原 英徳 院長の独自取材記事
はら眼科クリニック
(堺市南区/泉ヶ丘駅)
最終更新日:2024/08/07
泉北高速鉄道線の泉ヶ丘駅を降りると目に飛び込んでくるのが、百貨店などが入る大型ショッピングセンター。そこに入る医療モールのオープンと同時に開業し、以来14年間にわたって地域住民の目の健康を担い続けているのが「はら眼科クリニック」だ。院長を務める原英徳(ひでのり)先生は、大学病院や民間病院で眼科手術などに携わり、日本眼科学会の眼科専門医の資格を持つエキスパート。「うちのロゴマーク、視力検査のランドルト環がモチーフなんですよ。ひと目で眼科とわかるし、かわいいでしょう」と、目を細めるにこやかな表情から、患者思いの優しい人柄が伝わってくる。そんな原院長に、院内の様子や医療への取り組みなど、クリニックの魅力をじっくり聞いてみた。
(取材日2019年5月15日)
誰もが利用しやすいクリニックをめざして
クリニックのある3階は医療モールになっていますね。
はい。開業前、ここにメディカルセンターをつくる計画があることを開業セミナーで知り、駅前にそんな良い物件があるならと即決させていただきました。歯科・内科・婦人科・眼科という4軒のクリニックでスタートすることになったわけですが、施工も同時でコスト的な恩恵がありましたし、内科や歯科に来た患者さんに「ここに眼科もあるんだ」と知っていただけるなど、いろんな相乗効果がありました。泉北の街は昭和にできたニュータウンで、それから40〜50年もたっていますから、患者さんもご高齢の方が多いですね。私の生まれは岸和田、妻の実家は堺で、もともとなじみのエリアではありましたが、近々、私の出身である近畿大学医学部と付属病院が移転してくる予定です。そうなると、さらに診療連携がやりやすくなるでしょう。
どのようなクリニックをめざしましたか?
まず、車いすやベビーカーでもそのまま入ってこられるように、動線は広く取っています。検査室や診察室も広々とすっきりしているでしょう。特に診察室は自分自身が一番長くいる場所ですし、ご家族も一緒に入られることも多いので、ちょっと広めの設計にしました。環境面より重要なのは、患者さんへの対応ですね。患者さんに対して患者さんの病気の訴えを真摯に受け止め、わかりやすく説明するよう心がけています。希望者には自宅に帰ってもわかるように「健康手帳」をつくりメモを添えたりすることもあります。目や耳が不自由な方への声かけの方法などには注意を払っています。現在、多くの患者さんに来ていただいているのはスタッフのおかげでしょう。よく患者さんから「私はあの人のファンだ」と、名指しでお褒めの言葉をいただくこともあり、それを聞くと私もうれしいですね。スタッフは11人です。
診察室にはモニターが設置してありますね。
これは画像ファイリングというシステムで、目の奥や角膜の病気なども、診察室にあるモニターで全部見ることができるようになっています。OCT(光干渉断層計)は別の部屋で撮るのですが、そのデータが天井裏のケーブルを伝ってこの診察室に来るようになっています。患者さんはもちろんですが、同伴のご家族にも確認していただけます。初診時からの治療過程を実際の写真をご覧いただきながら説明できますし、病状をわかりやすく説明する場合にも非常に役立っています。これは開業時からありますが、技術は日進月歩ですから、新しいものが出ればなるべく導入するようにしています。
大学病院との連携で高度な医療の提供に努める
小さなお子さんの目に関する相談はありますか?
