藤家 恵子 院長の独自取材記事
小林歯科医院
(加古川市／加古川駅)
最終更新日：2025/03/10
加古川市の閑静な住宅街にある「小林歯科医院」は、50年以上にわたって地域医療に貢献してきた歯科医院。現在院長を務める藤家恵子（旧姓・小林）先生は、父である小林正和前院長が診療していた幼い頃のことを振り返って「この地域の方には本当にかわいがっていただいた」と目を細める。「来院する多くの患者さんと前院長とのやりとりを身近に感じ、将来は歯科医師になり小林歯科医院を継ぐことになると思いながら成長した」という藤家院長。口腔外科や麻酔科で研鑽を積み、身につけた技術と知識を地域に還元するべく継承した今、院内には充実の設備がずらりと顔をそろえる。「この場所は私の故郷そのもの。だからこそ皆さんの力になれれば」と優しくほほ笑む藤家院長からは、あふれんばかりの故郷への愛が伝わってきた。
（取材日2024年12月19日）
自分を育ててくれた歯科医院を継承
まずはこちらの歯科医院の歴史から聞かせてください。
当院は、父である前院長が1974年に開院した歯科医院です。開院当時は実家に併設された歯科医院でしたが、現在の場所に移転したのは1982年。地域の皆さまに幅広い歯科治療を提供しています。子どもの頃から地域の方々と父とのコミュニケーションを見て育ち、いずれは自分も地域医療に貢献できる歯科医師になりたいと思い、保険診療の枠にとらわれず質の高い歯科治療・先端医療を提供できるように研鑽。2007年に帰郷し副院長へ。2008年に院長交代・医院継承し、今日に至ります。
大学卒業から現在までのご活躍について教えてください。
大学卒業後、神戸市立医療センター中央市民病院歯科・口腔外科の研修医として、外来では一般歯科から有病者歯科、親知らず抜歯などの簡単な口腔外科処置、障がい者歯科、歯の移植などを担当させていただき、手術室では骨折などの外傷治療、顎変形症の手術やインプラント治療などを経験、また麻酔科でも研鑽を積ませてもらいました。研修医2年目で阪神淡路大震災を経験し、災害時歯科医療の原点に携わりました。研修医卒業後は病院歯科にも携わりましたし、往診車に乗って患者さんのご自宅や施設など訪問歯科診療にも携わりました。現在は加古川歯科保健センターに、障がい者歯科診療担当として隔週で出務しています。東日本大震災や能登地震では、災害医療ボランティア団体に所属し被災地に出かけました。現在も「災害時における口腔ケアの重要性」などの講演依頼があれば啓発活動しています。
そのような経験を経て、先生が大切にしていることは何ですか？
当院を継承してから強く思うのが、歯科医院は歯を治すためだけの場所では足りないのではないかということです。開院当初から通ってくださっている高齢の方などは、生活習慣病をはじめ全身疾患を患っている方も多くおられます。そういった方々がいつまでも元気でいられるためにはどうすれば良いのか？ 困っていることがあればどうすれば解決できるのか？ 普段からのコミュニケーションを大切にしています。何げない会話も聞き逃さずメモしたりします。お口の中の治療を通して、一緒に健康を考え寄り添っています。幼い頃の私は地域の方々にたくさんの愛情をかけていただいたので、今度は私が一つ一つ丁寧に恩返しをしていきたいなと思っています。そしてこれらは有事への備えでもあると、平時からの関わりが重要であるとも思っています。
コミュニケーションを大切に、本当に必要な治療を
初診の際にはたっぷり時間を取っているそうですね。
当院は初診の際に必ず1時間以上の時間を取っています。初めに医療面接を行い、次にエックス線やCTによる画像検査、噛み合わせの確認、プラークチェック、歯周組織検査、口腔内写真撮影などの資料取りを行います。また、思いや希望、不安や悩みなどもしっかりヒアリングし、カウンセリングを実施しています。これらは当院においては必須事項で、私たちと患者さんの双方がお口の状態を正しく把握し、情報を共有し、一緒に考え、治療ゴールを明確にするために必要な時間です。自分の口の中をじっくりと見る機会はあまりないと思いますので、改めて見てみると自分のお口に起きている問題が理解しやすいのではないかと思います。その際に希望される治療方法や予算はじめ治療期間など、気軽にご相談いただけるように心がけております。
患者さんとのコミュニケーションを本当に大切にされていますね。
