大井手 和久 院長の独自取材記事
あいおい通り歯科クリニック
(広島市西区/横川駅)
最終更新日:2022/01/26

広島市西区は市の中心街よりも静かな昔からの住宅街。町のランドマークの大型スーパー近くに「あいおい通り歯科クリニック」がある。院長の大井手和久先生は広島大学歯学部を卒業し、市内の歯科医院での勤務医を経て、2007年に開業した。一般歯科診療をはじめ口腔外科、子どもの矯正、審美歯科などに幅広く対応し、地域に貢献している。管理栄養士が在籍し、口の健康管理のための食生活指導にも取り組み、2016年には厚生労働省が定める基準を満たし「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」となった。患者の健康とスタッフの働きやすさに心を傾ける、優しく真摯な大井手院長に診療方針や今後の展望を聞いた。
(取材日2021年11月10日)
食生活指導を取り入れた予防歯科に取り組む
この場所で開業された経緯をお聞かせください。

広島大学歯学部に入学して、たくさんの仲間や先輩に出会いました。そういう人たちと一緒に成長していきたいと思い、この地で開業をめざすことにしました。2007年に開業した当時、この辺りは昔ながらの町でしたが南隣の大型スーパーが開業準備中でした。これから発展するエリアだと感じて、その一翼を担いたいと思い、この場所で開業しました。昔から住んでいる方が多いので小さいお子さんから高齢の方まで幅広い患者さんが来院されます。症状に対する治療はもちろん大切ですが、その患者さんがなぜ発症したのかまで突き止めて、症状を繰り返さないようにするため予防歯科にも力を入れています。
予防歯科の一環で食生活指導もされているそうですね。
口腔環境と食生活は密接に関わっています。患者さんの生活習慣まで見通して、踏み込んだ予防歯科に取り組まなければいけないと考えました。口腔内の症状に食生活の問題が潜んでいると思われる患者さんには管理栄養士による食生活指導を受けてもらうよう勧めています。まず体成分分析装置という機器で筋肉量や脂肪量、基礎代謝などを測定して、体の状態や栄養の過不足を評価し、これをもとに食生活の改善をめざします。多忙な方や小さいお子さんのいる方は続けるのが難しいかも知れませんが、それぞれのタイミングやペースで取り組んでいただけるように長いお付き合いでサポートしていきたいです。
クリニック内に飾られたアート作品や観葉植物が目を楽しませてくれますね。

明治時代に活躍した文豪が著した小説の冒頭に、住みにくい世の中をのどかにして、人の心を豊かにし、住みやすくするのが芸術だ、という意味の一節があります。これに感銘を受けて、クリニックの内装を工夫するようになりました。歯科治療の器具を口の中に入れられたり歯を削られるのは大人でも気持ちのいいことではないですよね。怖い、行きたくないという心理的なハードルを少しでも下げるために歯科クリニックにありそうにないものを取り込むことで驚きやわくわくのある場所にしています。有名作家の作品も置いていますし、絵の上手なスタッフが描いてくれた絵画もあるんですよ。いろいろな作品をミックスして、皆さんが心地良いと感じてもらえる空間を提供したいと思っています。
虫歯ゼロ、きれいな歯並びで20歳を迎えてほしい
小児の歯科診療において心がけていることを伺いたいです。

