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杉山孝博 院長の独自取材記事

川崎幸クリニック

(川崎市幸区/尻手駅)

最終更新日:2019/08/28

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大型ショッピングモールなどが点在するターミナルステーション川崎駅。徒歩15分、または、西口から専用シャトルバスに乗るとすぐなのが川崎幸クリニックだ。1998年9月に「川崎幸病院」の外来部門だけを病診分離で独立させたクリニックであり、外来部門だけとは思えないほど大きな規模を誇っている。心のこもった思いやりのある医療サービスに定評があり、遠方からも訪れる患者さんが多い。近年、川崎市は住みやすい街として知られており、ファミリー層に人気の町。地元川崎の人々の健康を見続けきた杉山孝博院長に、クリニックの開設の経緯、在宅医療、地域医療のあり方などを伺った。
(取材日2014年10月31日)

大学では地域医療に没頭。すべては地元の人々の笑顔のために

現職にいたるまでの経緯を教えてください。

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私は1973年に東京大学医学部を卒業した後に、1975年に当クリニックの母体となる川崎幸病院の内科医として勤務しました。勤務のきっかけになったのは1968年から1969年にかけて続いた東大紛争で、医学部の処分問題や大学運営の民主化などの課題を巡って、「学部生・大学院生」と「当局」の間で激しく衝突しました。メディアなどでも大々的にクローズアップされた紛争ですが、紛争後に自主ゼミを開講するようになり医学部はもちろん、他の学部の人たちとも集い、意見交換をし、その中で医療に関する社会問題などを取り扱うようになり、妊婦が服用すると子供に奇形を引き起こす薬物「サリドマイド」被害の深刻さに衝撃を受けました。サリドマイドの患者さんと遊んだり、ご家族の方と話をしたりしながら実際に自分の目で見て肌で感じていきました。その後も、大学では5・6人で医療問題研究会を発足させ、医療と社会問題について研究・勉強を重ねました。将来は東大の物療内科で働くことになっていましたが、研究が中心の大学病院などで働くよりも患者さんに寄り添った社会的な医療に関わっていきたいという思いが募り、地域医療に特化した川崎幸病院で常勤という道を選択しました。

川崎という場所はどんなところですか。

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今ではラゾーナ川崎など大型で近代的な施設が林立し、住みやすい街へと変貌しましたが、1970年代の川崎はさまざまな問題を抱えていた土地でした。多くの方々の記憶に残っているのが、1982年(昭和57年)に起こった川崎公害訴訟ではないでしょうか。大気汚染が長期にわたり続き沿道の生活に大きな影響を及ぼしました。そのほか、アルコール依存の方や生活保護の人たちも多くいました。当時はアルコール依存症の方を受け入れる病院は少なく、そういった方々と地域の医療問題について向き合えるやりがいのある場所でした。社会問題を取り組む病院として川崎幸病院は、その当時では珍しくソーシャルワーカーを3人常駐させ、医療だけでなく生活の不安、困っていることを改善してきた実績があります。

医療の原点。それは患者さんの不安を取り除くこと

在宅医療支援に力を入れていますね。

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家庭透析、在宅酸素療法、腹膜透析、在宅人工呼吸療法……私たちはすべて在宅医療が制度化される前から取り組んできたという自負があります。医療の原点は患者さん、ご家族の困っていることに対応することだと私は考えます。たとえば、血友病の患者さんであれば、何度も出血しますが、自分で注射すればすぐに出血が止まります。家庭透析の患者さんは会社を早退して病院へ透析を受けに来ていましたが、自宅で透析できれば会社を早退せずに治療を受け、家族と過ごす時間も増えます。患者さんのことを一番に考えることで、おのずとさまざまなアイデアが生まれてきます。ですが、在宅医療においては、万が一、事故が起きたらどうするのかという声もありましたが、患者さん視点が私の信条ですから、責任をすべて引き受けると強い決意と覚悟をもって取り組んで参りました。大きな組織にいた場合、当クリニックが行っているきめ細かい在宅医療サービスはできなかったと思います。やはり、地域の医療に貢献するという力強い理念を持った川崎幸病院だからこそできたと思っています。

