中村 久美子 院長の独自取材記事
くみこキッズクリニック
(北九州市八幡東区/スペースワールド駅)
最終更新日:2024/03/11

JR鹿児島本線スペースワールド駅から徒歩11分の場所にある「くみこキッズクリニック」。院内には季節ごとの飾りつけが施され、明るく楽しい雰囲気が漂う。院長を務めるのは、小児科・アレルギー科を専門に、複数の大学病院や総合病院で経験を積んできた中村久美子先生。2008年に生まれ育った北九州市に開業し、以来16年にわたって地域の健康を支えてきたベテランドクターだ。自身も子を持つ母親として、小児科の医師としての専門性と子育て経験を生かし、子どもとその保護者の気持ちに寄り添った診療を大切にしている。「病院に来ると誰もが緊張してしまうもの。笑顔で迎えて安心できる場所にしていただきたいですね」と優しくほほ笑む中村院長に、同院の特徴や診療で大切にしていることなどについて聞いた。
(取材日2023年9月13日/情報更新日2024年3月5日)
未来を担う子どもたちの健やかな成長をサポート
まずは、先生が医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

医師という職業を最初に意識したのは小学生の頃です。親戚に医師はいなかったし、幼い頃から健康そのもので病院とは縁遠かったのですが、子ども心にも将来は人のためになる仕事をしたいと思って興味を持ちました。最終的に進路を決めたのは、高校2年生の時です。私は理系でしたので、なんとなく医学部か薬学部へ進みたいと考えていたのですが、親からは「女性だから薬剤師になったら」と言われたことに引っかかって。その言葉への反発もあり「絶対に医師になろう」と決意しました。小児科を選んだのは、将来を担う子どもたちの健やかな成長に貢献したかったからです。いくら医療が発達しても、つらい病気や悲しい別れと向き合わなければならないことがあります。そうした中でも、子どもたちには希望があり、未来がある。そこに魅力を感じました。
先生のご経歴や開業に至った経緯を教えてください。
産業医科大学を卒業後、同大学の小児科に入局して研鑽を積みました。NICU(新生児集中治療室)で、命に向き合う経験もしましたね。現在は複数の専門スタッフが連携して治療にあたるチーム医療が一般的ですが、当時は主治医に責任が委ねられた時代です。アラーム音が鳴る中、何日も泊まり込みのこともありました。その後、北九州総合病院や健和会大手町病院などに勤務した後、開業しました。最初はそのつもりは全然なかったのですが、近所の薬剤師さんから「どなたか小児科のクリニックを立ち上げてくれる方を知りませんか」と声をかけられた時に「できるものなら私もやってみたいですね」と冗談めかして答えたところ、トントン拍子に話が進んで今に至っています。
どのような患者さんが多いのでしょう。

風邪や胃腸炎などの感染症がメインです。アレルギー疾患に関しては、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどに悩まされるお子さんが来られます。子どもの肌は大人に比べてデリケートなので、湿疹などの肌トラブルが起こりやすく、お薬の塗り方を教えてほしいと通われる方も多いですね。各種予防接種や乳幼児健診にも対応しています。患者層は生まれたての赤ちゃんから小学生のお子さんが中心ですが、特に年齢の決まりはなく、小さい頃からずっと来院されている方が、高校生や20歳になってもお付き合いのあるケースもあります。
いつも笑顔で迎えて患者の不安を包み込む
アレルギーの症状ではどのような対策が必要になりますか。

食物アレルギーに関していえば、以前は疑わしい食物を含むと思われるものは除去するという指導が一般的でした。しかし、そうすると成長期にあたるお子さんに十分な栄養が行き届かなくなったり、皮膚からの感作というのがわかってきたため、食べられるものは、できるだけ食べるようにしましょうという考え方になってきました。気になる症状があれば早めにご相談いただきたいですね。現代人の肌は、気温上昇や紫外線、大気汚染など過酷な環境にさらされています。特にデリケートな子どもの肌はトラブルを引き起こしやすいもの。乾燥によるかゆみや湿疹を防ぐためには、赤ちゃんの頃からのスキンケアが大切です。当クリニックではそうしたアドバイスも行っています。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?
私が一番大切にしているのは「笑顔」です。自分もそうですが、病院に行くとなると誰もが不安になります。それがお子さんや、お父さんお母さんの立場であればなおさらです。笑顔で迎えられたら、少し気持ちがほぐれて、話をしやすいのではないでしょうか。一緒に働いているスタッフにも笑顔と明るい声かけ、それだけはお願いしています。
女性だからこそ、保護者の方が話しやすい面もあるのではないでしょうか。

小児科の患者さんは、ほとんどがお母さんと一緒に来院されます。同性だからこそ話しやすい部分はあると思いますね。私は不妊治療、高齢出産、シングルマザーで双子を育てたこと、子どもの不登校、最近では親の介護や自宅での看取りなど、60年生きてきて、いろいろな経験をしてきました。子育ては大きな喜びがありますが、大変なこともたくさんあり、さまざまなことに悩むことがあるでしょう。そんな気持ちを言葉にして吐き出すだけでも楽になるものです。お母さんたちが子育てで苦労していることを、私も一通り経験してきたので「うちはこうだったよ」と少しはアドバイスできるのかなと思っています。病気を治療するだけでなく、患者さんと家族の心に寄り添う。そんな医療を提供していきたいです。
不安や悩みに寄り添い、子育て世代を応援したい
待ち時間のストレスを減らすための工夫について教えてください。

待合室でお待たせする時間をできるだけ軽減するために、開業当初から予約システムを導入しています。患者さんは来院することなく、スマートフォンやパソコンなどから、当日の受付番号を取得することが可能です。インターネットで待ち状況を確認し、ご自身の順番が近くなったら来院していただきます。もちろん受付窓口で申し込まれても大丈夫です。初診の場合はオンライン予約の対象外ですので、直接クリニックにお越しください。お子さんが退屈しがちな待ち時間を楽しく過ごせるよう、院内にはおもちゃなどで遊べるキッズスペースを用意しています。乳幼児健診と赤ちゃんの予防接種に関しては予約制です。月・火・木・金の13時半から15時まで専用の時間を設けています。
休日はどのように過ごされていますか?
スキューバダイビングが趣味で、毎週のように海に潜っています。若い時からダイビングに親しんでいましたが、結婚し子どもが生まれたため一旦中断しました。子どもたちが小学生の時に不登校になり、何か親子で楽しめることはないかと考えた時に、そうだダイビングを再開しようと思い立ったのです。息子たちも「やってみたい」と言ってくれて。共通の趣味ができて、会話も増えました。息子たちは20歳になった今でも南の島でのダイビングには一緒に行ってくれます。周りからはよく「平日は仕事で忙しいのに、週末も出かけて疲れないの?」って言われるのですが、自宅にいるとせっかくの休みもダラダラ過ごしてしまいがちです。自然とふれあうことで良いリフレッシュになっています。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

将来的に、子育てに関するさまざまな悩みを相談できる場所をつくれたらいいなと思っています。親だけでなく、地域ぐるみで子どもを育てる環境づくりを進めていきたいですね。自分のやり方は駄目なんじゃないかと、自信をなくしている親御さんは多いと思いますが、子育てに間違いはありません。自分を責めないこと、一人で抱え込まないことが大切です。何か困ったことがあればお気軽にお越しください。子どもを見守る目が誰よりも確かなのは、お母さん、そしてお父さんです。発熱や嘔吐などの症状が出てからではなく「いつもと違って何かおかしい」と感じた時が受診のタイミングと考えて、早めに来院されることをお勧めします。