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小笠原 博宣 院長の独自取材記事

ことに眼科クリニック

(札幌市西区/琴似駅)

最終更新日:2021/10/12

小笠原博宣院長 ことに眼科クリニック main

琴似駅に直結する複合施設に入る「ことに眼科クリニック」。院長の小笠原博宣先生は旭川医科大学病院に在職中、緑内障や眼循環、未熟児網膜症などの研究や治療に従事し、後輩の指導にもあたってきた経験豊富なドクターだ。「より多くの患者さんと接し、地域に根差した診療をしたい」との思いで2001年に琴似駅前に開業。現在の場所には2013年に移転した。同院には地域の子どもから高齢者まで、幅広い世代の患者が訪れるほか、緑内障治療ではクチコミで来院する人も多いのだそう。「数十年前の患者さんでも、眼底は覚えているんです」と穏やかな口調で話す小笠原先生に、患者とのエピソードや現在行っている治療について話を聞いた。

(取材日2020年10月7日)

大学病院や海外での経験を生かし、地域医療に貢献

先生が眼科の医師を志した理由を教えてください。

小笠原博宣院長 ことに眼科クリニック1

家族に医療関係者はいないのですが、同級生のお父さんが病院の院長をしていて、その先生に憧れたことがきっかけで医師をめざしました。旭川医科大学に進学し、卒業後は同大学病院に勤務しました。最初は循環器内科を専門にしようと考えていましたが、いろいろな科を見ていくうちに、手術に興味を持つように。眼科の場合、診療から治療、術後のケアまで一つの科の中で完結でき、診療の幅が広いことが魅力的でした。また治療後の喜んでいる患者さんの顔が印象的だったことも大きな理由です。そして眼科にも「目の循環」という分野があり、大学病院の眼科で目の循環の研究に携わり、学位を取得しました。

大学病院での研究や治療について、詳しく教えてください。

緑内障などの目の病気が進行する原因の一つに、目の血流の悪さが考えられているのですが、こうした血流を含めた目の循環について研究していました。若い時にはハーバード大学の眼研究所に留学して、この分野の研究に従事し、帰国後は再び大学病院に戻って緑内障専門の外来を担当したり、未熟児網膜症の患者さんを担当したりしていました。手術は白内障、緑内障が多かったですが、網膜剥離や硝子体手術など広く経験を積ませてもらい、また後輩の指導にも携わってきました。開業して、今は研究から離れていますが、当院には緑内障の患者さんも多いので、お薬だけでなく、血流にも原因があることを説明して血圧や生活習慣の管理の大切さもお話ししています。

大学病院に残らず、開業を選択したのはなぜでしょうか。

小笠原博宣院長 ことに眼科クリニック2

大学病院は研究ができて学会に参加しやすく、仲間や後輩に囲まれて楽しく、充実した環境ではあったのですが、一方でもっと患者さんを診たいという思いもありました。開業するかどうか、かなり迷ったのですが、医師として地域医療に貢献したいという思いが勝って開業を決意しました。琴似という場所を選んだのは、札幌市内でも利便性が高く、西区以外の患者さんも訪れやすいことと、住宅街があって地域に根差した診療ができると考えたからです。2001年に駅前の大型スーパーの中に開業し、現在の場所に移転したのは2013年のこと。お子さんからお年寄りまで、幅広い層に来ていただいています。場所柄もあって眼鏡やコンタクトレンズの処方の患者さんが多いほか、白内障や緑内障の患者さんも多いです。特に緑内障の患者さんの割合が高く、最近は40代の若い世代の発見も増えていますね。

緑内障は40代からの検診で早期の発見を

緑内障の患者さんが多いとのことですが、初期症状などはありますか?

