権藤 宏 院長の独自取材記事
ごんどう整形外科
(川崎市中原区/武蔵新城駅)
最終更新日:2021/10/12
「当院には、長年通院しているのになかなか良くならないと相談に来られる患者さんが多いんですよ」と語るのは、「ごんどう整形外科」の院長、権藤宏先生。内部エレベーターで行き来できるビルの5・6階を使った広々とした院内には先進のエックス線検査機器をはじめ、新型の器具が備えられている。取材中も「先生のおかげです」と深々と頭を下げる患者が訪れるなど、「適切な診断と治療」で多くの信頼を集める権藤先生に、地域の医師としての熱い思いを聞いた。
(取材日2019年3月14日)
的確な診断と適切な治療の提供をめざす
まずは開院の経緯について教えてください。
私は昭和大学藤が丘病院および関連病院で整形外科、脊椎外科の診療に23年間従事してきました。専門は脊椎で、腰痛や肩こり、手足のしびれ、肩・肘・膝の痛み、側弯症、スポーツ障害など日常生活の中で経験することの多い症状と向き合い、数多くの腰痛や脊椎疾患の手術治療に携わってきました。そのような中、駅から徒歩30秒というこの場所が見つかり、これも何かのご縁と開業を決意しました。適切な診断と治療を提供することに加えて、手術のできない患者さんに対して薬や注射、リハビリテーションなどできるかぎりの治療を提供してさしあげることも、開業医ならではの役割と考えています。診察に来られた患者さんと世間話をしたり、「ここに来て良かった」と喜んでいただけた時は、開業して良かったと本当にうれしいですね。
検査機器の導入にも力を入れているそうですね。
開院にあたって意識したことは、専門である脊椎の病気をはじめ、さまざまな体の痛みや悩みの原因の早期発見・早期治療をしっかり行うことです。診断の精度を上げるため、大学病院で使っていた脊椎全体が撮影可能なエックス線検査装置を導入しました。全身のバランスを見て診断することで、より的確に痛みの原因を診断することが可能になると考えています。さらに、少ない負担でより適切な診断をするため、超音波による検査にも対応しています。また、6階フロアには痛みの緩和のためキセノン光治療器や運動療法、温熱療法、電気療法、けん引療法などで使用するさまざまな医療機器を導入し、症状や原因に合わせて適切な治療を行っています。
どのような患者が多いのでしょうか。
開院当初から通ってくださっている患者さんとは12年近いお付き合いになります。患者さんのクチコミや紹介で来てくださる方も多く、患者さんの中には100歳を過ぎても元気に通ってくださる患者さんや、以前、手術を受けられた患者さんの中で、遠方から通ってくださる方もいらっしゃいます。若い方やスポーツ選手などはスマホやパソコンで調べて来てくださる方が多いですね。年齢層は赤ちゃんから高齢者の方まで幅広く来院されています。脊椎病専門の医師であることから、セカンドオピニオンを求めて来られる方もいらっしゃいます。整形外科は骨、関節、筋肉、神経の病気やケガの治療をするところですが、何科を受診したらよいかわからないという方も遠慮なくご相談ください。
専門家ならではのより効率的なリハビリを
理学療法士によるリハビリのメリットについて教えてください。
理学療法士は病気やケガなどで身体機能が低下した方に対し、運動療法や物理療法(電気、光線、超音波、温水などを使用し物理的な方法で症状にアプローチするもの)を用いてリハビリを行う、体の動作に精通したスペシャリストです。当院では常時3~4人の理学療法士が良い姿勢の取り方や、起き上がる、立ち上がる、歩くといった基本動作能力の回復、アスリートのケガの予防やパフォーマンスの向上まで、幅広くサポートしています。特に関節の動きが悪い、筋肉の力が弱いという悩みに対しては薬や注射、手術よりも理学療法士とともに少しずつ体を動かすリハビリが非常に有用です。病院から紹介されて術後の機能回復をめざしてリハビリを受けに来られる方も多く、理学療法士による一人ひとりの患者さんの状態に合わせたオーダーメイドのリハビリを提供しています。
最近は子どもや若い女性の受診も増えてきていると聞きました。
