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林 昌司 理事長の独自取材記事

林小児歯科

(奈良市/奈良駅)

最終更新日:2024/07/09

林昌司理事長 林小児歯科 main

大和路線奈良駅から程近い住宅街の一角に「林小児歯科」がある。3階建のクリニックは広々として、待合室には子どものためのプレイスペースも設けられている。診療チェアは9台あり、9人の歯科医師が在籍。林昌司理事長は、大阪大学歯学部を卒業後、南大阪療育園(現:大阪発達総合療育センター)で障がい児の歯科診療に携わり、1991年に開業。小児歯科を掲げてはいるが、成人の患者にも幅広く対応する。対症療法だけでなく虫歯や歯周病の予防に力を入れ、口から全身につながる健康の維持と増進を目標に診療を行っている。自ら撮影した写真を素材に作成したカレンダーや替え歌、なぞかけ、川柳など、趣向を凝らした啓発活動にも独自のセンスが光る林理事長に、開業までの道のりや診療のモットーなどさまざまな話を聞いた。

(取材日2024年4月22日)

削らない治療を早期から実践

まず、開業までの経緯を簡単にお聞かせください。

林昌司理事長 林小児歯科1

大学を卒業後、恩師である下野元教授の力添えで南大阪療育園の障害児歯科診療室に常勤歯科医師として勤務しました。まだ卒業したばかりでしたから、週に1日は下野先生と同期だった岡本先生のもとで小児歯科を学び、もう1日はやはり下野先生と同期の久島先生のもとで矯正を学びながら、9年間ほど勤務しました。その後同職を岡山大学の別の先生に替わってもらい、当院を1991年に開業しました。当初はこの近くのテナントビルの1室で開業しましたが、その後道路の拡張工事で立ち退くことになり、この場所に移りました。

小児歯科を専門分野に選んだ理由を教えてください。

当時はまだ小児歯科も少なく、虫歯の治療に明け暮れていたような状況でしたが、徐々に虫歯を予防するという考え方が広まりつつあり、それが自分にとって魅力に感じられました。8020運動も始まったばかりで「8005」といわれたように80歳くらいの高齢者の多くは歯が5本くらいしか残っていないような時代でした。それを改善するためには、子どもの頃から口の中を健康な状態に保つことが重要なのではないかと、小児歯科の役割が注目されるようになりました。特に関西では、虫歯予防のための定期健診に力を入れる歯科医院が増え、予防業務の主役として歯科衛生士さんが活躍するようになっていて、そういった状況に可能性を感じたことと、自分の両親が教師で、自分も子どもが好きで教師になりたいと思っていた時期もあったことから、自然と小児歯科を専門分野に進んだんです。

診療において心がけていることはありますか?

林昌司理事長 林小児歯科2

必要以上に歯を削らず、悪いところだけを削って健全なところは極力残すようにしています。そういった方法は今でこそ珍しくはありませんが、開業当時は非常識だとされていました。小さな詰め物では壊れやすいため、ある程度は削ったほうが良いとされていたのです。それに対して自分は削る量を最小限に留める一方で、治療後の定期検診に力を入れることで、なにか問題が起きても小さな補修で済ませられるように心がけて治療していました。その後、乳歯から永久歯に生え替わる時期に、従来の削り方で治療している方と最小限だけ削った方で、どちらの歯が多く残っているかを比較すると、後者のほうが歯が多く残っていることがわかったんです。

すべての患者に小児歯科のハートで接する

乳歯の場合はどこまで治療すれば良いか、判断が難しくはありませんか?

林昌司理事長 林小児歯科3

乳歯が活躍する年数は限られています。だいたい生後8ヵ月くらいで生えてきて、12歳くらいまでに永久歯に生え替わります。でも、1歳児の平均的な身長が80センチメートル、体重が10キログラムくらいだとすると、12歳になれば身長は140センチメートル、体重は40キログラム超えている子が大半でしょう。そこまでの体の成長を支えてくれるのが乳歯です。成長のパーセンテージからすれば、永久歯より乳歯の役割のほうが大きいといえるのです。その間に虫歯で食事が取れなかったり、変な噛み癖がついてしまったりすると、それは一生のマイナスになりかねません。また歯周病菌にも病原性に段階があり、20代までに予防を入念に行えば、生涯にわたって病原性の高い歯周病菌の定着の防止をめざせることがわかりました。この時代の小児歯科の役割は重要なのです。

クリニックとして独自に取り組まれていることはありますか?