在宅医療のメリットを教えてください。

在宅医療は、患者さんが普段の生活をしながら治療ができるというメリットがあります。自宅で治療することで、気持ちが大きく変わることがあります。慢性疾患の患者さんであれば自宅で治療を受けたとたんに自分で歩けるようになったり例もありますし、また、病院であれば流動食など決まった食事が中心ですが、自宅だと自分の食べたいものを食べることができます。慢性疾患の患者さんであれば、食べたいときが食事のベストタイムです。そうやって生活していくことで生き生きと快方へと向かっていくことが多々あります。対応エリアは幸区全域、中原区、鶴見区、川崎区、大田区となっておりますが、遠方へもお伺いしています。ぜひお気軽にご相談ください。

訪問医療についても詳しく教えてください。

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さきほども述べましたが、医療は困っている患者さんへのサービスだと私は考えています。つまり、サービスを受ける人のことを一番に考えれば良いわけです。困っている患者さんやご家族の方の声に耳を傾けると、病院に行くのが大変、病院に連れてくるのが大変という声が多く聞こえてきました。そこで逆転の発想で、こちらからむかえばいいと思ったわけです。すると、ご自宅で患者さん、ご家族の方が安心してストレスなく待っていられるようになりました。当クリニックは現在も訪問診療を積極的に行っており、ホーム診療の患者さんはグループ全体では250名ぐらいいます。現在、在宅訪問医療は個人だけではなく、老人ホームなど施設展開も行っています。

行政機関と手を取り合って。地域の医療ネットワークを強化

どんな患者さんが訪れますか。

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当クリニックの特長は総合的な地域の診療クリニックであることです。ドクターは常勤換算で37名います。さまざまな病気を訴える患者さんが訪れますが、お住まいで多いのはやはり地元川崎市在住の方で、小児科、内科、循環器科もありますし、子供からお年寄りの方まで幅広い層の方が通院されます。また、専門的な高度な医療もいくつかあり、全国津々浦々から患者さんが訪れています。

クリニックの特長を教えてください。

医療機関には3つの局面があると私は考えます。一つは「救命緊急」、二つ目は「高度な医療」、三つ目は「心のこもった医療」です。医療機関によってそれぞれ違いがあると思いますが、今後も川崎幸病院、川崎幸クリニックは、地域医療を中心としたおもいやりのある心のこもった医療サービスを行っていきたいと考えております。そのため、当クリニックでは、夕方、年末年始、ゴールデンウイーク、土曜午後あるいは日曜日にも診療しております。また、川崎幸病院との分離により、従来よりも広い面積と新しい設備・機器を導入しています。電子カルテを利用した予約システムで、診療待ち時間を大幅に短縮でき、さらに患者さんは、診察室でも、受付事務でも、自宅からの電話でも受診したい時間帯に予約できるシステムを構築しています。

川崎幸クリニックの今後の展望はありますか。

川崎幸クリニックの柱は外来診療ですから、患者さんに満足してもらえるような診療サービスをより一層図っていきたいですね。川崎幸病院は地域医療の連携が構築されていますが、当クリニックも地域の連携をさらに強化していきたいです。具体的には、保健所、役所などと地域の団体機関と協力してボランティア活動も行っていくつもりです。ボランティアに医師が入ることでとっても安心する声も多数寄せられていますので、ボランティアなどの会合にも私をはじめ、当クリニックのメンバーを積極的に参加させたいと思っております。最近では地域の医師会の人たちと在宅での看取りについて意見を交換しており、地域の医療ネットワークをより一層広げていきたいですね。

最後に、認知症の方を持つご家族の方へ一言お願いします。

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いい介護をするためには4つのポイントがあります。一つ目は「認知症に対して正しい知識を持つこと」。二つ目は「ご家族の方は施設のサービスなどを活用して、精神的な負担を減らすこと」。三つ目は「ケアマネージャー、ヘルパー、医師など専門職の方とたくさん交流をもつこと」。最後は、「当事者の集う会などに参加してさまざまな人の声を聞くこと」。当事者の会に参加することで介護の考え方がきっと変わるはずです。認知症の介護は大変な仕事かもしれませんが、まずは正しい知識を身につけてほしいと思っております。当クリニックのホームページには新聞などへ寄稿した記事が多数載っていますので、ご興味のある方はぜひご一読ください。

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