倉富 覚 、院長 の独自取材記事
くらとみ歯科クリニック
(北九州市小倉南区/下曽根駅)
最終更新日:2022/10/14

西鉄バス沼団地口から徒歩約2分、小倉南区沼緑町に「くらとみ歯科クリニック」はある。老若男女を問わず幅広い層に支持されている同院は、患者が快適に過ごせる空間になるようにと2022年6月に新築移転。白と茶を基調としたシックな雰囲気の待合室には窓から心地良い光が差し込み、ゆったりとした気持ちで診療を待つことができる。むし歯はもちろん、歯周病やインプラント、矯正治療など診療内容は幅広く、中でも倉富覚、院長の得意分野は根管治療。CTや歯科用顕微鏡のマイクロスコープを用いた診断と精密な治療が強みだ。倉富先生に、これまでの歩みや診療内容について詳しく聞いた。
(取材日2022年9月7日)
歯科医師としての源流となった2人の師匠との出会い
素敵な院内ですね。6月に移転されたばかりだとお聞きしています。

たくさんの患者さんが来院してくださり、以前の診療所ではお待たせすることが多かったのです。そのことがとても心苦しく、これは何とかしなければと思っていたタイミングで、偶然にも隣の土地が空きましてね。それで移転をし、診療所を広くすることにしました。診療用チェアを1台、マイクロスコープを2台増設し、なるべくお待たせしないように、またどうしてもお待ちいただく際にも患者さんに居心地良く感じていただける環境を、という想いからでした。予約が取りづらいとか待ち時間があったりとご迷惑をおかけする分、快適に過ごしていただける空間を構築しなければと考えていましたので、ようやくその環境が整いました。
歯科医療をめざしたのはいつ頃からですか。
小学生の頃は野球選手になりたいと思っていましたが、中学生の頃から将来は医療系の道に進みたいと思うようになりました。歯科医師への目標が明確になったのは小倉高校3年生になってから。私の両親は教職で歯科とは無縁だったのですが、叔父が歯科開業医で身近に歯科医療にふれられる環境が影響したと思います。大学は九州大学の歯学部へ進学しました。たくさんの人との出会いがありましたが、一番の財産は学生時代をともに楽しく過ごした友人です。
ご卒業後はどのようにキャリアを積まれたのですか?

まず大学の先輩の医院にお世話になりました。院長は人としても尊敬できる素晴らしい方でした。子どもから高齢者までどんなニーズにも対応できる歯科医師になりたいと思わせてくれた方で、私の診療の源流になっています。ただ私が勤務して間もなく、残念ながら病気でご逝去され、院長の師匠に当たる先生が私の面倒を見てくださることになったんです。その師匠のもとで研鑽を積めることは夢のようでした。その先生に臨床だけでなく人としてたいへん厳しくも温かいご指導をいただいた3年間でしたが、振り返れば自分が成長できた最も幸せな時間だったと思います。私の歯科臨床の考え方やテクニックはすべて師匠から伝授していただいたもので、今の私があるのは2人の師匠のおかげ。感謝の言葉しかありません。お二人の弟子であることに良い意味でプライドを持ち、質の高い治療を患者さんに提供することが師匠へのご恩返しだと思っています。
CTとマイクロスコープを活用した根管治療に取り組む
しっかりと研鑽を積まれ、2003年の開業に至ったのですね。

開業してからも勉強会等で多くの諸先輩方から、いろんなことを教えていただきました。大学を卒業したばかりの頃は、開業医がCTやマイクロスコープを使うことは夢のような話でした。それが開業して10年くらいから徐々に普及し始め、自分も早い段階で導入しました。新しい機器を導入することで、治療の幅も広がりますので、それが今の診療内容にも反映されていますね。技術というのは絶えず進化していきますし、これからもどんどん身につけていかなくてはなりません。師匠の座右の銘でもある「終生研鑽」、これを実践していくのみです。私の名称についている「、」は尊敬する方に倣って「まだまだ発展途上」ということを表しています。
幅広い診療内容の中でも、特に得意とされているのは根管治療だとお聞きしました。
歯科医師になって初めて足を運んで聴いた講演が、のちの師匠となる先生の根管治療についてのお話でした。その講演を聴いて非常に興奮して家路に着いたのを今でも覚えています。根管治療はお二人の師匠が得意とされていた分野でもあり、夢中になって取り組みました。結果が出るとさらに面白くなり、いつの間にか得意とする分野になっていました。2016年に歯科医師向けの専門書を上梓したことで、全国のいろいろな所から講演に呼んでいただけるようになり、他院からの紹介で根管治療のためだけに来院される方もたくさんおられます。根管治療は、歯の深いところまでむし歯が進行し、神経まで感染した時に必要となる治療です。私の治療の目標は、症状を改善して病変が再発するリスクを最小限に抑え、歯を長期的に残すこと。その治療にCTとマイクロスコープが力を発揮します。
治療の正確性が期待できるため、再発リスクを最小限に抑えることにつながるのですね。

