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佃 宗紀 院長の独自取材記事

つくだクリニック

(奈良市/新大宮駅)

最終更新日:2025/07/01

佃宗紀院長 つくだクリニック main

近鉄奈良線・新大宮駅から徒歩14分。小児精神科、小児心療内科を標榜する「つくだクリニック」は、発達障害を中心に子どもの発育や成長に関する専門的な診療を行う。日本小児科学会小児科専門医である佃宗紀(つくだ・としのり)院長は、鳥取大学医学部附属病院の小児科勤務後、後2003年に地元の奈良市で開業。2024年に現在の場所に移転し、子どものコミュニケーション能力を育成する「インリアルアプローチを中心とした個別言語訓練」を実施。また、支援が必要な子どもたちが集団・社会生活に必要な力を身につけられるようにと、児童発達支援・放課後等デイサービス「なないろ初伝舎」、通称「なないろ」と呼ばれる施設を併設。「つらい思いをしている子どもたちが元気な大人になれるようにサポートしていきたい」と語る佃院長の想いに迫る。

(取材日2025年5月29日)

子どもの発達と精神をとことん深く学ぶ

医師を志したきっかけと小児科を選んだ理由を教えてください。

佃宗紀院長 つくだクリニック1

小学校低学年の頃に祖父母が相次いで他界し、生きるということ、育つということの素晴らしさを意識するようになったのが、医学に興味を持つ最初のきっかけでした。小児科を選んだ理由の一つは、大学の臨床実習で「的確な治療をすれば子どもの回復につなげられる」ということを実感したからです。もう一つ、お世話になった小児科の教授が、私が幼少期に通っていた小児科の医師に似た雰囲気で、親近感を覚えたからでもあります。小児科の診療には、風邪のような急性疾患と、成長障害など長いスパンで診療する慢性疾患とがあり、自分は後者に興味を持ちました。大学卒業後は附属病院で診療しながら、小児科医療に力を入れている東京都立清瀬小児病院で、成長について勉強しました。その診療の経験の中で、医学的な知識はもちろん、医師としての心構えなど多くのことを学びました。中でも「小学生にもわかるように説明せよ」という教えは現在も役に立っています。

小児の精神科医療についてはどのように学んできましたか?

自分に不足している知識や情報についていつも探していく中でテーマをその都度決めて、ターゲットの文献をかき集めて読み、勉強会があれば積極的に参加して徹底的に学びました。ある先生には1ヵ月に4回、毎週末に奈良から東京まで通って勉強会に参加したこともありました。また、10年ほど前から同志社大学心理学部で嘱託講師をしていますが、講義をするのもすごく勉強になります。深く確実に理解できていないと人に教えられないので、自分で調べ直したりすることも多いです。また患者さんとそのご家族に対して説明しながら、いろいろなアイデアがひらめくこともあります。目の前の子どもたちにとって何が大切かをよく考えて学ぶこと、工夫することを大切にして診療と発達支援を行っています。

2024年にこの場所へ移転したのは、どのような理由からですか?

佃宗紀院長 つくだクリニック2

全国的にまだ例の少ない「インリアルアプローチ」を充実させるために、ある程度の広さが必要だったことから、この場所を選びました。具体的には、1つの部屋で言語聴覚士とお子さんが個別に向き合い、コミュニケーションを通じて言葉の発達を促すという方法です。特に自閉スペクトラム症のお子さんは、他者に対する意識が弱いため、他者である相手の気持ちをくみ取る力が弱いことが多いんです。言語聴覚士とのやりとりを通してお子さんが他者の存在を意識し、相手の気持ちをくみ取り自分の行動を修正する力が身につくことを目標にしています。

子どもの「つらさ」に寄り添い、多方面からフォロー

メンタル面でサポートが必要なお子さんは増えているのでしょうか?

