徳永 洋一 院長の独自取材記事
とくなが小児科クリニック
(北九州市小倉北区/城野駅)
最終更新日:2026/02/24
国道10号沿い、小倉北区と小倉南区の境に位置し、西鉄バス・水町バス停からすぐの場所にある「とくなが小児科クリニック」。院長を務める徳永洋一先生は日本小児神経学会小児神経専門医。大学病院や地域の基幹病院で一般診療から救急診療まで、多様な診療経験を積んできた。現在は発達障害の診療に力を注ぎ、患者とその家族を支える徳永院長に、これまでの歩みや診療にかける想いを聞いた。
(取材日2026年1月8日)
小児神経専門医として、発達障害の診療に取り組む
小児神経内科がご専門とのことですが、クリニックの特徴を教えてください。

一般小児科だけでなく「子どもの神経内科」に対応していることが大きな特徴です。小児の脳、神経、筋肉の病気や、発達の異常などを診療する専門科として発達障害、てんかん、運動障害、チック、吃音、頭痛、睡眠障害、起立性調節障害などを診ています。中でも一番力を入れているのが発達障害の診療です。発達障害を専門に診るクリニックが少ないこともあり、遠方から来られる患者さんもいらっしゃいます。子ども本人はもちろん、お母さんの心のケアやサポートにも力を入れています。風邪や腹痛、湿疹、便秘といった一般小児科診療では、西洋薬だけでなく漢方薬も取り入れていますので気軽にご相談ください。
小児神経内科ではどのような症状のお子さんが来られますか。診療の流れも教えてください。
言葉・運動機能の遅れ、家庭や学校でのトラブル、勉強面でのつまずき、知的発達への不安、落ち着きがない、けいれん、ピクツキ、言葉が出にくい、繰り返す頭痛、眠れない、朝起きられないといった症状のお子さんが受診されます。神経内科で重要なのは病歴を丁寧に取ること。出生時から現在までの経過を詳しく伺います。母子手帳で出生時や定期健診の際に問題がなかったか、また、幼稚園時や学童時期の気になる症状や発達の経過を確認し、そして現在の症状を診ていきます。例えば、「首ががくんとなる」と発作を心配して来られた乳児の場合、必ずしも発作とは限らないので、「これまでできていたことができなくなったりしていませんか」、など、発作以外の症状とその経過を伺います。細かく確認していくことで症状の変化や発達状況を総合的に判断し、適切な対応につなげます。
具体的な検査の内容も教えてください。

神経所見の確認のために、「神経学的検査」を行います。膝をたたいて腱反射を確認する検査、感覚や筋力の検査、認知機能を確認するための計算などを実施します。けいれんやまひなどは、専門的な検査が必要となるため、小倉医療センターと連携して診療を進めています。小児科なので初診は、中学生までが基本ですが、相談内容によっては高校生の初診も受けつけています。希望があれば、成人後も引き続き診療します。また、朝起きられないなどの起立性調節障害は循環器の疾患に分類されますが、内科が診てくれないこともあり、高校生も積極的に診療しています。
子どもと保護者に寄り添い、体も心もサポート
診療をする上で、大切にしていることはありますか。