根管治療は目で見えない根の部分の治療なので、それらの機器がなかった時代はレントゲンをもとに三次元的な歯根の形態をイメージするしかなかったのです。CTによる設計図をもとにマイクロスコープを使用し、肉眼では確認できない箇所もリアルに見ながら治療を進められるようになったことは、歯科医療における革命といってもいいでしょう。これらの機器を使用することで感染源を取り残すリスクが少なくなります。多くの方にとって歯科医院はできれば近寄りたくない場所だと思います。再治療を減らし、通うのがメンテナンスだけになれば、痛い思いをせずに済みますし、皆さんの歯科医院に対するイメージも変わるのでは、と。そのような意味で精密治療は患者さんのメリットに供すると思います。そして定期的なメンテナンスを行うことが、歯の長持ちにつながることは明らかです。
これまでに得た知識と技術を後進の育成にも役立てたい
実際にメンテナンスで来院される方も多いそうですね。

私は日本歯周病学会の歯周病専門医でもあり、当院は歯周病治療にも力を入れています。そのため約半数ほどの患者さんがメンテナンスで来院されます。それ以外では、むし歯・インプラント・矯正・ホワイトニング・入れ歯・小児・口腔外科などの治療を幅広く行いますが、どの分野においても精度の高い治療を心がけています。現在、歯科衛生士が5名、総勢9名のスタッフで診療にあたっていますが、メンテナンスで来院される方が多いのは、スタッフがしっかりと患者さんとのコミュニケーションをとってくれているおかげです。面と向かっては言えないので、この場を借りて感謝の気持ちを伝えたいと思います。患者さんが多いほど仕事量は増えますし、スタッフも大変だと思います。そんな中でも不満を言うこともなく、患者さんのことを第一に考えて行動してくれているのは、私の想いをくみ取ってくれているからこそ。そう実感しています
そのようなスタッフ陣のサポートも、日々の原動力につながっているのでは?
まさしくそうですね。私は休日も勉強会や講演会に出かけたり、執筆作業や講演の資料準備に追われていることがほとんどです。でも、それが決して苦じゃないんですよ。歯科の仕事が好きだからずっと続けてこられたのだと思います。なかなか家族との時間が取れず、家庭人としては決して満点とは言えないと思いますが、幸い家族が支えてくれています。ただ、歯科医師としてはやるべきことに対して情熱を持って取り組めているんじゃないかなと。患者さんから「何でも食べられるようになった」と喜んでもらえたり、患者さんの健康に少しでも寄与できたと実感できる時は、この仕事をやっていて良かったなと思いますね。
間もなく開業20周年を迎えられますが、最後に今後の展望についてお聞かせください。

基本的には今までと変わらず、患者さん目線で寄り添ってお口の悩みを共有し、来院される方に精度の高い治療を提供する。そして、患者さんとスタッフの笑顔が絶えない歯科クリニックでありたいです。私自身これまでの25年で技術の進化を体験しましたが、今後も最先端の技術を取り入れ患者さんに還元できたらなと考えています。2018年より九州大学歯学部の臨床教授に就任したことで、自分の知識と技術を後進の育成にも役立てなければと思っています。1人でも多くの患者さんの健康寿命延伸に貢献できたら歯科医師としてこれ以上の喜びはありません。お困りごとがあればご相談にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/50万円~(CT・ガイド込み)、マウスピース型装置を用いた矯正治療/80万円~、ホワイトニング/4万4000円~(上下)
※個人個人の症状や症例によって価格は変動いたしますので、あくまで目安の価格となります。詳細の問い合わせは歯科医院までお電話をお願いいたします。