塩口 淳一郎 院長の独自取材記事
塩口産婦人科医院
(大田区/鵜の木駅)
最終更新日:2025/03/27

東急多摩川線鵜の木駅から徒歩約2分。駅前の閑静な住宅街に位置する「塩口産婦人科医院」は、ピンク色の看板が目印だ。待合室には予防接種や検診などのポスターが貼られ、待ち時間にもさまざまな情報収集ができる。塩口淳一郎院長は、1997年に産婦人科の開業医だった父の後を引き継いだ。妊婦健診や乳児健診に加え、生理不順やPMS(月経前症候群)、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患、不妊、更年期障害、性病など女性の体の悩み全般に対応し、地域の幅広い年齢層の患者が訪れる。「診療では、患者さん一人ひとりのお悩みや不安にじっくりと向き合い、カウンセリングを通じてその方に合った治療法を提案しています」と話す塩口院長。穏やかで優しい語り口が印象的な塩口院長に、診療の特徴などについて話を聞いた。
(取材日2024年6月20日)
父の後を引き継いで地域の女性のかかりつけ医に
こちらの医院はお父さまから引き継がれたとお聞きしました。

産婦人科医だった父は、勤務医を経て、最初は品川方面で開業したのですが、都市計画の関係でこの場所に移りました。自宅が近かったため、私が中学生くらいの頃から父が産婦人科医として働いている姿を目の当たりにしていました。当時は出産にも対応しており、出産が近づくと父は夜中でも起きて自宅近くの入院施設に出かけていきました。患者さんから頼りにされる父の姿に魅力を感じ、自分も父のような産婦人科医をめざそうと医学部に進みました。大学卒業後、産婦人科の勤務医として別の病院で診療していたのですが、父が亡くなりクリニックを引き継ぐことになったのです。施設が老朽化していたため全面的に改装し、1997年に同じ場所で再スタートしました。
産婦人科の魅力について教えてください。
大学でさまざまな診療科を学びましたが、産婦人科は、「生命の誕生」を扱う科だからか、病棟の雰囲気がとても明るいんですよね。「おめでとうございます」という言葉も多く聞かれますし、出産した方やそのご家族の喜びの涙にふれ、心から「良かったですね」と言葉をかけてあげることができます。それが一番好きなところですね。また、産婦人科は、手術など外科の要素と内科的な診療の両方ができることにも魅力を感じました。当院では、現在分娩は扱っておりませんが、緊急時の対応ができるよう、手術室も備えてあります。妊婦健診は32週くらいまで、乳児健診は6・7ヵ月健診、9・10ヵ月健診に加え、乳幼児の定期・任意の予防接種に対応していますから、お近くにお住まいの妊婦さんやご家族の方は安心して頼っていただければと思います。
女性の悩み全般にも対応していると伺いました。診療の際に心がけていることはありますか?

患者さんがどんなことに悩んでいるのか、どんなことに不安を感じていらっしゃるのかを時間をかけてカウンセリングし、その原因について考え、その方のつらさを軽減させるためのお薬を処方したり、日々の生活を送る上でのアドバイスをしたりしています。中高年世代の女性で多いのが更年期障害で、治療法としてはホルモン療法がよく知られていますが、当院ではすぐにホルモン剤の投与はせず、最初はカウンセリングと漢方薬の処方からスタートします。症状が改善しない場合はホルモン療法に移行することもありますし、プラセンタ注射をお勧めすることもあります。「自分には関係ない」と思っていても、診断シートであてはまる症状にチェックをつけてもらうと更年期障害だとわかる、ということも十分あり得ます。
PMSや不妊症の相談にも対応
先生が優しい雰囲気なので、患者さんは相談しやすいように感じます。