小児科では保護者が付き添いますが、「主役は子ども」。子どもは「できた・できない」で気持ちが大きく動き、元気になったりしょぼんとしたりするものです。ですから「きちんとごあいさつできたね」「ちゃんと座れたね」「服をまくりあげるの手伝ってくれてありがとうね。ちゃんと聞こえたよ」、大きなお子さんでは、「朝ちゃんと起きられているね」など子どもに声をかけるようにしています。ほんの小さなことですが「自分でできた」という気持ちを大切にしたいからです。また、「様子を見ましょう」と曖昧に伝えることはせず、再診の時期を示したり、てんかんの場合は動画で記録してもらう、喘息で夜眠れない場合は具体的な対処法を伝えるなど、明確な指示を心がけています。
発達障害で受診される子どもと親御さんに対して心がけていることなどを教えてください。
子どももお母さんも「こんなことができなくて困っている」と、できないことに目が向きがちですが、普段の様子を丁寧に教えてもらうと、お母さんが毎日の生活の中で、悩み、試行錯誤し、苦労しながら子どものためになることを、ものすごくたくさんやっていることが見えてきます。そして、それにより実を結んでいることがいっぱいあるのにも気づきます。それはお母さんが日頃から子どもをよく見て、お子さんに寄り添った対応をしている証。でもそれは見えにくいもので、本人も気づいていないことが多い。そうした頑張りを言葉にして認め、褒めることを大切にしています。小児神経専門医だからこそできることがある。お子さんの診療はもちろん、お母さんの力にもなれるようにと考えています。
小児神経専門医からのアドバイスはとても心強いですね。お母さんをサポートすることでの変化はありますか。

発達障害のお子さんにとって「できた」と感じる場面を増やす、自己肯定感を上げるようにすることはとても大切です。注意される場面が多いと、「僕は駄目なんだ」と感じやすくなります。「声をかけないとできない」のではなく「今は声をかけるという手助けが必要なステージ」と捉えること。「まだここまでしかできない」ではなく、「ここまでできたね」と伝えることが大切です。同じことを言っているのですが、お子さんの受け止め方は大きく違います。叱るときも「次はこうするといいね」と前向きな言葉を添えるようにお話ししています。お母さんが子育てに自信を持ち、落ち着いて向き合うと、お子さんも落ち着いてきて、いい連鎖が生まれます。そしてより好ましい対応ができていく。そうなればお子さんは伸びると考えています。
「子どもとともに成長する」小児科でありたい
先生ご自身のことも聞かせてください。医師をめざしたきっかけやこれまでの診療経験を教えてください。

父は外科の勤務医で、医院を継ぐ必要もなかったため進路については「何をしてもいいよ」と言われて育ちました。夜勤の父にお弁当を届けたり、急患で夜中に出かける姿を見たりするうちに、自然と医師を志すようになりました。小児科を選んだ理由は、外科だと父と比べられそうだったから(笑)。もちろんそれだけでなく、全身を診て幅広い疾患に対応できること、そして何より子どもが好きだったことが理由です。大学卒業後は、九州大学病院、九州労災病院、小倉医療センターなどの小児科で一般診療から小児の救急診療、難しい神経疾患の診療を担当し、数々の症例を経験しました。約20年の勤務医経験を経て、「じっくり子どもと向き合える診療がしたい」と思い、2009年にクリニックを開院しました。
スタッフのチーム体制もとても魅力的です。
当院の公認心理師は、LD・ADHDなどのアセスメントや指導を行う「特別支援教育士」や保育士の資格も持っていて、密度の濃い仕事をしてくれます。また、知能検査や学習障害の支援は、大学で障害児教育を専攻したスタッフが行っています。ホームページの作成や院内書類のIT化を、情報工学を学んだスタッフが行ってくれています。さまざまな専門性を持ったメンバーが、子どもたちのために同じ方向を向いて取り組んでいるのが当院の強みだと感じています。「何でも相談できる、頼れる小児科」でありたいですね。
登山やマラソン、合唱などさまざまなことをされているそうですね。

そうですね、いろいろなことにチャレンジしています。プライベートでは長年マラソンに取り組んできました。股関節を痛めてからはレースには出ていませんが、再起をめざして現在リハビリ中です。登山も昔から好きで、最近は低山に登ることが多くなりました。合唱ではオーケストラとともにホールで歌う「合唱組曲『北九州』」の演奏会にも出演しています。旅行も好きで、最近は妻との離島巡りがブームです。子どもや絵本が好きなことから、クリニック開業前には図書館主催の「読み聞かせ教室」に通い、読み聞かせの技術も磨きました。新型コロナウイルスの流行前まではクリニックでイベントを企画し、読み聞かせも行っていました。子どもたちに喜ばれるイベントを、そろそろ復活させたいですね。

