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増田 純一 病院長の独自取材記事

井田病院

(川崎市中原区/日吉駅)

最終更新日:2019/08/28

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緑に囲まれた小高い丘の上に建つ「井田病院」は、1949年の開設以来、長きにわたって地域医療の中核的役割を果たしてきた。空気の良い穏やかな周辺環境から、もともと結核専門の療養病院だったこともうなずける。結核を専門としながら、一般診療科を徐々に増やし、病院の再編整備を行って総合病院への道を歩んできた。神奈川県内でも結核病床を有する病院は数少ないが、現在でも40床を持つ希少な同院。完治した結核患者であっても肺の機能障害が長引くことが多かったことから、在宅医療へとスムーズに繋ぐ緩和ケアを独自の形で進めてきた。その歴史が同院の特色である緩和ケア医療の充実に結びついている。地域がん診療連携拠点病院、二次救急医療など多くの機能を持つ同院に2016年の4月、院長として就任した麻酔科が専門の増田純一院長。同院の持つ温かなケアの心を象徴するような穏やかで優しい人柄が伝わってくる増田院長に、緩和ケア診療についてや今後の展望など詳しい話を聞いた。
(取材日2016年12月1日)

緩和ケア医療の先端機能を有する中核病院

病院の歴史と特色を教えてください。

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川崎市中央部に位置する当院は、1949年、50床の病床を持つ結核専門の病院として開設されました。結核という病気そのものは完治しても、肺に機能障害が残る方が非常に多く、そのような方に必要な治療を継続していくという流れの中で、緩和ケア医療の充実が図られてきました。現在も川崎市内で、40床の結核病床を有していますし、1998年には20床の緩和ケア病棟が発足し、現在では23床の全個室を完備しています。1960年代頃から徐々に診療科目を増やし、35科目383床の地域中核病院として現在に至ります。2015年には、地下1階から7階までの新棟が完成し、非常にスムーズな救急医療を行える体制が整いました。市民病院として二次救急医療を提供するほか、地域がん診療連携拠点病院としてがんの予防から診断、治療、緩和、在宅医療に至るまで、切れ目のないがん診療の充実に力を入れているなど、多様なニーズに対応しています。

結核の療養病院であったことが緩和ケア医療の原点なのですね。

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病院再編整備の際に、結核の専門病院であることを生かし呼吸器科、循環器科に特化した専門病院ではなく、現在の総合病院としての道を進みました。いわゆる一般的な総合病院になったかというと、そこはやはり結核の専門病院であったことから、1985年頃の早い時期から入院と在宅をシームレスで診るような病院の部門を設置し、在宅支援も行ってきました。当院の敷地内にある「かわさき総合ケアセンター」では、緩和ケア、高齢者ケア、在宅ケアを地域連携で行うための保健、医療、福祉のサービスを提供しているのですが、緩和ケア病棟、在宅ケア・医療相談部門、がん相談支援センターは当院が担っています。結核の療養所であったことが、がん患者の終末期ケア、在宅医療支援、緩和ケア医療の先進的な取り組みへと繋がっており、今も昔からの優しい医療、看護が当院にはあると思いますね。患者さんからの投書にも感謝を伝えてくださる内容が多いと感じています。

今年、地域包括ケア病棟がオープンされたと伺っています。

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急性期がひと段落して、院内である程度療養できるような施設を作る必要があるということで、今年の11月に地域包括ケア病棟を開設しました。最長60日入院できるので、回復に時間がかかる高齢者の肺炎なども受け入れやすく、急性期病棟からすぐに退院することが難しい患者さんも在宅療養の準備ができてから退院していただくことができます。周辺の病院との役割分担を考えたとき、急性期医療の充実している川崎市側の医療圏には回復期機能、隣接する横浜市港北区側には急性期への対応が求められます。それが、多彩な機能を持つに至った理由のひとつでもあります。実は先日も災害訓練を行ったのですが、川崎市だけでなく、横浜市港北区の保健福祉センター長と行政の担当者も見学に来られました。「災害があったときにすぐ近くの住民が行くのは井田病院だ」ということがよくわかっておられます。行政区を超えた病院運営を行っていく必要性を感じています。

先生がご専門の麻酔科を選ばれたきっかけは何ですか?

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私は赤ん坊の時に大病をしたのですが、医師である伯父が手に入れてくれたペニシリンで助かったという話を聞かされ、いつしか医師を志すようになり医学部に進みました。しかし、入学半年で病気になり1年間入院。患者さんの気持ちを痛いほど経験し、医師が頑張っても治らない病気があることを思い知らされましたが、医師としては貴重な経験をすることができました。入院中、私にとって主治医は1人だが、先生の担当患者は20人で、先生にとって私の存在は20分の1だということを痛感しました。その点、麻酔科の医師は、手術中はずっと1人の患者さんの全身管理に携わりますから、1対1の医療ができると考えたのが麻酔科を選んだきっかけです。当時は麻酔科診療を専門とする医師というものが世間にはあまり認識されていませんでしたが、高度医療が進み麻酔科の医師の果たす役割も知られるようになり、だんだん説明しなくてもすむようになりましたね。

病院の今後の展望についてお聞かせください。

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「かわさき総合ケアセンター」という、医療だけではなく介護福祉も扱う施設が院内にあることで、病院としての広がりができているのかもしれないですね。緩和ケアの先端を担ってきた当院ならではの医療を地域包括ケアシステムの先取りをした形で今後も提供していきたいと思います。当院は急性期病院ですが、それだけに特化した病院ではなく、日常に起こる腹痛や風邪、あるいは糖尿病や高脂血症、高血圧といった生活習慣病など、「普段着の医療」を地域の「かかりつけ医」の先生方と協働して行う病院です。緩和ケア病棟を併せ持つという特色があることから、病院全体に温かな雰囲気があります。そこは本当に誇れるとところだと思いますね。当院の理念に「自治体病院として、市民に信頼され、市民が安心してかかれる病院づくりをめざします」とありますが、川崎市民だけでなく、周辺地域の皆さんに安心して信頼して来ていただける病院であり続けたいと思います。

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