親御さんやきょうだいと一緒に安心して治療を受けられるように診療室の1室を完全個室のファミリールームにしました。室内にキッズコーナーを設けて、きょうだいや親御さんが治療を受ける間、遊びながら待ってもらえます。お子さんたちには虫歯ゼロ、きれいな歯並びで20歳を迎えてもらいたいですが、食生活の豊かさの向上と反比例して歯並びに問題のあるお子さんは増えています。上顎の成長は10歳前後で止まるため、6歳から8歳の時期に矯正を始めれば上顎の成長を利用できるため、抜歯せずに治療できるかもしれません。その年齢までにかかりつけの歯科クリニックを持っていただきたいですね。また私たちは、そもそも歯並びを悪くしない方法はないのか、食生活や食習慣から歯並びにアプローチできないかを追究するのが今後の課題だと考えています。
診療や衛生管理の機器はどんなものをそろえていらっしゃいますか。
確実な診断と安全な治療をめざすための機器は積極的に導入しています。CTは被ばく量が少なく、広い範囲を撮影できるものです。口腔内だけでなく頭部全体を捉えられるので顎や頭蓋骨のゆがみを判定して歯列矯正にも応用できます。精密治療を効率的に行うための歯科用顕微鏡も活用しています。肉眼では見えない歯の内部を鮮明に見ながらの処置や、初期の虫歯や歯周病などの早期発見に役立ちます。また、治療用器具はジェット水流式の洗浄機で洗い、ヨーロッパの厳しい基準をクリアした高圧蒸気滅菌器で滅菌しています。新型コロナウイルス感染症流行以前から院内感染が起きないように配慮してきましたが、今後も患者さんとスタッフを守るために衛生管理を充実させていくつもりです。
趣味や健康のために続けていることはありますか。

ジムでトレーニングをするのが楽しいですね。40代になり油断すると太ってしまうからということもあります(笑)。以前、人間ドックでメタボリックシンドロームになりかけていると言われたので一念発起で始めたんです。そういう体験をしてみて、自分ができないような食生活改善を患者さんたちに勧めるのは良くないと思いました。取り組みやすいことから始めてもらおうとホームページ内のブログからニュースレターを発信しています。管理栄養士のスタッフと一緒に考えたスムージーのレシピを紹介するなどしています。今後は動画共有サイトも活用していきたいです。食生活の提案だけでなく、歯磨き指導に動画は適していますからね。私たちも患者さんも楽しみながら続けていけたらと思います。
地域の健康を支える歯科クリニックをめざして
歯科医師を志したきっかけや、めざす歯科医師像はありますか。

医療の仕事は、ありがとうと言われる素晴らしい仕事だと思い、興味がありました。その中でも歯科医師を志したのは、父親が職人でその仕事ぶりを見てきたからだと思います。歯科医師には医療のスキルと職人的な精密作業の両方が必要で自分の適職だと思っています。歯科医師家系の出身ではない分、医療者に特別な思いがあるかも知れません。私自身が患者の立場になり「歯科医師には向学心を持ち続けてほしい」という客観的な気持ちに忠実でいたいです。歯科医療は常に進化しています。幅広く勉強し続けなければいけません。幸い信頼できるスタッフが支えてくれますので、私が先頭に立ってスタッフと一緒に知識と技術の向上に努めていきたいです。
地域の中で歯科クリニックが果たす役割についてどうお考えですか。
歯科診療だけでなく地域の健康を支える存在になりたいと思っています。昨年はコロナ禍に際し、診療縮小を余儀なくされた期間がありました。その時間を有効活用して地域の感染症予防に役立つことをしたいと考え、絵のうまいスタッフが中心になって手洗いを呼びかける絵本を作り、地域の幼稚園と保育園に配布したんです。「手洗いヒーローやっつけめん」という主人公が活躍してばい菌を撃退するストーリーです。あえてカラーにせず、お子さんたちに自由に色を塗ってもらえるようにしました。ある保育園では絵本を劇にして発表会で上演してくださったり、絵本をきっかけに受診してくれたお子さんたちが「やっつけめんの歯医者さん」と言ってくれたりして、うれしかったですね。今後も虫歯予防や食生活の大切さについて地域の皆さんに知っていただく活動をしていきたいです。
今後の展望や読者へのメッセージをお聞かせください。

クリニックの規模を大きくしたいとは思っていません。めざしたいのは患者さんの健康に貢献することと、診療のクオリティーを上げることです。そして女性スタッフに支えてもらっている職場なので、その人たちが働きやすい職場にしなければいけないと思っています。女性のライフステージには出産やご主人の転勤などでキャリアの中断を考えなければいけない時もあるでしょう。この課題と向き合い、働き続けられる職場環境を整えていきたいです。患者さんも信頼するスタッフが長く関わってくれると安心できますから。健康の問題は相手が医療者であっても言いづらいことがあります。私たちの対応やクリニック内を明るい雰囲気にして、何でも相談していただけるようにしていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/48万円~、審美歯科/8万5千円~