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江尻 和夫 院長の独自取材記事

えじり子供クリニック

(川崎市中原区/新丸子駅)

最終更新日:2025/06/04

江尻和夫院長 えじり子供クリニック main

新丸子駅から徒歩1分。駅前商店街内にある「えじり子供クリニック」は、クマのキャラクターが印象的な小児科医院だ。江尻和夫院長は街中でも気軽に患者に声をかける、明るい性格が評判。威圧感を与えないために白衣は羽織らず、子どもの目線を自分に向けるためにネクタイはキャラクター柄にしている姿が特徴的だ。「子育ての相談にも乗るのが小児科医の仕事です。一人で思い悩まず、何でも聞いてください」と話す院長の優しさは子どもにも伝わっているようで、院内には子どもからの手紙やおもちゃがたくさん並んでいる。インタビューでは専門の小児神経科に関わる問題などいろいろと話を聞いた。

(取材日2012年11月20日)

白衣は着ず、柄物ネクタイで子どもの視線を釘づけに

開業までの経緯を教えてください。

江尻和夫院長 えじり子供クリニック1

金沢医科大学を卒業後、日本大学医学部で博士号を取得。その後、沼津市立病院などでの勤務を経て、1996年に開業しました。ずっと小児科で診療をしてきた中で、特に得意とするのが小児神経科です。子どもの神経疾患は発達障害や学習障害、注意欠陥・多動性障害、アスペルガー症候群、自閉症などたくさんあり、医師が診る範囲がかなり幅広いのが特徴です。開業にあたっては、地元の患者さんを中心とした「地域密着」をめざそうと考え、当初は24時間対応していました。最近は体力的にきつくなってきたので、少し数を絞ろうと思っています(笑)。ただ最近緊急対応をしなくなった病院が増えてきたので、ニーズの高さを感じています。ですから電話がくれば診療していますね。

診療でこだわっていることはありますか?

白衣を着ないことです。威圧感を与えないために、勤務医時代からこのスタイルを続けてきました。開業してからは目線をこちらに向かせるために、子どもが喜びそうなキャラクター柄のネクタイを愛用しています。院内には待ち時間を楽しく過ごしてもらえるようにおもちゃを用意。自分で買ったおもちゃもありますが、ほとんどが子どもたちからのプレゼントなんですよ。また子どもに受け入れてもらいやすいように、当院のホームページはかわいいデザインにして、文字は大きく、漢字にはルビを振ってあります。それと妻が発案したクマのキャラクターも、子どもに喜ばれているみたいです。注射がなるべく痛くならないように、という点にはこだわっていて、細い針を使ったり打ち方を工夫したりしています。角度やスピードによって痛みの軽減をめざせるんですよ。これには自信があるんです。

患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

江尻和夫院長 えじり子供クリニック2

子どもとのふれあいはもちろん、親御さんとのコミュニケーションがポイントとなります。親御さんが教えてくれる子どもの情報をいかにくみ取れるかが、小児科医の腕の見せどころと言っても過言ではないでしょう。また患者さん側には「こうしたい」という希望が必ずあります。それを知ることがとても重要であり、とても難しいと感じていますね。親御さんも、最初から自分の気持ちをうまく伝えられないのが普通です。それを診療という短い時間の中で探っていくわけです。コミュニケーションがうまくいけば、治療もうまくいくと考えています。これからもそういう部分を大切にしていきたいです。

専門は神経疾患。臨床心理士によるカウンセリングも

先生の専門である小児神経科に関して、気になることはありますか?

江尻和夫院長 えじり子供クリニック3

子どもに神経疾患があると考え受診するというケースが増えていることですね。最近、子どもの神経に関する病気が増えているように感じるという方が多いのですが、その理由の一つはたくさんの本が出ていることだと思っています。心理学の先生たちが次々に出版しており、書店にはずらりと子どもの神経疾患に関する本が並んでいます。するとそれを目にした親御さんが「自分の子どももそうではないか」と、落ち着きのなさや言うことを聞かないのは病気や障害が原因なのではないかと心配し、医師に相談しに来るのです。ですが、必ずしも病気や障害であるとは限りません。たとえ障害があると診断されたとしても、それが子どもの「キャラクター」だと理解することが大事です。

