開いてくれた教授就任パーティで、羽鳥先生が声をかけてくれたんです。彼も奥羽大学の現役教授で多忙な人ですが、月1回ほどであれば診療を手伝えると言ってくれました。それで、現在は羽鳥先生と連携しながら、週末の診療を行っています。
では、現役の大学教授による専門的な歯科医療が受けられるのですね。

こうした町のクリニックでは非常に珍しいと思いますが、結果的にそうなりました。私は口腔外科が専門ですから、虫歯や歯周病の治療、入れ歯の調整、メンテナンスなどの一般歯科はもちろん、インプラント治療にも対応しています。また、大学院で研究していた歯周病も得意分野の一つです。歯周病治療は根気が必要ですが、改善に向けたアプローチや見通しを丁寧に説明しながら治療に伴走しますので、安心してご相談ください。また、羽鳥先生は難症例を多く手がける補綴のスペシャリストです。総入れ歯や部分入れ歯をメインに、ブリッジやインプラントなど補綴治療全般に磨かれた技術と知識を持って対応してくれていて、安心して患者さんを任せることができています。矯正についても専門の先生が在籍していますので、歯並びなどが気になる方はご相談ください。
将来の歯科治療を変えるため、研究にも長年注力
歯周病の治療について、詳しく教えていただけますか。

歯周病は細菌感染によって歯周組織に炎症が起こり、悪化すると歯を支える骨が溶けてしまう病気です。歯周病が原因で糖尿病が悪化するリスクがあるなど、全身の健康に影響することがわかっていますが、自覚症状が少ないためか、患者さんの危機感は薄いのが現状です。治療には半年~1年、場合によってはさらに半年と根気良く続ける必要がありますが、ぜひ早めに改善に取り組んでほしいですね。途中でフェードアウトしないことが何より大切なので、治療の前に現状をわかりやすく説明し、お口の中をより良い状態にしたいという患者さんの気持ちを引き出すようにしています。もちろん治療を開始した後も、折を見て治療の状況や予想される期間を詳しくお伝えしていますよ。治療することでどのような改善が見込めるのか、どれくらいの期間がかかるかなど、不安なことはなんでもお尋ねください。
先生の研究についてもお聞かせいただきたいです。
もともと物事の「仕組み」を考えるのが好きで、研究は私のライフワーク。研究によって病気になるメカニズムを解明したり、新たな治療のアプローチを見つけたりすることをめざしています。これまで主に研究してきたのは、2008年に発見された「咀嚼筋腱・腱膜過形成症」です。これは、咀嚼筋と骨をつなぐ腱という組織が異常に太く成長し口を開きにくくなる病気です。重度では15mmほどしか口が開かず、細かく刻まないと物が食べられない、歯科治療ができない、心肺停止時に気管挿管ができないなど、さまざまな弊害があります。疫学的には潜在患者を含めて約100人に1人がこの疾患になる可能性があるといわれていますから、将来的に研究が助けになればうれしいですね。
顎関節症も研究されているそうですね。

顎関節症と咀嚼筋腱・腱膜過形成症には「口が開きにくくなる」という共通点があり、顎関節症で紹介されて来た患者さんをよく検査してみたら咀嚼筋腱・腱膜過形成症だったという報告もあるため、合わせて研究することに意義があるんですよ。開口障害を伴う疾患の診断・治療については、見極めが難しいケースも含めて多くの症例を経験していますので、お悩みの方のお力になりたいと思っています。また最近では、歯科衛生士の業務範囲拡大につながる教育の在り方の研究と実践に力を入れ始めました。歯科衛生士が携わることができる業務を、がんの検査や顎関節治療などまで拡大できないか研究しているのです。人手不足の解消や歯科衛生士の立場向上につなげられればいいなと思っています。
磨き続けた専門性は、日々の診療にも生きている
大学病院の診療と両立してきた経験や知見が、こちらで生きていると感じることはありますか?

地域の歯科医院は、予防や治療だけでなく「大きな病気を見逃さないこと」も大切な役割。その点で、大学病院で埋伏抜歯から顎の骨折、インプラント治療、口腔がん・舌がんなどの粘膜疾患まで、幅広い症例を診てきた経験は大いに役立っています。例えば「口内炎が痛くて」と患者さんが来られた時、口腔がんを診てきた経験があれば疑いを持って詳しく検査することができます。当院では口腔がんの検査である細胞診断法を取り入れていますので、悪性腫瘍が疑われる場合にはこの検査を受けることも可能です。今後も、専門的な経験を生かして、地域におけるゲートキーパーの役割を果たしていきたいですね。
患者さんと接する時に心がけていることを教えてください。
患者さんと丁寧にコミュニケーションを取ることに尽きますね。患者さんの理解と納得を得られるかどうかが、治療の成果を左右すると考えているからです。ご本人の言葉を引き出すことができれば適切な診断の材料になりますから、どの治療を行う際も必ず現状や治療方法について疑問点がなくなるまでお話ししています。電話での予約制にしているのも、一人ひとりにしっかりお時間を取って向き合いたいからなんです。受付や事務を担当してくれている親族もこうした方針をよく理解して、患者さんを丁寧にフォローしてくれています。
最後に、今後の展望についてお聞かせください。

羽鳥先生のお力を借りながら、大学病院とこちらの診療を両立していくつもりです。大学病院で培ったこと、研究で得た知識などを地域に還元しつつ、長く通ってくれている患者さんや、これから来てくださる患者さんを丁寧に診ていきたいですね。お口の中の症状でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。お待ちしています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/15万円(インプラント埋入8万円、ジルコニアクラウン7万円)、 表側矯正(小児)/40万円 、表側矯正(成人)/80万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/50万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。