小笠原博宣院長 ことに眼科クリニック3

緑内障は眼圧の上昇などによって視神経が障害される病気ですが、初期のうちはほとんど自覚症状がありません。このため自分では気づきにくく、進行して初めてわかる人も少なくありません。早期に発見できた人は、健診で見つかったり、別の症状で受診した際にわかったり、というケースが多いです。緑内障は進行すると失明してしまいますが、早期に発見、治療を行うことで失明の可能性を低くしていきます。先ほど40代の緑内障が増えていると言いましたが、一番の理由は技術の進歩によって早期発見が増えたからでしょう。若い世代は眼圧が低くても緑内障ということがありますし、また遺伝する場合があるので、家族歴がある人は注意が必要です。40歳を過ぎたら、ぜひ定期的な目の検診を受けてほしいですね。

緑内障のレーザー治療や日帰り白内障手術も行っていますね。

緑内障治療で行っているのが、SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)というレーザー治療法です。眼圧が上がる原因の一つは、目の中の「房水」という水を排出する通路が詰まるためですが、SLTはこの排出路を広げて房水の流れを良くすることを図り、眼圧を下げていきます。以前は点眼薬や内服薬で進行を止められない場合、手術しか選択肢がありませんでしたが、SLTは手術以外の新しい治療方法として注目されているのです。また白内障の日帰り手術については、機械をアップグレードし、より安全に配慮しながら、より小さな切創で手術ができて患者さんの負担が少なくなるようなものを導入しました。昔の白内障手術は入院して絶対安静が必要でしたが、医療の進歩のおかげで治療の時間が短縮されています。全身疾患や体の状態に問題がなければ、日帰りでの手術が増えています。

患者さんと接するときに心がけていることを教えてください。

小笠原博宣院長 ことに眼科クリニック4

患者さんのお話をよく聞いて、わかりやすい説明をすることです。特に手術の場合は患者さんの不安も大きいので、少しでも安心していただけるようにしっかりと説明をして、スタッフたちも声かけをしてくれています。安全な手術を第一にしていますが、合併症を起こす可能性はゼロではありませんから、リスクもきちんと説明して、理解をしてもらった上で同意を得て手術を行っています。これは西区の地域性なのかもしれませんが、若い人からお年寄りまで、幅広い年代の患者さんとお話ししますが、どの患者さんも説明をしっかり聞いて理解しようとしてくださいますね。多くの人に来ていただいて、患者さん一人ひとりにかける時間は限られてしまうのですが、できる限り丁寧な診療を心がけています。

大きな病気の可能性もあるので、気軽に相談してほしい

患者さんとの印象深いエピソードはありますか?

小笠原博宣院長 ことに眼科クリニック5

たくさんあるのですが、2年ほど前に結膜炎で受診された20代の女性患者さんが、大学病院時代に未熟児網膜症で担当していた赤ちゃんだった、ということがありました。その方はお母さんから私が担当医だったことを聞いていたそうで、診療後にお礼を言ってくださって、元気に成長した姿を見ることができて本当にうれしかったですね。治療から何十年も経って患者さんと再会することは時々あって、今年は36年前に網膜剥離の手術をした患者さんと再会しました。不思議なもので、眼底を見ると「これは自分が手術したものだ」とわかるんですよ。

眼科は全身疾患とも関わりが深いそうですね。

糖尿病や高血圧をはじめ、多くの病気と関わりがあります。例えば脳の病気は目に症状が現れることがあり、実際に、脳の病気が疑われる患者さんがいて、総合病院に検査をお願いしたところ、MRIで小脳に病変が見つかったケースがありました。また脳の病気以外では、ものもらいと思われていた患者さんを診察したところ、眼球の位置が違っていたことから腫瘍があると判断して、治療につなげたこともありました。このように眼科から命にかかわる大きな病気が見つかることもあるので、病気を見落とさず、専門の科に治療をつなげることも大切です。そうして患者さんに喜んでもらえると何よりもうれしいですね。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

小笠原博宣院長 ことに眼科クリニック6

目のことで何か困ったときは、遠慮せずに眼科を受診してください。初めて眼科を受診する患者さんが時々いますが、ためらわずに来ていただきたいです。診察の結果、通院が必要な病気が見つかった場合は、治療が中断しないように信頼できるかかりつけ医を見つけてください。眼科に限らず、慢性疾患がある方は、治療を中断すると病気が進行してしまうので、治療を継続することが大切です。かかりつけ医は相性もありますが、質問を聞いてくれて、わかりやすく答えてくれる先生を選ぶといいと思います。また緑内障に関しては、40代以上の方は毎年検診を受けてほしいです。世界緑内障週間といって、毎年3月に緑内障の啓発活動が行われているのですが、その一環として札幌時計台が緑色にライトアップされます。早期発見の大切さを知ってもらい、検診に足を運んでもらえるとうれしいですね。

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