よく2、3歳児のお母さんから、「うちの子、本当にちゃんと見えているのでしょうか?」という相談があります。心配のきっかけは、よく家具や壁にぶつかるとか、テレビの前にかぶりついているというものです。通常、それを光学的に調べるにはレフラクトメーターとも呼ばれる眼屈折計を使用しますが、小さなお子さんは嫌がって顔を載せてくれないこともあります。そこで活躍するのが携帯型のオートレフラクトメーターで、ハンディーカメラのようなものを向けて、それを子どもがじーっと見ている間に弱視や遠視、斜視が隠れているかどうかをコンピューターが自動で判断します。ポータブルなので便利ですし、リアルタイムにその場で判定できます。私は嘱託医や学校医として幼稚園と保育園、小中学校など7ヵ所を健診で回っていますが、その際にもこれが大活躍しています。
診療時に院長が心がけていることは?
まずは聞き上手になることです。病気の悩みをためて、相談したいと思っている方から、「今日は先生と話しに来た(笑)」という患者さんまでおられます。でもそんな会話の中にこそ患者さんに合った治療法が見つかるんですよ。逆にこちらが話す場合は、あまりたくさんのことを一度に話さないことです。人というのはそんなに多くのことを覚えていられませんから、3つ4つ話したうちの2つぐらいを持ち帰っていただく感じで、ここだけは聞いてほしいというポイントを、なるべく絞って話すようにしています。あれもこれも話しておいて私が安心できても、患者さんが覚えられないようでは意味がありませんからね。
眼科の医師としてやりがいを感じる時は?
以前、あるご婦人の診察をしていて、教科書や文献でしか見たことのない、たいへん珍しい白目にがんができる結膜上皮内がんという病気を見つけたことがあります。すぐに専門の医師に連絡を取りました。調べてみるとやはり間違いないということで手術になりました。先輩の先生から「よく見つけたな」と言われ、勉強会に顔を出せばその話になり、素直にうれしかったですね。数年たって、その時の患者さんのご主人がわざわざお礼に来られました。まさに医師冥利に尽きる瞬間ですが、反面、見落としには注意せねばと思いますね。そのためにも、やはり日頃から怠らずに研鑽を積んでおかねばなりません。
みんなで笑顔を共有できる医療を続けたい
院長が眼科を専門に選ばれた経緯を教えてください。
うちは代々農家をやっていて、その本業の傍らに父は自宅の離れで書道教室を開いています。待合室に飾ってある書は父の作品で、新作を楽しみにしている患者さんもいらっしゃいます。その父が、家業ではなく、自分の道を選ぶように勧めてくれました。まず兄が、続いて私も医学の道を選びました。兄は耳鼻咽喉科の医師になりました。私が眼科に興味を抱いたのは、白内障手術を知ったのがきっかけです。当時はちょうど超音波を使った手術が出始めた頃で、短時間でできると、手術を受けた患者さんからすごく喜ばれていたわけです。医師になるからには、患者さんのためになることをやって喜ばれたい。それが眼科の医師をめざしたきっかけで、今も私のモチベーションになっています。
現在、休日はどのように過ごしていますか?
家族と過ごすことが多いですね。妻と子どもたちと出かけるのが好きです。たまに家族で温泉に旅行に出かけます。手足を伸ばして温泉に浸かるのは、最高のリラックスで、食事もしっかり楽しめるのが温泉旅行の良いところですよね。
最後に、読者へ向けたメッセージをお願いします。
せっかくこの泉北の地で開業したのですから、微力ながらも地域の方々に貢献できればという思いです。いたってシンプルではありますが、やはりそれが一番なんですね。そのためには、どんどん進歩する医療技術や知識を常に取り入れていかなくてはなりません。勉強会に出たり、新しい機械を導入したり、時間も手間もお金もかかりますが、惜しまずに続けていきたいと思います。手術をはじめ、私の手に負えない部分は大学病院の先生にお任せすることもありますし、設備では大学病院には勝てませんが、皆さんが気軽にかかりやすいクリニックとしてサービスに徹することが使命だと考えています。クリニックのロゴマークにあるスマイルを、患者さんもそのご家族も、スタッフや連携先の先生もみんなで共有できる、そんな医療を続けていきたいと思います。