武田 和久 院長の独自取材記事
武田歯科医院
(香芝市/近鉄下田駅)
最終更新日:2025/02/13

近鉄大阪線の近鉄下田駅から南へ歩いて8分。国道168号狐井交差点角にある「武田歯科医院」は、香芝市内で長く続く地域かかりつけの歯科クリニックだ。院長の武田和久先生は、インプラント治療を専門とする歯科医師だ。その豊富な経験や知見を頼り、他院から紹介されてくる患者も少なくないという。「長男が独立開業し、そろそろのんびりしたいのですが」とにこやかに話すその表情に、気さくな人柄がにじみ出る。診療においては老若男女を問わず、患者の希望に寄り添った診療や訪問歯科を展開。奈良県歯科医師会の仕事をこなしつつ研鑽に励む武田院長に、患者との向き合い方や専門とするインプラント治療、今後の課題など、ベテラン歯科医師らしい話をたっぷりと聞かせてもらった。
(取材日2024年11月20日)
患者の希望に寄り添った、納得のいく治療を提供したい
この地域で長く診療をされているそうですね。

私が香芝市内で開院したのが1989年ですから、もう35年になりますね。それからいろいろあって移転を3回繰り返し、現在の場所になってから15年がたちました。私は大阪歯科大学の出身ですが、学生時代から開業志向があり、誰もが通いやすく、地域の皆さんから慕われるような町の歯科医師になるのが夢でした。それで大学病院に10年以上勤めた後、自分のやりたかった歯科診療をめざして開業。一般歯科や小児歯科、歯科口腔外科に加えて根管治療やインプラント治療の専門性を高め、小さなお子さんからご高齢の方までを対象とした幅広い診療を提供しています。
どのような設備で患者さんをお迎えしていますか?
1階には3台の歯科用チェアと個室、2階にも個室の処置室を用意する他、器具の滅菌などの感染症対策もしっかりと行い、患者さんが安心して受診できる環境を整えています。また、新鋭のレーザー機器や炭酸ガスレーザー機器を導入し、なるべく痛みの少ない治療をめざしています。歯科治療に対し、いまだに歯科医院に怖いイメージを持っておられる方が意外に多いもの。丁寧な説明や、できる限り怖くない、痛くない治療を提供することは、歯科における大切なポイントですからね。ちなみに当院には4人の歯科衛生士が在籍し、診療に関しては、ともに歯科医師の長男と長女がそれぞれ週1回、非常勤でここを手伝ってくれています。
診療では、どのようなことを心がけていますか?

患者さんが残してほしいとおっしゃる場合は、グラグラの歯も、抜くべき神経も残したいと思います。もちろん「それでは痛みが続きますよ」と、良いことも悪いこともきちんと説明し、正しい治療法をご提案するのは言うまでもありません。その上で患者さんがお選びになるのなら、それも一つということですね。時には脱線話を盛り込み、どうしてほしいのか、患者さんの真意を探っていくことなどもしています。患者さんの性格にもよりますが、こうした対話を重ねることがスムーズな治療の第一歩といえるでしょう。もう一つ、私の大切な役割として在宅での訪問歯科診療があります。こうして長くやっていると患者さんもご高齢になり、これまで通っておられた方が歩けなくなってというケースが増えていくと思います。口のことは全身の健康に直結すると考えていますから、そこは私も使命感を持って、できる限りのことはしていきたいですね。
治療の安全性は、今も昔も歯科医師の技量がテーマ
インプラント治療をご専門とされた経緯を教えてください。

