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井上 嘉一 院長の独自取材記事

井上クリニック

(堺市南区/泉ヶ丘駅)

最終更新日:2024/08/07

井上嘉一院長 井上クリニック main

泉ヶ丘駅南口から徒歩8分、三原台1丁目交差点の一角に建つ“ルルポ泉ヶ丘”1階に「井上クリニック」はある。開業から15年、病気を未然に防ぐことをめざす予防医学を主軸とし、生活習慣病の予防と治療に注力してきた井上嘉一院長。専門の心臓カテーテル治療を中心とした循環器疾患から、呼吸器や消化器の疾患など、多岐にわたる内科領域において豊富な診療経験を積んだベテラン医師だ。循環器疾患についての、近隣病院からの患者の紹介もあるのだそう。年配者に配慮して備えたリラクゼーション室は、ちょっとした憩いの場になっているという地域密着のクリニックだ。笑顔を絶やさず優しいまなざしの井上院長に、開業医ならではの役割や心がけなど多方面に話を聞いた。

(取材日2019年6月12日)

命の現場で治療にあたり技術向上に努めた勤務医時代

医師をめざされたきっかけを教えてください。

井上嘉一院長 井上クリニック1

もともと人体に興味があり、どんな難病も手術で治す医師を主人公とした漫画をよく読んでいて、小学生の頃から医師になりたいと思っていたのです。その気持ちは変わらず近畿大学医学部に入りました。卒業する頃は外科に憧れがあったものの、研修中に内科にも関心を持ち、循環器なら全身管理もできて、外科的な救急治療にも携われると思うようになっていったのです。そして近畿大学病院の第一内科に入局するのですが、救急では何日も帰れないのが当たり前ですし、命の境目に関わる緊張の連続から心身ともに疲弊し、最初の1年間は科を変わろうと本気で思いました(笑)。

その後、専門分野でご活躍されるのですね。

一口に循環器と言っても細分化されており、私の専門分野は、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患の治療です。大学院では心臓カテーテル治療後の合併症である、再狭窄の研究で医学博士の学位取得に至り、大学関連病院では専門以外の呼吸器・消化器疾患など一般内科診療でも研鑽を積みました。また、専門分野においてはより知識を深め、高度な技術を習得するために大学病院を出て、小倉記念病院循環器科で、集中的に治療経験を積むことができました。それは今なお貴重な経験として私の糧になっています。

開業されるにあたりこの地を選ばれた理由はありますか?

井上嘉一院長 井上クリニック2

開業する数年前に勤務していた石切や八尾の病院からだと当院は離れていますので、その患者さんたちを引き続き診させていただける立地になく、この場所を紹介されたときは正直迷いました。ただ大学時代は隣町にいたのでなじみはありましたし、周囲の環境としては高齢の方の割合が高く自分の専門からいってもお役に立てるのではと思い決定しました。感慨深いのは、石切での勤務医時代に治療を担当していた心筋梗塞の患者さんが、離れた八尾の病院にも通って来てくださったりと、引き続き診させていただいている患者さんが数人いらっしゃることです。やっぱりうれしいですし、医師になって良かったと感じさせていただいております。

症状が現れにくい生活習慣病だからこそ予防に取り組む

注力されている治療やクリニックの特徴を聞かせてください。

井上嘉一院長 井上クリニック3

大学病院や基幹病院ではカテーテル治療が中心でしたが、開業しますとそこに至る前に、いかに心筋梗塞や狭心症などの重篤な状態に陥る危険性のある疾患を防いでいくかが、開業医の果たす重要な役割となります。そのために予防を主体とした診療に力を入れており、特に高血圧症、高コレステロール血症、糖尿病などの生活習慣病をいかに抑えていくことができるかを考え、取り組んでいます。すでに疾患をお持ちの場合は再発予防のための厳重管理ですが、まず疾患を抱えないための一次予防として、患者さんご本人が予防意識を持っていただくことが大切。生活習慣病のコントロールが難しい原因の一つが、この予防意識が低いことにあるといわれています。というのも糖尿病や高脂血症は、なかなか症状として現れてこないので、検査数値を指摘されても実感がなく放置しがちなのです。サイレントキラーと呼ばれるゆえんですね。

自覚症状がない方へはどのように指導されるのでしょう?

