安部 直子 院長の独自取材記事
あべなおこ歯科クリニック
(福岡市東区/九産大前駅)
最終更新日:2024/10/10

九産大前駅から徒歩3分。国道3号線沿いのビル2階にある「あべなおこ歯科クリニック」は、2005年の開院以来、乳幼児から高齢者まで、さまざまな世代の口腔トラブルに寄り添ってきた。虫歯や歯周病の治療はもちろん、インプラント治療、矯正歯科、小児口腔育成、メンテナンスなど幅広く対応。院長の安部直子先生の専門は歯科口腔外科で、切開を伴った親知らずの抜歯、顎関節症の治療にも精通している。そんな安部先生に、クリニックの特徴や歯科口腔外科のキャリアを生かした治療、セルフケアの方法などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2020年9月23日/情報更新日2024年10月8日)
虫歯や歯周病は生活習慣に起因するからこそ予防も可能
先生はクリニックのある東区にもともとご縁があったのでしょうか?

私自身は愛媛県松山市の出身ですが、父方の祖父母が東区に住んでいて、子どもの頃から帰省などで過ごしてきた町でした。母校である九州大学も近くにあり、学生時代からなじみがあるところです。クリニック継承の話をいただいたことをきっかけに、2005年12月に開院。それから約19年間、この場所で皆さんの歯の健康づくりのお手伝いをしてきました。開院当時に検診に来ていた赤ちゃんが今は社会人になり、それだけ長く通っていただいていることに非常に感謝しています。一方で、ずっとメンテナンスに通い虫歯ゼロで成長してきた子が虫歯をつくってしまって来院した時には、少し残念な気持ちになってしまいます。
予防に注力されているのも一つの特徴ですね。
予防のためにはセルフケアとプロフェッショナルケアの両輪が必要です。ただし、定期的なメンテナンスに訪れ、プロの手で歯のクリーニングや歯周ケアを受けていたとしても、セルフケアができていなければ結局虫歯になってしまう。ある種、虫歯や歯周病は生活習慣によるものだと思っています。もちろん、それぞれの歯の質も影響しますが、歯磨きの仕方、糖分の摂取、食べ方によるところが大きいんです。例えば熱中症対策に努めるあまり、スポーツドリンクや塩あめによって糖分を取り過ぎてしまい虫歯になる方もいらっしゃいます。しかし、正しい歯磨き習慣を身につけたり、食生活を見直したりすることができれば、虫歯や歯周病は自分の力で予防していけるもの。言い換えれば、口の中の病気は、ある程度自分でコントロールが図れます。
プロフェッショナルケアのために来院される方も増えているとお聞きしました。

虫歯や歯周病の治療が終わったからと言って、何もしなくても良いというわけではありません。やはり定期的にメンテナンスに通院することで、歯磨きの苦手なポイントを知って練習していくことが必要ですし、歯石取りなどのプロフェッショナルケアも重要です。そのため治療が完了した方にはメンテナンスでの通院をお勧めしています。虫歯や歯周病は一度なってしまうと自然治癒しません。可能な限り早く見つけて、早く治療することがとても大切です。そういう治療の面からも、少なくとも3ヵ月に1度はメンテナンスをしたほうが良いと考えています。
歯周病から抜歯までさまざまな主訴に対応
今はどのような主訴の患者さんが通院されているのでしょうか?