私が大学の附属病院にいた頃はインプラントの専門科がなく、まだ否定派が多かった時代です。そんな時に補綴臨床に関する本を読み、これはちゃんと勉強しようと思い立ったわけです。それで、その本を書かれた先生の講習会や京都にある口腔単位での勉強会コースに参加して、インプラント治療について学びました。開業後、大阪歯科大学にも口腔インプラント科が開設されましたが、その科長となられたのが大学時代の恩師の先生だったことから、教室に通って外科的な技術も学び、インプラント治療の専門性を高めることができました。こうして専門性の高い先生方から多くのことを学ばせてもらいましたが、実践的な経験や技術のほとんどは開業後に臨床で体得して培ったものです。
今ではインプラント治療も随分と一般的になりました。
技術や材料の進化もあって、昔の常識は今や非常識という面もありますね。優秀なガイドシステムを用いることで、安全性に配慮したインプラントが打てるともいわれています。ただし大切なのは、そうした新技術だけに頼るのでなく、きちんとした知識と経験則を持って基本に忠実な治療を行うこと。ガイドを使ったからといって問題がゼロになるわけではありません。ショートインプラントを用いた方法やフラップレス、抜歯即時埋入といった技法に関しても、それぞれにメリットとデメリットがあり、見極めにはやはり豊富な知識や経験が必要となります。私はこれまで多くの症例をこなしてきましたが、インプラント治療の初期の頃に使っていたような単純な材料であっても問題なく定着を図れると思っています。それは、担当する歯科医師の技量によって、差が出るのではと考えているからです。
先生は奈良県歯科医師会でもご活躍されているとか。

報酬は出ませんのでボランティアのようなものですが、奈良県歯科医師会で、木曜は施設基準のための講習会や、その他医療管理に関わる行事の企画を行っています。例えば口腔がんが見つかった患者さんを大学病院などにご紹介する場合、旧知の先生が退官されていたなど、依頼する際の困り事が起きることもあるわけです。そうした際に歯科医師会におられる県立大学の先生に直接お願いができるなど、人脈的なメリットも歯科医師会にはあるわけですね。あとは歯科医師や歯科技工士の将来的な人材不足など、社会的な問題を議論していくことも私たちの世代に課せられた役割ではないかと考えています。
困っている人がいる限り診療を辞めるわけにはいかない
歯科医師になられたのはお父さまの影響だとか。

父が産婦人科医でしたから、私が医療の道を選んだのは間違いなく父の影響です。そして子どもたちがまた私の背中を見て歯科医師になり、長男は今年の9月に独立開業を果たしました。その場所となったのが、父の産婦人科医院の跡地です。金曜はここで手術などを担当してくれますし、普段は離れているくらいがちょうど良いんじゃないかと思いますね。いつも顔を突き合わせていると、意見が違った時にお互い面倒ですから。長女は月曜に来てくれますが、彼女には5歳と3歳の子どもがいて、まだまだ子育てで大変です。とはいえ、臨床を中断すればスキルも止まってしまいますから、週1回程度手伝ってくれています。あと、次女が眼科の勤務医なので、特に望んでいたわけではありませんが3代にわたる見事な医療家系となりました。
休日はどのようにお過ごしですか?
私の趣味は釣りとゴルフです。若かりし頃は、仕事が忙しい時に限ってよく釣りへ出かけていました。プロの釣り人と一緒に九州まで出かけたり、200kg級の大マグロを狙ってオーストラリアまで行ったり、チヌ釣りの大きな大会で42cmを釣りあげて新聞に載ったこともあります。数では上級者には勝てませんが、大きいのを一匹であればゴルフとは違って努力はあまり関係ありませんからね。あとは夫婦でたまに海外旅行をします。以前、メジャーリーグの試合を2回ほど観戦しました。お目当ての選手の試合を観戦しました。目の前でホームランが拝めて、おかげで妻への良い罪滅ぼしができました。
最後に、今後へ向けた意気込みをお聞かせください。

患者さんのご希望に添うには、自分のスキルも上げていかねばなりません。ところが、新型コロナウイルス感染症の影響で勉強会が激減し、オンラインの時代にすっかり変わってしまいました。それでもなんとか勉強しようと恩師の先生の名を冠した門下生の集まりをつくり、年に2、3回は勉強会や懇親会を開いて新しい情報を学習しています。今、特に勉強しているのは、不定愁訴という理由のわからない歯の痛みです。心因的なものが関係しているようですが、一人で抱えていても解決しませんので、まずは私たち歯科医師にご相談いただければと思います。本当はそろそろ妻とのんびり過ごしたいのですが、大勢の患者さんがおられますし、スタッフの雇用などを考えるとまだまだ引退できません。困っている人がいる限り、今後も地域のかかりつけ歯科医師として力を尽くしていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万円~