はい。例えば、ストレートネックは長時間同じ姿勢でスマホやパソコンの画面を見続けることで、本来はゆるやかにカーブ(前弯)しているはずの首の骨(頸椎)がまっすぐになってしまった状態を指します。ストレートネックになると肩こりだけでなく、めまいや吐き気、耳鳴り、手のしびれなどを伴うことがあり、なで肩の女性に多く見られます。もちろん、ストレートネックにならないための予防も大切です。当院では座り方やスマホの持ち方、パソコンの画面を見る時の姿勢の改善など細かく指導しています。ほんの少し姿勢を変えるだけでも違いますので、思い当たる節のある方は、諦めたり我慢したりせず早めにご相談ください。
骨粗しょう症や巻き爪、外反母趾にも対応しているそうですね。
川崎市では女性を対象に「骨粗しょう症検診」という制度があり、40歳以上の女性が5年ごとに骨量測定を受けられます。当院も骨密度の測定と血液検査に対応しており、検診で来られる方が増えてきています。中には自覚症状がまったくないまま骨密度がかなり低下している方もいるため、もっと早い段階で骨粗しょう症の発見・治療ができればと思っています。また、膝関節痛や足の痛みに対して、足底の圧がどのように分配されているかを測定し、足底圧のバランスに問題がある場合は、専門の装具士による、外反母趾専用の足底板の製作や、理学療法士による足底板の調整なども行っています。
「はじめに診断ありき」地域の整形外科医師として
スポーツ選手のサポートにも力を入れているそうですね。
はい。川崎市整形外科医会では、川崎市少年野球連盟の要請を受けて年に1回、「川崎市野球肘検診」を行っています。上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は気づかないまま進行させてしまうと手術が必要となることもあるんです。毎年500名以上の選手が検診を受け、3~4人に離断性骨軟骨炎が見つかります。一方、外来診療では靭帯損傷や骨折をしてギプスをつけた選手に、「来週、試合があるのに」と泣かれてしまうことがあります。「このケガだったらプロでも休むよ」と言って納得してもらいますが、早めにギプスをサポーターに変えたり、リハビリを開始したりして、できるだけ早く復帰できるようサポートしています。私自身も子どもの頃からスポーツに親しんできたので、子どもたちの選手としての未来はもちろん、生涯スポーツを楽しめるよう、これからもできるかぎりのサポートをしていきたいですね。
開業医としてのやりがいや抱負をお聞かせください。
診療の際は患者さんの話をよく聞き、必ず触診して全身の様子をよく診るよう心がけています。「こんなにしっかり診てもらえるなんて」と驚かれることもありますが、悪いところを的確に見つけ、適切な治療を提供するのが私の仕事です。背中の曲がった患者さんにうつぶせになっていただき、筋肉を少し伸ばしてあげただけで喜ばれたこともあります。なぜこの治療が必要なのかをわかりやすく説明するだけでなく、実際に変化を実感していただいた上でリハビリに入ると、患者さんも頑張ろうという気持ちになりますよね。痛みがひどい場合は、ブロック注射などで痛みを緩和させながら治療することもあります。病院時代は手術中心の治療でしたが、手術に頼らずに薬や注射、リハビリで症状を改善させていくのも開業医ならではの腕の見せどころですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
何かしらの症状があった時は、まず整形外科できちんと診断を受けてほしいですね。専門の医師による的確な診断のもと、マッサージを受けたり、接骨院に通ったりする分には構わないと思うのですが、自己判断や、正しい診断を受けずに骨盤矯正などを受けたりするのには疑問が残ります。エックス線やCT、MRI画像を撮ってきちんと診断できるのは整形外科なので、「はじめに診断ありき」ということを頭の片隅に置いておいてもらえれば適切な治療が受けられます。これからますます高齢化の時代を迎えますが、この地域で寝たきりの高齢者が増えないよう、地域ぐるみで健康寿命を延ばすような啓発運動もしていきたいと思っています。患者さんが寝たきりにならないよう、いつまでも元気に動ける状態を維持するのも整形外科医師の大切な仕事です。気になることのある方やつらい症状にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。