人間の口は食べたり、しゃべったりといろいろな仕事をしています。ただ好きな食べ物、性格、ライフスタイルなどは皆それぞれ違いますから、同じことが起きていても困っていることは人それぞれ異なります。だからこそ、患者さんの悩みを聞いて考えることが治療の第一歩。患者さんをよく知ることで見えてくることはたくさんあります。まずは患者さんとしっかりとお話しして、その人のことを知りたいと思っています。場合によっては、私についてもお話ししたりします。信頼関係を築いてから治療に入るスタイルです。今の時代にそぐわない考えかもしれませんが、これは父の代から当院が大切にしてきたこと。これからもこういった部分は変えずにいたいと思っています。
入れ歯の治療も得意とお聞きしましたが。
今はインプラント治療の人気が高いですが、入れ歯には入れ歯の良さがあります。特に今は入れ歯もすごく進化しているので、見た目に自然なものもたくさんあります。うまく調整すれば食事に困ることも減るでしょうし、「食べられるもの」ではなく「食べたいもの」を食べていただけると思います。私は入れ歯の治療が好きで、これまでもたくさんの症例を経験してきました。口腔外科や歯周外科で学んできた技術や噛み合わせの知識をフルに生かして対応させていただきます。もちろん予算についてもご相談いただければ、ご予算に合わせた提案ができます。入れ歯は種類によって費用は大きく異なります。それぞれのメリット・デメリットについて詳しく説明できますので、オープンに話し合って安心・納得した入れ歯を作ってもらいたいです。入れ歯でお悩みの方はぜひご相談していただきたいです。
歯科診療を通して地域の人々へ恩返しを
他にはどのような治療ができるのですか？
特殊な例を除いてインプラント治療も可能です。中等度から重度の歯周病の治療も可能です。歯周外科治療も行っています。親知らず抜歯や簡単な口腔外科処置も可能です。各種レーザー装置を完備しており、口内炎の疼痛緩和や入れ歯装着時に生じやすい潰瘍の治療から、無麻酔下むし歯治療、光殺菌（a-PDT）による歯周病菌殺菌システムにも役立てています。口腔粘膜蛍光観察機器も備えていますので、口腔内のがん組織をスクリーニングする検査も可能です。歯を白くするためのホワイトニングも行っています。小さな歯科医院ですが設備はしっかりと備えており、お一人お一人のお悩みに対して全力で応えます。
今後の展望や現状の良いところをお伺いしてもよろしいですか。
デジタル化が進む今、当院では口腔内スキャナーをはじめデジタル対応の医療機器を導入し、取得した情報をデータ化し、インターネットを介してラボと共有し、コンピュータによって補綴物の設計および製造支援を行うなど、積極的にデジタルデンティストリーを取り入れています。これにより患者さんの治療に対するストレスや不安が軽減され、より快適な歯科治療が可能になるように努めています。昔ながらの温かい地域交流も大切にし、患者さんとの高い信頼性と丁寧な治療技術で、安心して通っていただけるクリニックをめざしています。通院が難しい高齢患者さんには、訪問治療でサポートもしています。最先端の技術と人とのふれあいを大切にしながら、これからも地域の皆さんのお役に立てるクリニックでありたいと考えています。
最後に、地域の皆さんにメッセージをお願いします。
当院に足を運んでくださる患者さんの中には、私が子どもの頃かわいがってくださった方々がたくさんいらっしゃいます。皆さんに分けていただいた愛情を少しでもお返ししたくて、私はこの場所に帰ってきました。父と皆さんが紡いできた時間や信頼関係を裏切らず、その上に私が学んできた知識や技術、私からの感謝の思いを乗せてこれからも診療をしていきたいと思います。これからも皆さんの健康のお手伝いをしていけるように、精一杯努力しますので、困ったことがあれば気軽に相談してください。皆さんのご来院をお待ちしています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント／55万円～、ホームホワイトニング／4万4000円～、オフィスホワイトニング／4万9500円～、オールセラミッククラウン／13万2000円～、セラミックインレー／7万7000円～、口腔粘膜蛍光観察機器／5500円、光殺菌（a-PDT）／2万4200円～、入れ歯治療／27万5000円～110万円
