山口 和誠 院長の独自取材記事
ニコニコこどもクリニック
(岡山市北区/北長瀬駅)
最終更新日:2024/07/02

JR山陽本線・北長瀬駅から徒歩20分、今七丁目バス停より徒歩4分、岡山市北区辰巳の一角にある「ニコニコこどもクリニック」。太陽のイラストのロゴマークと、クリーム色の外観が明るい印象の小児科クリニックだ。院長の山口和誠(やまぐち・かずなり)先生は、各地域の総合病院で、多くの子どもたちの診療を担当してきた日本小児科学会小児科専門医および日本アレルギー学会アレルギー専門医。「丁寧でわかりやすい説明で、患者である子どもだけでなくご家族にも安心して受診してもらいたい」と語る山口院長に、クリニックの特徴や診療にかける思いを聞いた。
(取材日2024年5月29日)
子どもと家族が、リラックスして受診できる空間を
木目を使用した温かい雰囲気の院内ですね。

「患者さんにはおうちに帰るような気持ちで受診していただきたい」という思いがありました。そのため、いかにも病院という内装ではなく、一般住宅のような雰囲気となるように工夫しました。小児科は子どもが来院しますから、子どもの恐怖心を少しでも和らげることができたらと考えたんですね。シンプルな木目調の内装で、壁には動物のモチーフのアートを。キッズスペースには、子どもの興味を引く木のオブジェなどを取り入れました。こだわったのは点滴室を畳にしたことです。体調不良のお子さんの看病をしている親御さんは、睡眠不足でつらかったりしますよね。当院でお子さんが点滴をしている間、隣でお母さんも横になって少しでも休んでいただけたら……という思いで、畳にしました。ベッドの横で椅子に座って待つより随分と楽だと思いますよ。
クリニックのコンセプトや理念があれば教えてください。
受診する子どもたちに寄り添うことはもちろん、そのご家族にとっても「温かく」「親しみやすい」「安心して受診できる」クリニックでありたいと考えています。そのため、できるだけ難しい言葉を使わず、わかりやすい言葉で説明できるように努めています。親御さんは、お子さんが生まれたことで、初めて「お母さん」「お父さん」になったわけですから、わからないことばかりで当然だと思います。昔はおじいちゃんやおばあちゃんなどみんなで暮らして、周囲からのサポートがあったかもしれません。しかし、最近は核家族化が進んでいますよね。このエリアは転勤族の方も多いので、身近に子どもの病気や成長について相談できる人がいない家庭も。そんな親御さんが、気軽に相談できるクリニックをめざしています。子どもの成長を地域の方々と一緒に見守っていけるような小児科でありたいなと思います。
診察にあたり、心がけていることはありますか?

親御さんは「こんな些細なこと聞いていいのかな」「忙しそうだから聞きにくいな」などと、遠慮して質問しにくいこともあると思うのです。今取り組んでいることとしては、電子カルテの入力は別のスタッフに代行してもらい、医師は患者さんと親御さんとしっかり向き合ってお話に集中できるようにしています。それでも、医師には改まって聞きにくいことってありますよね。そんな時は、看護師や受付スタッフなどに、診療の前後に気軽に相談してもらえたらいいと思います。待合室では、子どもの顔色などを見て緊急度・重症度を判断するだけでなく、親御さんの様子にも気を配るようにとスタッフに伝えています。遠慮せずに話しやすい雰囲気づくりのため、不安そうな様子があれば、一声かけることもあります。反対に、時間がなくてスピーディーな対応を求めている時もあると思いますから、一人ひとりの患者さんの様子を見て臨機応変に対応するよう努めています。
子どもの健康を包括的にサポートする医療体制が充実
アレルギーの診療にも力を入れているのですか?

