林 晃史 院長の独自取材記事
香椎セピア歯科
(福岡市東区/西鉄香椎駅)
最終更新日:2021/10/12

西鉄貝塚線・西鉄香椎駅から徒歩3分。さまざまな店舗が立ち並ぶ駅前のにぎやかなエリアに、「香椎セピア歯科」がある。駅からのアクセスの良さに加え、月・火・木・金曜は20時、水曜は14時、土曜は17時まで診察しており、仕事帰りなどにも通いやすい点も特徴だ。院長の林晃史先生が同院を開業したのは、2003年のこと。インプラント、歯周病、歯並び、虫歯など、それぞれを点で捉えるのではなく、トータルバランスを大事に治療を行っているという。「なぜ状態が悪くなってしまうのかという根本的な部分からしっかり説明します」と語り、治療の基本として歯磨き指導にも力を入れているという林院長に、診察におけるスタンスや、具体的な治療内容などを聞いた。
(取材日2020年12月2日)
患者一人ひとりの状態を把握し、適切な治療を提案する
まずはこちらに開業するまでの経緯などをお聞かせください。

出身は地元福岡です。歯科医師になりたいと考え、九州大学歯学部に進みました。大学を卒業後すぐに勤務医になったのも、実践を積むほうが技術が身につくだろうと考えたからでした。大学院に誘われたこともありましたが、私たちの頃は大学に残る人、私のように外に勉強の場所を移す人などさまざまでした。福岡市西区の周船寺にあるクリニックなどに勤務し、タイミングや場所との縁もあり、2003年の10月にこの場所で開業しました。開業はやはり学生時代からの目標でしたからね。
開業当時と今では、患者層に変化はありますか?
あまり変わらないと思いますよ。近くに団地もありますので、平日はやはり地域の高齢の方が多い印象です。当院は平日は20時までと、比較的遅い時間までやっています。夕方からは学校帰りのお子さん、それ以降がお仕事帰りの方、というサイクルですね。ほかのクリニックから変わって当院に来る方もいらっしゃるので、まず大事にしているのはラポール、つまり信頼関係の醸成です。当院では満遍なく幅広い歯科治療に対応していますが、中でもインプラント治療に力を入れています。手術に不安を感じる方もいらっしゃるので、内容に納得いただいてから治療に進めるように気を配っています。ただ、骨粗しょう症の薬を飲んでいる場合などはインプラント治療が難しいこともありますから、その場合は「入れ歯で頑張りましょう」などと声をかけます。いずれもお一人お一人の体の状態を全体的に確認しながら提案を行っています。
インプラント治療に対し、「怖い」というイメージを抱える人は多いのですね。

そうですね。しかし「やってみたら大したことなかった」と思う方は多いのではないでしょうか。以前のような手術の方法でしたら時間がかかることもありますが、今では技術が発展しているので、機器が示すガイドに沿って行っていけば、痛みも腫れもほとんどなく、スムーズに手術を行っていけるようになってきています。親知らずの抜歯のほうが痛いと言われる人もいるほどです。歯科用CTで検査をしたり、もちろん手術の準備などには手間をかけますよ。しかし1〜2本であれば、手術自体にはそう長い時間はかかりません。案ずるより産むがやすし、という言葉が似合うのではないかと感じています。
なぜその治療が必要なのかを説き、根本的な解決へ導く
やはり最初の1本目の怖さというのはありますよね。インプラントを勧めるときはどう判断を?