最近では口笛が吹けない、ろうそくの火を吹き消すことができないといった、子どもの口腔機能発達不全症が増えています。そういったサポートにも力を入れ、子どものための口腔機能のトレーニングのプログラムなども独自に考案して、アドバイスしています。パソコンのソフトで紙芝居を作って子どもに見せたり、「オーラルオリンピック」を略した「オラリンピック」と称して、吹き戻しのおもちゃを使ってゴルフボールを穴に落としたり、フェンシングをしたり、紙風船を膨らませてバスケットボールのようなゲームをしたり、そういった遊びを通して口の機能を鍛えていけるような取り組みも広めています。

小児歯科だけでなく、成人の患者さんも診ていらっしゃるんですね。

林昌司理事長 林小児歯科4

小児歯科を掲げていますが、年齢制限は設けていません。幅広い年齢層の患者さんに対して小児歯科のハートで接しています。当院では「理解と信頼」「患者さんは最良の師」「ライフサイクルを知る」「健康を志向する医療」という小児歯科の4本柱となる考え方を基本理念として、どんな年代の方もその柱に則って診療します。また、定期検診のステージと目標を年代別に分けています。9歳までは「にんじんクラブ」として主に保護者へ向けてお子さんの口の健康について指導しています。10歳から19歳までは本人が予防の主役となる「キャロットジュニアクラブ」、成人になったら歯周病の予防と早期治療を目標とする「キャロットクラブ」、高齢者は「キャロットシニアクラブ」としてエイジングケアを中心に指導しています。キャロットシニアクラブには年齢制限があり、150歳までに限らせていただいているんですよ。

全身の健康を維持するための歯科診療を続けていく

高齢の患者さんにはどのような診療を行っていますか?

林昌司理事長 林小児歯科5

子どもの成長をプラスとすると、高齢者はマイナスの成長だと考えています。ちょうどビデオの逆再生のようなものです。そのマイナスの成長が急に落ち込むのでなく、なるべく緩やかになるような診療を心がけています。最近「オーラルフレイル」という言葉がよく使われるようになりましたが、これは「口腔機能の衰え」という意味です。口の中の健康はひいては全身の健康に結びついています。オーラルフレイルの症状が出てから2年後には、全身のフレイルが現われ始めるともいわれているんです。脳や体の機能が衰え始める前にオーラルフレイルを防ぐことが、全身のエイジングケアにもつながります。当院ではそのためのサポートにも力を入れているんです。

ご自身が趣味や健康のためにしていることはありますか?

写真が好きなので、自分で撮影した花や風景などの写真を使ってカレンダーを作ることが趣味ですね。他にも新型コロナウイルス感染症が流行している間は、それに関連した川柳を詠んでいました。パソコンのソフトを使って患者さん向けの資料、夏はうちわ、健康情報を発信するための院内報の製作も趣味が高じて続けています。特にカレンダーは毎年楽しみにしてくれている人もいらっしゃるくらいなんですよ。自分の健康のためにしていることは特にありませんが、写真を撮るためにあちこち歩くことが健康につながっているのかもしれませんね。

クリニックとしての今後の展望をお聞かせください。

林昌司理事長 林小児歯科6

歯科医院は求人難で、当院も人数が不足しています。もっとスタッフが増えれば患者さんとお話しする時間も増やせるので、同じ志を持っていただける方がいらっしゃるのなら、ぜひ当院で働いていただきたいと思っています。来院する子どもたちの成長を間近で見られますので、長く勤めるほどやりがいも強く感じられるはずです。患者として通院していた子どもが成長して、歯科衛生士になって当院に勤めてくれていた方が通算で10人以上いるんですよ。現在は資格が不要の歯科助手も、多様な患者教育を担いやりがいを感じてもらっています。当院のコンセプトに共感していただける方をスタッフとして迎えたいですね。これからもさまざまな世代の患者さんと向き合い、口の健康を基礎とした全身の健康の増進をめざして診療を続けていきます。

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