近くに九州産業大学があるので、大学生の方もいらっしゃいますが、メインは地元のファミリー。高齢者世代から乳幼児まで、3世代にわたってご利用いただいています。小さなお子さんは検診のために来院されるのがほとんどですが、大人の患者さんに関しては、歯周病の治療が多い印象です。詰め物が取れた、歯が痛いなどの主訴で来院していたとしても、ほとんどの方に主訴に付随するかたちで歯周病の症状が見られますね。そのため、5人の歯科衛生士と連携し、歯周病治療に取り組んでいます。
先生は歯科口腔外科でのキャリアが豊富なので、抜歯などにも対応していただけるのはうれしいですね。
九州大学を卒業後、そのまま歯科口腔外科に入局し、主に外来の患者さんの治療にあたってきました。全身疾患を持っていらっしゃるなど、一般のクリニックでは対応できない方の処置や歯茎に埋まった状態の埋伏歯の抜歯に携わってきたほか、顎関節症の治療、さまざまな口腔粘膜疾患の診療を経験してきました。その経験もあって当クリニックでは親知らずの抜歯にも対応していますよ。特に大学生の方は、ちょうど親知らずが生えてくる世代で痛むケースもあり、社会人になると時間も確保できないということで抜歯に来られる方が多いですね。
顎関節症に対してはどういったアプローチを行うのでしょうか?

顎関節症は歯並びなどが原因となって引き起こされるのですが、顎を支える関節がずれてしまい、口が開かなかったり、口を開いた際に痛みを伴ってしまったりすることがあります。そこでマウスピース型装置を活用して、原因となっている噛み合わせにアプローチしていきます。もともと顎関節症は口腔外科やかぶせ物・入れ歯の専門家である補綴科の領域なのですが、噛み合わせ治療の延長線上で矯正を学んだことから、今ではブラケットを使った矯正でも対応できるようになりました。なお、歯列矯正では、基本的に非抜歯でのワイヤー矯正を行っています。抜歯して歯列のアーチが小さくなると、舌が正しい位置にならないことがあるからです。
小児から高齢者まで、歯のかかりつけ医として寄り添う
小児口腔育成にも注力されていると伺いました。

乳幼児期から舌や唇を正しく使えていると、歯列も整いやすく健全な歯が維持されます。普段、口の中のどこに舌を置いているか、舌をどう使って食べているかなどの習癖が歯列に影響するんです。いくら矯正をしても悪い習癖が残ったままだと、後戻りすることもあります。そのため当院では、子どものうちに正しい口腔機能を獲得できるようサポートしています。離乳食をスプーンで与える方法、舌や唇を鍛える体操といった知識を親御さんが持つことも大切ですね。そこで当院では、子どもの定期検診時に小児口腔育成についての詳しい情報を提供しています。口腔筋機能トレーニング装置を使った咬合育成も行っているのですが、誤った知識による弊害もあるんです。以前、似た装置をインターネットで購入し、使い方を間違えて歯が倒れてしまったお子さんがいました。装置は歯科医師の指導のもと正しく使用してほしいですね。
患者さんを診療する際に大切にしていることはありますか?
一人ひとりの患者さんに寄り添い、その人にぴったりの歯科教育を行うことです。虫歯や歯周病を防ぐためには、歯に関する正しい知識や歯磨きの技術が必要不可欠となります。伝えることは同じですが、誰にでも同じように伝えていては身についていきません。だからこそ歯科衛生士を含めスタッフにも、その人その人に応じた伝え方を検討するように指導しています。何度もコミュニケーションを重ねて信頼関係を築いていくことができれば、生活習慣が変わり口腔環境も改善していくと考えています。また、長年通ってくださっている患者さんの高齢化が進む中、通院困難な方のフォローとして訪問診療も開始しました。今後さらに社会的な問題になっていくと考えられるので、歯科医師の立場から一つの課題として取り組みたいと思っています。
最後に、予防に関して読者にアドバイスをお願いします。

とにかく検診に行くことに尽きます。子どもの時は皆さん学校で歯科検診を受けてきたはずですが、社会人になると忙しくなり、歯が痛くなければ歯科クリニックに行く機会も少なくなっていきます。ですので、例えば毎年誕生月に検診を受けるルールを決めるなど、最低でも年に1回は受診するように心がけてください。痛くなってからでは遅過ぎますし、虫歯や歯周病の発見が遅れれば遅れるほど、時間も費用もかさんでいきます。まずは歯が痛くなくても、検診に行ってみましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正歯科/60万円~、インプラント治療/38万円~