清水 拓 院長の独自取材記事
しみず歯科
(神戸市中央区/大倉山駅)
最終更新日:2024/03/15
大倉山駅西出口より徒歩3分ほどにある「しみず歯科」は、歯ブラシにとまったフクロウの看板が目印の地域密着型の歯科医院だ。1998年に開業した同院は、清水拓院長を中心に「身構えずに来れる、身近な歯科医院」をめざしたアットホームな診療が持ち味のクリニック。丁寧な説明や、控えめで気さくな清水院長の人柄もあって、歯科医院嫌いの人にも通いやすい雰囲気が漂っている。取材に際して「何かに特化し、先進的な治療をする歯科医院はもちろん必要です。でも、当院のように特別な特徴がない普通の歯科医院も町には必要だと思います」と語ってくれた清水院長。その胸に秘めた患者への思いなど、詳しく聞かせてもらった。
(取材日2024年1月10日)
「地域の健康相談所」として、地域の歯科医療に貢献
クリニックの特徴を教えてください。
最近では何かの治療に特化した、スペシャルなクリニックが数多くありますが、当院はその正反対とも言えるクリニックです。私がめざしているのは、「特に口の中に困っていなくても行ける、地域の健康相談所のようなクリニック」なんです。わざわざ遠方から足を運んでもらうようなクリニックではないですし、先進の機器をそろえ、先進の治療を行っているわけでもないです。患者さんとの信頼関係を築きながら、地域密着型のかかりつけ歯科医院として困ったときには気軽に相談できる歯科医院でありたいと思っています。
診療の際に大切にしていることはありますか?
患者さんのキャラクターをつかむことですね。まずは、よく話を聞いて、患者さんと仲良くなりたいなと思っています。なぜなら、歯科で良い治療をするために必要なのは「その人のことをよく知り、主訴を正しく把握すること」だと思うからです。そのためには、患者さんがどんな人なのか、これまでどのような歯科治療を行ってきたのか、何で困っているのかなど生活習慣や体質にも着目し、患者さん一人ひとりについていろいろな方向から知ることが大切だと考えています。そのためには、たくさん話をして、私自身のことも知ってもらい、私のことを信頼していただけるように努めなくてはいけないと思っています。
どのような患者さんの受診が多いでしょうか。
長い人になると、20年以上の付き合いになりますが、患者さんの多くは、「自分の口の中のことをしっかり知っておきたい」という歯への健康意識が比較的高い方が多い印象です。痛いところをただ治すだけでは、根本的な治療になりません。治療しながら改善したり、メインテナンスをし続ける必要がありますので、長く通っていただいている方がほとんどです。そのため、「今すぐ痛いところだけ治療してほしい」というような短期的な治療のみを希望される方には不向きな歯医者といえるかもしれないですね。
身構えず受診できる院内環境づくりに配慮
緑色と木が印象的な待合室も、温かな雰囲気がありますね。
クリニックを開業した時に地域のかかりつけ医として安心して通っていただけるように「アットホームな心地のいい空間」をテーマにし、当時の「歯科医院らしさ」をできるだけ排除しました。さらに、温かな雰囲気がいいなと思ったのでログハウスをイメージすることにしました。また、クリニックに親しみをもってもらうためにイメージキャラクターも作りました。どうせ作るなら何か珍しいものがいいなと思っていた時にふと家にあったフクロウのぬいぐるみが目に入り、フクロウなら珍しいねということで、妻がイラストにしてくれました。クリニックの雰囲気にも合っておりとても気に入っています。
清水先生は気さくなコミュニケーションが印象的ですね。
ありがとうございます。先ほどもお話ししたように、「患者さんのことを知ること」を大切にしていますので、患者さんも身構えずフランクにお話しいただきたいと考えています。歯に関することだけでなくとも、会話からいろいろなパーソナルな部分を知れるきっかけにもなりますからね。そのためには、私自身がアットホームな雰囲気で気さくに話しかけるようにしています。最終的に、困ったことはなんでも言えて、わからないことはなんでも聞ける。そして「この人になら任せてもいいかな」と思っていただけるような信頼関係を築いていきたいです。
治療はどのように進めていきますか。
雑談も交えながらじっくり時間をかけて治療を進めていきます。特に初診の患者さんとはたくさん話をします。わからないことがあれば、わかるまでお話ししますし、治療方法で迷えば納得して選べるまでメリットもデメリットも隠すことなく誠実にお伝えします。「何をされるかわからない」「納得してないうちに治療を選ばされた」という気持ちがあるうちは、前向きな気持ちで治療には取り組めませんので、患者さんが納得しないうちは治療を進めることはしません。緊急な治療を要する場合を除いて、時間をかけて検査し、結果を説明し、診断にのっとって治療計画を立て、一つ一つ確認しながら治療を進めていきます。そうやって一つ一つ「この人になら任せてもいいかな」と思っていただけるような関係性づくりを何よりも大切に思っています。
地域の患者のニーズに応える歯科医師であり続けたい
専門的な治療について相談されることもありますか?
開業当初からインプラントやホワイトニングのような専門的な診療に関しては、専門の先生に任せたほうがいいと思い、信頼できる先生に紹介しております。近年、見た目に関するお悩みも多いですので、相談を受けることも増えました。もちろん相談された際に、「わからない」では地域の健康相談所としては失格ですので、しっかりお答えできるよう常に知識はアップデートしています。これからも地域皆さまのニーズにお応えできるように精進していきたいです。
長年診療を続ける中での葛藤もあるのだとか。
はい。少ない人数で診療を行っているため、多くの患者さんをいっぺんに診ることはどうしても現実的に難しいのが実情です。先ほども話したように、特に初診の患者さんはじっくり時間をかけてその人について知る時間が必要なため、今すぐに予約したい、近々の日程で予約したいというようなご要望にお応えできない場合があるのは心苦しいですね。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
この場所でクリニックを開業して25年の時が過ぎました。当時まだまだ経験の浅い私を受け入れ今日まで育ててくださった地域の皆さまには本当に感謝しています。当時からずっと通い続けてくださっている方、お仕事などの都合でこの地を離れても、ふとした時に連絡をくださる方など、当院に関わってくださった皆さまのおかげで、私は今日もここで診療することができています。そういった皆さまのお気持ちに背くことがないよう、今後も誠実に歯科医療に向き合っていきたいです。また、これからも、当院に縁をつなげてくださった皆さまにとって「身近な地域の健康相談所」でありたいと思っています。皆さまと一緒にお口の健康を守れるよう、これからも精進します。