原田 晋 院長の独自取材記事
はらだ皮膚科クリニック
(西宮市/香櫨園駅)
最終更新日:2025/10/15

阪神本線の香櫨園駅すぐの複合施設、香櫨館2階にある「はらだ皮膚科クリニック」。院内に足を踏み入れるとジャズの調べが聞こえてくる。同クリニックの院長、原田晋(すすむ)先生が、患者にリラックスしてもらいたいと、自身の好きなジャズミュージックをBGMとして選曲しているのだそう。アレルギー科と皮膚科を掲げる同クリニックには、さまざまなアレルギー疾患に悩む患者が検査や相談に訪れる。アレルギー治療を専門とする原田院長に、現代人を悩ますアレルギー疾患やクリニック、そして院長自身について話をしてもらった。
(取材日2019年1月16日)
ユニークな経緯を持つアレルギーの専門家
医学部に入学される前に、京都大学の工学部を卒業されているようですね。

はい。京都大学工学部の石油化学科に入学し、卒業後は大学院に進もうと考えていたのですが、残念ながら縁がなかったんです。一度は就職しようと考えたのですが、猛勉強して神戸大学の医学部に入りました。そこから医学部の学生として過ごすと、次は専門を決める段階に。各診療科を回る実習が2週間行われ、多くの学生はその際に自分の進みたい科を選ぶことになります。私が皮膚科を選んだのは、この実習の際のインスピレーションですね。そこから35年たった今も皮膚科を続けているということは、この時の直感は間違いではなかったと思っています。
勤務医時代はどのような診療をされていましたか?
大学卒業後は、大阪厚生年金病院や神戸大学、そして西脇市立西脇病院などの皮膚科で勤務をしてきました。その頃は、今と同じような外来診療はもちろん、皮膚がんをはじめとする手術も手がけていました。ところが勤めていた病院の皮膚科が規模を縮小することになったのです。そんな時にちょうど、この場所に医療ビルが建設されているのを知り、開業を決意しました。香櫨園は私が生まれ育った愛着のある町。このタイミングでここを見つけたのも、きっと何かの巡り合わせなのだろうと思ったんです。
開業してからは、皮膚科よりもアレルギー科の受診が多いそうですね。

当クリニックには子どもさんからお年寄りまで幅広い年代の患者さんが、さまざまな症状で来院されます。しかし初診となると、アレルギー疾患で受診される方が多いのも事実です。最近は病院を選ぶ際にもインターネットで情報収集する時代。当院がアレルギーの専門的な検査を行っていることを知った方や、またホームページには私がアレルギーについて語るコーナーを設けていることもあってか、少し遠い所からでも当院を調べて来てくださいます。勤務医時代からアレルギー疾患に興味を持ち日本アレルギー学会のアレルギー専門医として励んできたことは、開業した今、特に役立っていると実感しています。
日々進歩するアレルギー疾患に積極的に対応
こちらのクリニックで行っている専門的なアレルギーの検査とはどのようなものですか?

アレルギー疾患の発症の原因は、人によってさまざま。食物だったり、ダニや花粉だったりと、いくつもの原因があります。それを調べる方法が血液検査と皮膚テスト。皮膚テストには、皮膚に抗原液を垂らして反応を見るものと、ばんそうこうに抗原を塗り反応を見るパッチテストの2種類があります。これらの検査でも原因が判明しない場合には、誘発テストを行うこともあります。検査であっても、アナフィラキシーショックが起きると生死に関わります。ですから、救急病院から紹介を受けて当院を受診される患者さんもいらっしゃいます。専門的なアレルギー検査を行っていることが、当院の特長ですね。
アレルギー疾患にならないための対策はありますか?
残念ながら、今のところすべてのアレルギーを予防する方法というのはありません。先ほどお話しした検査などでアレルギーの原因を明確にした上で、その原因に対して予防していくしかないのです。ひと昔前であれば、赤ちゃんに母乳をあげている期間は母親がアレルギー性のある物を食べることを控えるなど、いろいろな予防法が言われてきました。しかしアレルギー疾患の研究が進み、かつての定義も変わってきています。ですから私も常に新しく正確なアレルギーの知識を身につけるために、毎日勉強を続けています。
どのようにしてアレルギー疾患の情報収集や勉強をされているのですか?

勉強会や講演会に参加したり、診療時間後に資料を読んだり調べたりしながらアレルギー疾患と対峙する日々を送っています。そしてもう1つは、娘との会話です。皮膚科の医師になった娘が偶然にも、以前私が勤務していた病院に勤めています。娘が私に話を聞きに来ることもありますが、私もまた彼女の持つ最新のアレルギーに関する情報を教えてもらったりしています。娘が結婚式の時に、「お父さんの姿を見て、皮膚科医をめざした」ということを言ってくれたのには、お世辞とわかりつつも感激しましたよ。そんな娘と、お互いに医師という立場でアレルギーの会話に花を咲かせるのは刺激になり、まだまだ頑張ろうという気持ちにさせてくれます。
こだわり満載のジャズが流れる皮膚科クリニック
こちらでは、訪問診療もされているそうですね。

午前と午後の診療の合間に、自転車に乗って行っているんですよ。伺うのは老人ホームや在宅医療を受けられているご高齢の方がほとんどで、床ずれやかぶれなどの症状が多いですね。往診をする皮膚科が少ないそうで、重宝されています。私を必要としてくれている患者さんがいらっしゃるので、忙しくても辞めることはできませんね。ですから、暑かろうが寒かろうが患者さんのもとに向かいます。雨の日もカッパを着て自転車で出かけていますが、今では、そんな私の姿も近所の人たちにとっては見慣れた光景になっているようですよ。
お忙しい毎日ですが、普段はどのようにリラックスされているのでしょう?
私の趣味は、ジャズと野球。学生時代にジャズにはまって以来、変わらず聴き続けています。かなりたくさんのレコードをコレクションしていて、自宅の部屋には蓄音機もあります。診療終了後に勉強や調べ事をしていると帰宅が遅くなりますが、それでも1時間ほどゆっくりとジャズを聴いてから寝るのが毎日の日課。休日はジャズバーにも行きます。またジャズと同じぐらいはまっている趣味が、野球観戦。医学生時代からの友人で同じくジャズと野球を趣味にしている医師がいて、毎年お盆休みには彼とニューヨークに行き、ジャズを聴いて、メジャーリーグを観戦するのを恒例としています。もちろん日本の野球も見ますよ。
今後の展望を教えてください。

2008年に開業しましたので、今年は開業11年目。これからもアレルギー疾患について、ますます勉強を続けていきたいと考えますし、体力が続く限り、往診も続けていけるように頑張りたいと思います。時間的に一人ひとりの患者さんとゆっくり話すことが難しいときもあります。そういう場合を考慮して、院内には私の大好きなジャズを流し、できるだけたくさんの種類の雑誌を置いて、待ち時間をゆったりと有意義に過ごしていただけるような待合室にしています。クリニックのシンボルマークに使っているフクロウは幸せの象徴。皮膚疾患で苦しむ患者さんの悩みを取り除くことで、皆さんに幸せを運べるよう頑張っていきます。