最近は、子どものアレルギー疾患が増えています。そうした需要を踏まえて、院長である私自身がアレルギー専門医として、食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの専門的な検査・治療を提供しています。また、当院は医師だけでなく、看護師・管理栄養士といったスタッフたちもアレルギー疾患の知見が豊富であることが特徴です。特に、当院の管理栄養士は小児アレルギーについて専門性の高い知識を持っています。こうしたエキスパートたちが、医師の診断後に、わかりやすく病気のことを説明するので安心していただけるかと思います。喘息治療で使用する吸入器の正しい使用方法、アトピー性皮膚炎治療でのスキンケアの方法、軟こうの適切な塗り方、食物アレルギーに配慮した除去食の作り方、注意事項などを時間をかけて説明。親御さんからのさまざまなご質問にも丁寧に対応します。
診療体制についてお聞かせください。
通常の診察は、院長である私と林千明先生の2人体制です。林先生は17時までなので、その後は院長である私のみの診察となります。もう1人の医師の瀧上智帆先生には、週2日サポートをお願いしており、主に予防接種や健診を担当してもらっています。林先生と瀧上先生は女性の医師で、ご希望があれば診察を希望する医師を指名いただくことも可能です。また、ウェブ順番予約やウェブ問診を活用し、待合室で人が密集することのないように努めています。
こだわりの設備があればご紹介ください。

呼気NO(一酸化窒素)検査で使用する検査機器があり、それを使用することで喘息の管理をより良いものにすることができます。また、感染症の重症度を判断する手助けとなる血液検査を迅速に行うこともできますし、循環器症状が疑われる場合には、循環器が専門の林先生が超音波検査や心電図も行っています。この地域のかかりつけ医クリニックとしての役割を担えるよう、必要な検査設備は取りそろえて、必要であれば連携先の病院へ紹介しています。
家族や地域とともに、子どもたちの成長を見守っていく
先生が医師をめざしたきっかけは何ですか?

もともとは研究者になりたかったんです。研究する分野として、医療は世の中のためになると考えて、医学部に入りました。医学部に進んだ後に、臨床の楽しさに気づきまして。私の性格として、研究より人と接しているほうが向いていると思い、医師になることに。さまざまな科がある中で、小児科を選んだ理由は、もちろん子どもが好きというのが根底にあります。あとは、小児科は元気になって帰って行く姿を見ることができて、患者さんの未来を楽しみに思えることが魅力ですね。私は約20年小児科専門の医師として多くの子どもたちを診てきました。今後楽しみにしているのは、自分が診た子どもが大人になって、将来その人たちが子どもを連れてやってくる……そんな醍醐味(だいごみ)をめざして、これからも日々の診療に取り組みたいと考えています。
この地に同院をオープンされたのはなぜですか。
当院は、もともと下中野にありました。当時の前院長が、勤務医時代にお世話になった上司でして。前院長は、小児科専門医としての知見だけでなく、何より人を惹きつける人柄が素晴らしい方でした。前院長が子どもやご家族と接する姿を見ていて、いつも患者さんから慕われ頼りにされていて、とても尊敬していました。そんな前院長から、一緒に診療をしないかと声をかけていただいたときは心からうれしかったです。この場所を選んだのは、移転前のエリアから医療圏があまり離れないようにしたかったからですね。小児科なので成長とともにいずれ卒業していきますが、移転前から通ってくれている子もいます。そうしたご縁でこちらに移転オープンしてから約5年がたちました。これからもこの地で、ご家族や地域の方々と一緒に子どもたちの成長を見守っていきたいです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

当院はできるだけ、一人ひとりの患者さんに合わせて、柔軟な対応をするように努めています。スタッフにも、画一的な対応ではなく、お子さんの状態や親御さんのニーズに応じて、臨機応変に対応するように伝えています。例えば、そこまで高熱でなかったとしても、とてもつらそうにしているなら、畳の部屋で横になってもらったり、お薬を適切に使用いただくために、実際にお子さんに薬を塗りながら使用方法をご説明したり……丁寧に対応するがゆえに待ち時間が長くなってしまう場合もあるので、そこはジレンマなのですが、患者さんとご家族に寄り添う姿勢は大切にしたいですから。いつかは、親御さんの不安を解消するようなセミナーを開催するなど場づくりができたら、といった理想も考えています。初めからパーフェクトな親なんていませんから、ぜひ気軽に何でも相談してほしいですね。