抜けた歯をどう埋めるか、という判断をするためには、患者さんの希望をお尋ねします。入れ歯が嫌だという方もいれば、ブリッジがいいという方もいます。ですからまずはどの治療法ができるのかを提案し、患者さん自身に決めていただいています。これはインプラントに限らず、審美歯科の分野でもそうです。インプラントであれば手術に恐怖心が芽生えるのも仕方ありませんし、そのために精密なガイドがあるんです。イメージは人それぞれでしょうけれど、腫れたとしてもだいたい1週間から10日ほど。思ったより負担がないことがわかれば、「今度は反対側の歯もインプラントにしようかな」とお考えくださるのではないかと思います。
先生が診断を行う際に気をつけていることはどんな点でしょうか?
先ほども少しふれましたが、信頼関係を築くことです。それがなければ患者さんも治療に懐疑的になるし、悩みも言いづらい。お互いに打ち解け、なんでも話せる間柄でいたいものですよね。そのためにも聞き上手でいることが大事なのだと思いますが、これは本当に人と人のやり取りですから、難しいですね。特に何十年も同じクリニックに通っていたけれど、引っ越しなどでクリニックを変える必要が出てきたという方だと、新しいクリニックの意見をすんなりとは受け入れ難いというケースもあります。「それまで長い間診てもらっていたのだから、大丈夫だ」という考えが拭えないのだろうなと感じますが、当院ではぐっと一歩踏み込んだ治療を行えればと思っています。
一歩踏み込んだ治療とは、具体的にはどのようなことになりますか?

例えば、虫歯、歯周病の痛みなどの応急処置を行ったとします。そうしたら次は、歯周ポケットを麻酔を施した上できれいにしていきましょうと提案し、それが終われば歯磨き指導なども行います。ほかにも、歯並びが悪く、それが原因でうまく噛めず、磨けないとわかれば、矯正をお勧めすることもあります。そういった根本的な治療を行うのですが、皆さん「歯周病」「虫歯」「歯並び」と点で考えてしまいがちです。すべては一つにつながっており、相互的に作用している。いろんな視点から原因を探り、トータルバランスを見ていくというのが、当院の考え方です。
トータルバランスを考えた、基本に忠実な治療を展開
それを納得していただけるよう、患者さんと向き合っていくのですね。

説明には実際に時間もかかりますが、話をしないことには治療が進みませんから。できる限り、歯を削らず、神経を抜かないようにとは考えています。最近ではテレビ番組などでもさまざまな病気が取り上げられ、知識を得る方も増えています。ですので、説明をすると理解していただけることも多くて、そういう点ではとてもありがたいです。それにインプラントを選ばざるを得なくなる方には、もともと歯磨きがうまくできていない人も多い。インプラントも磨けなければインプラント周囲炎になりますし、だから基本というのは、本当に大事なんですよ。
それでブラッシング指導にも力を入れているのですね。
そうです。染め出しなどを行うと歯垢が残っている場所に赤く色がつきますから、「歯磨きをしっかりしないと」と実感してくださる方もいますよ。診療時間に余裕があれば、15分から20分ほど、実際にここで歯磨きをしてもらうこともあります。そこで「こんなにもきれいになるのか」と実感していただければ、今後も続けていただけるのではないかと思います。例えば歯は全部で28本ありますが、1本に1分をかけるとすれば、全部で28分。30秒だとしても14分、15秒でも7分。歯は5面ありますから、もしすべてを3分ほどで磨き終わったとしたら、一体どれだけ磨けていることでしょうか。磨く技術も必要ですが、実際には時間をかけないと歯垢は取れません。部屋の掃除と同じですよね。磨き方をきちんと伝えることも、歯科治療全体の流れを理解していただくために非常に大事なことだと考えています。
では最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

私たちと患者さん、双方が納得しながら治療を行う。そのためにも無理なことは言いません。金銭的に難しい場合などもあるので、そういった点での着地点も見極めて治療法を提案し、患者さんと一緒に考えていければと思います。来院していただかないことには治療にも入れませんから、ぜひ一度、クリニックに足を運んでみてください。来院してくださって患者さんの歯科意識を少しでも上げられるよう、ひいては健康寿命延伸のため、努力していきます。押しつけることは決してしませんし、トータルバランスと基本をしっかり押さえながら、治療を進めていければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/32万円~
矯正/部分矯正8万円~、マウスピース型の装置を用いた矯正40万円~