病気や障害ではなく「個性」と考えるのですね。

「病気や障害がある」ではなく、「こういう特性のある」子どもだと理解できれば、それほど心配する必要はないと考えています。例えばOD(起立性調節障害)は、自律神経の問題で血圧が下がってしまい、学校に行けなくなるというもの。実際は登校拒否ではないのですが、知識がないと学校側からは登校拒否だと思われてしまいます。この時、親御さんや学校など、周囲の人たちが神経疾患であるときちんと理解することが重要です。子ども自身が困っていても、周囲の理解がなければ、先にまったく進めなくなってしまいますからね。ですから私たち医療従事者は、理解を進めて状況の改善を図るためにも、病気についてしっかりと伝えることに尽力しています。子どものよくわからない症状に悩んでいる場合、どこに相談したらいいのか困っている場合には、抱え込まずにまずは話をしに来てください。

こちらでは臨床心理士とのカウンセリングも可能と伺いました。

江尻和夫院長 えじり子供クリニック4

予約制にはなりますが、臨床心理士には子どもだけではなく、親御さんの相談にも乗ってもらっています。そして病気や障害のある子どもの将来に対する不安を和らげるように努めてもらっていますね。カウンセリングでは、子どもは成長するにつれてどんどんと変わっていくものであり、それをしっかりと見守ることが大切だとお伝えしています。また人によっては、訓練によって少しずつ社会に適応できるようになるケースもあると説明。自閉症の場合も、症状が重いと難しいこともありますが、できないところを直そうとするのではなく、できるところを伸ばそうとするのが良いと話しています。特性によって難しいことがある中でも、どこか発達の進んでいる部分は必ずありますからね。そういったところを臨床心理士に見つけてもらって、良さを引き出すことができれば、適応できる場所が出てくるでしょう。

小児科医はジェネラリスト。思い悩まず、まず相談を

ところで机の上にパソコンがありませんが、先生は使用していないのですか?

江尻和夫院長 えじり子供クリニック5

苦手というのもありますが(笑)、あえて使っていません。紙のカルテなら、生活背景のことなど診療以外のこともさっと書けます。例えば話している中で旅行に出かける話が出てきたら、それを書き留めておく。そうすれば次に来た時に「旅行どうだった?」と聞くこともできますし、そこから何か診療のヒントになるものが見つかるかもしれません。またパソコンを使っているとどうしても打ち込むのに神経が削がれてしまって、患者さんの顔を見ないようになってしまうというのも使わない理由の一つですね。患者さんに病状や治療法について説明する際にも、すべて紙に書いてそれを差し上げています。中には母子手帳に貼る方もいるんです。子どものメモリアルの一つにしてくれていると思うと、ちょっと感慨深いですね。アナログなほうがわかりやすく、コミュニケーションのきっかけにもなると考え、今後も続けていくつもりです。

先生が抱く小児科への思いをお聞かせください。

小児科は総合診療科、つまりジェネラリストだと考えています。小児科という一つの領域の中に眼科もあれば、耳鼻科も皮膚科も精神科もありますからね。また子どもたちはどんどん成長して変化していきます。ですから対応しなければならない領域の幅が広いのが特徴です。大変な反面、面白さも格別なんですよ。小児科の受診年齢は15歳までが目安なんですが、当院には20歳くらいの子も通って来ています。昔から通院しているので、私のほうから「いつでも来ていいよ」と言っているんです。

多くの子どもと親御さんが長く通われているのですね。

江尻和夫院長 えじり子供クリニック6

とてもありがたいことだと感じています。親御さん、特にお母さんにとって子育ては大変な作業であり、大きなパワーが必要です。そんな中、子どもの病気のことで悩んでいては疲弊してしまうでしょう。自分だけで解決しようと頑張りすぎてしまえば失敗する恐れもあります。子どもの病気、その中でも神経的な病気については正しい情報が広まっていないことが多く、偏った知識だけが身につき、家族で悩みを抱えてしまいがちです。起立性調節障害をはじめ子どものことでよくわからないことがあれば、一人で思い悩むのではなく些細なことでも気軽に相談してください。そうしていただければ私たちがサポートさせていただきます。それがジェネラリストたる小児科医の役割の一つでもありますからね。

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