何のための「大切」なのかを今一度認識していただけるように、生活習慣病への注意が必要な年代の看護師も私も、予防のためにしていることなどお話しします。実は私自身、10年ほど前に20キロ減量しました。ただ、当時患者さんたちは病気だと思われたようで、私の顔をのぞき込む方や、私には直接聞きづらくて受付スタッフに尋ねる方もいらっしゃいましたよ(笑)。最初だけトレーナー指導を受けて、あとは食事制限を中心とした自主管理でしたから、糖質制限メニューなども考案してアドバイスさせていただいています。ライフサイクルの見直しや改善は簡単ではないですが、私もできたのだからと身近な見本として参考にしていただけると思うので、挑戦したかいがあったと思っています。

患者さんのモチベーションアップにもつながりそうですね。

あと、血圧やコレステロール値をコントロールするためには、医師に処方された薬がある場合は、内服を途中でやめないことも大切。数値の低下や安定した状態の維持が望めるのは内服を継続してこそと理解していただき、経過を診ながら薬の量を減らせるようにしていきましょう。私は患者さんは自分の家族だと思って、子どもや妻に処方するならどうするかを考え診療にあたっていますので、風邪には漢方薬を用いたり、自身が受けたいと思える治療提供のために新しい治療法なども積極的に勉強して取り入れられるものは取り入れるようにしています。医療は日々進化しますので専門に限らず開業後は、高齢の方が多く抱える慢性疾患分野の勉強会や講習会にもよく参加しています。

患者さん思いでいらっしゃることが伝わってきます。

井上嘉一院長 井上クリニック4

私は生活習慣病は循環器の疾患でもあると思うのです。例えば糖尿病は血糖が高くなって血管がボロボロになってくるわけだから全身の血管病と捉えられます。だから動脈硬化が起こり悪化すると手足の壊疽、失明、心筋梗塞に至るリスクが高くなるわけです。足がしびれたり感覚が麻痺したり、腎臓の機能障害から透析治療が必要になるのも、結局、もとを正せば血管疾患にあると考えられます。病院時代カテーテル治療を施しながら、重症になるとどれだけ危険かを診てきただけに、ここで止めたいという気持ちが強くあります。

やりがいは地域住民の健康管理を担っていくこと

診療において気をつけておられることはなんでしょう?

井上嘉一院長 井上クリニック5

開業時は看護師の皆さんに「そんな対応では駄目です」とよく怒られまして、病院での診療スタイルとは全然違うこと、笑顔がないことなどを指摘されました(笑)。私としては衝撃的なアドバイスでしたが、まずは笑顔とお話をじっくり伺うところから変革していった結果、患者さんとのコミュニケーションが増えていき、患者さん同士のご紹介でどんどん来院数が増えていきました。2024年の5月に15周年を迎えた当院ですが、支えてくれたスタッフたちの力は大きく、いつも感謝しています。

気分転換になる趣味などはありますか?

もともと音楽が好きで大学時代は軽音楽部に所属していました。当時からのバンドメンバーと月に1度はスタジオで練習し、毎年開催される音楽イベントのOB会に出演しています。ゴルフは勤務医時代にお付き合いで始めたのですが、最近ようやく楽しくなってきまして、年に2回、ゴルフコンペを当クリニック主催で行っています。医療関係者や私の友人、知人も参加してくれるので、気合いを入れて豪華景品を用意しているんですよ(笑)。

伝えたいメッセージや今後の展望について聞かせてください。

井上嘉一院長 井上クリニック6

年に一度の健康診断を必ず受けていただくことと、健診で異常を指摘されたらすぐに医療機関へ相談して早期に対処することを心がけてほしいです。また、体の不調や違和感があれば、早い段階で来ていただきたいです。たとえ自分の専門分野以外でも適切な専門機関へ紹介することができますし、適切な指導や生活改善のアドバイスも含め、何かとお力になれると思います。たいしたことないと放置するのが一番危険です。予防に注力するのは病気を抱えないようにサポートしていくためですが、すでに疾患をお持ちの場合は、それ以上進まないように現段階で止めることに注力していきますし、これからも地域の皆さまの健康を支えていきたいと思っています。

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