佃宗紀院長 つくだクリニック3

そうですね。現在も毎日何名も初診でいらっしゃいますが、一人ひとりとじっくりお話しするため、夜10時頃まで診療していることも多いです。子どもだけでなく、8年ほど前から大阪市のクリニックで成人の診療も行っています。当院での診療が終わってから週に2回、平日夜間に診療しています。成人の患者さんは、会社でのパワハラなどが原因で適応障害やうつ病を発症することが多いのですが、発達障害のお子さんが成人後にそういった状態になるケースも見られます。また、そのクリニックの院長が産業医でもあるので、就労関係などについても学んでいます。

うつ病のお子さんが増えているという話も聞きますが、そういった症例にも対応されていますか?

適応障害やうつ病のお子さんは増加してきています。病院と連携して診療を行うことが多く、年齢に応じてですが、基本的な薬物療法を行うことも多いです。病診連携により、リスクを極力減らすことを大切にしています。「なないろ初伝舎」でカウンセリングなどの支援も行っています。

こちらのクリニックでは、食育にも力を入れているとお聞きしました。

佃宗紀院長 つくだクリニック4

30年ほど前には小児肥満の方へのアプローチについて専門的に取り組んでいました。また、管理栄養士養成の専門学校の教授を務めておりましたので、多くのお子さん・親御さんがいらっしゃる当院でも食育にはより力を入れたいと思っていました。そういった背景もあり、昨年の移転のタイミングでカフェを併設したんです。当院には栄養士も2人在籍しておりますので、医師である私がお話しするものとはまた違った角度から親御さんに食育を学んでいただくこともできます。ぜひ気軽にご利用いただきたいですね。

子どもとまっすぐに向き合い、真摯に関わる

クリニック併設の「児童発達支援・放課後等デイサービスなないろ初伝舎」について教えてください。

佃宗紀院長 つくだクリニック5

「なないろ初伝舎」は、多職種連携をたくさんのスタッフで行って支援をつくります。学年が上がってもいつも相談や支援を続けていくことができる「伴走型支援」の場として始めました。つらい思いをしている子どもたちが元気に成長できるように、多くのスタッフがサポートを行っています。

こちらでは、さまざまなスタッフが活躍しているとお聞きしました。

当院には作業療法士や言語聴覚士、公認心理師に加え、保育士や教員免許を持ったスタッフも在籍しており、さまざまな角度からサポートできる体制を整えています。スタッフに対しては外部講師の方を招き、発達支援や医療的ケアに関する勉強会を毎週開催し、支援の質の向上と専門性の強化を図っています。私自身もスタッフに対して講義を行っています。質の高い支援を提供し続けられるよう、これからもチーム一丸となって前進していきたいと思っております。

その他に力を入れている診療について教えてください。

佃宗紀院長 つくだクリニック6

子どもたちが皆元気に成長して大人になるために就労を見据えた支援と、トラウマインフォームドケアを重視しています。特に、虐待やいじめなどによるトラウマ・ストレスを受け、フラッシュバックや解離など、つらい思いをしている子どもたちが元気になれるようにしていきたいです。患者さんはそれぞれ置かれている環境や状況が違うので、一人ひとり丁寧に話を聞きながらサポートしていくことが大事です。そのために自分自身も学びを深めていきながら、多職種の連携により、組織的にしっかりフォローできる体制をつくっていきたいですね。

最後に、読者の方に向けたメッセージをお願いします。

子どもたちは皆「自分とまっすぐに向き合い、ちゃんと関わってほしい」と願っています。そして、そういったちゃんと関わってくれる人に出会えるかどうかがすごく大切です。親御さんはもちろんですが、尊敬できる憧れの第三者の大人が子どもと真っすぐに向き合い関わることができれば、ほとんどの子どもは元気に育ってくれるでしょう。これからも今まで同様に、しっかりサポートしていきたいですね。一般的には、中学生以上は診療や支援をしないという施設も少なくありませんが、つくだクリニックでは子どもたちが成人になってからも診療を継続しています。2006年から発達診療を始め、多くの子どもたちを診てきた経験を、皆さまに還元したいと強く思っています。お子さんの発育や発達に不安のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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