ありがとうございます。「産婦人科に足を運ぶのはハードルが高い」と感じる方もいらっしゃいますが、そんな中わざわざ来てくださるのですから、気兼ねなくお話しいただけるよう、話しやすい環境づくりを意識しています。お若い方は、内診に抵抗を感じることもあるようですが、例えば、PMSの場合は、生理の周期がわかれば内診の必要がないことも多いですので、何か少しでも気になることがあれば、構えず、気軽に来院していただきたいですね。実は、現在の受付や看護師は過去、いち患者さんとして通ってくれていました。だからこそ、患者さんの気持ちにも寄り添いながら対応してくれていますので、些細なことでも、不安やわからないことは、遠慮なく聞いてくださいね。
PMSなどの生理のトラブルや婦人科系の病気にはどのように対応していらっしゃるのですか?
カウンセリングと漢方薬の処方を基本としていますが、症状が強い場合は患者さんと相談しながら低用量ピルを処方することもあります。低用量ピルは、将来的に、子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜が子宮の内側以外の部位に発生する「子宮内膜症」の予防にもつながります。その方の年齢やライフスタイル、価値観に即した形で、より良い改善方法を探っていきます。子宮内膜症や子宮筋腫などは、必要に応じて超音波で検査し、手術などが必要な場合は大学病院に迅速に紹介させていただきます。
不妊症の相談にも応じていらっしゃるのですね。

体外受精は行っていませんが、ご相談に乗った上でタイミング法や排卵誘発法などに対応しています。不妊症は、その原因の特定が大切ですので、まずは排卵が起こっているかどうかを基礎体温表で確認し、排卵が起こっている場合はタイミング法、起こっていない場合は排卵誘発剤を投与しながら経過を診ていきます。不妊症とは、一般的に、1年程度の期間避妊せずに性交をしているものの、妊娠しない状態を指しますが、それ以前の段階で相談に来られる方もいらっしゃいます。皆さん、インターネットなどで調べてさまざまな知識を持たれ、「頭でっかち」の状態になっていることも少なくないと思いますので、まずはそれらの情報の整理をして差し上げることからスタートするようにしています。
診療から検診まで、あらゆる年代の女性をサポート
地域に女性がなんでも相談できるこのようなクリニックがあると、安心ですね。

まさに、女性が気軽に相談に来ることができるクリニックをめざしています。例えば、妊婦時代に来院いただき、出産してお母さんになり、その後更年期の相談にいらっしゃるとか、その時のお子さんが大きくなって結婚し、妊婦さんになって当院に来られるというように、長くお付き合いさせていただきたいと思っています。実際にそういった患者さんもいらっしゃるのですが、さまざまなご縁がつながり、当院に足を運んでくださるのは、何よりもうれしいですね。ちなみに、当院にはご高齢の患者さんもいらっしゃいますから、これからも、年齢関係なく頼りにしてもらえるかかりつけ医をめざしていきます。
お忙しい日々の中、どのようにリフレッシュなさっていますか?
2年前、体調を崩して入院生活を送って以来、食生活や生活習慣に気をつけています。おかげで今は元気ですよ。子どもが小さい頃は、休みの日にドライブやミュージカルに一緒に出かけてリフレッシュしていたのですが、大きくなってしまったので、最近は妻と出かけています。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

丁寧な対応で日頃から信頼関係を築くことで、患者さんが悩みを一人で抱え込むのではなく、私たちを頼っていただけるようになるのではないかと考えています。これからも、地域に根差した産婦人科クリニックとしてあらゆる年代の患者さんを継続的にサポートし、一人でも多くの患者さんのお悩みを緩和して差し上げたいと思います。当院では、診療以外にも、子宮がん検診や乳がん検診、生活習慣病検診、骨粗しょう症検査やアレルギー検査などにも対応しています。特に、子宮頸がんワクチンの接種を推奨しています。子宮頸がんワクチンは、子宮頸がん撲滅をめざすための大切なワクチンであると認識しています。ワクチンを受けるかどうか迷っている方でも、副作用など気になるという方でも、まずはお気軽にご相談ください。