宇山 宏和 院長の独自取材記事
宇山内科クリニック
(生駒市/東生駒駅)
最終更新日:2025/01/17

近鉄奈良線・東生駒駅から徒歩15分ほど、店舗が立ち並ぶ幹線道路沿いに立つ「宇山内科クリニック」。院長を務める宇山宏和先生は、日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本肝臓学会肝臓専門医の資格を持つ経験豊富なドクターだ。その豊富な診療経験を生かし、風邪などの一般的な内科疾患から、生活習慣病やC型・B型肝炎の治療、胃・大腸内視鏡検査、がん治療後のフォローアップまで幅広くカバー。仕事で忙しい人のために土曜・日曜の午前も診療するなど、患者の立場に立った医療を提供している。「町のかかりつけ医」として患者一人ひとりに親身に寄り添うよう努める宇山院長に、開業の経緯や診療の際の心がけなどさまざまな話を聞いた。その言葉の端々に、患者を気遣う温かな人柄を感じられる取材となった。
(取材日2024年12月4日)
「病気を治したい」という想いから、幅広い分野で研鑽
まずは先生のご経歴や開業の経緯をお聞かせください。

大阪大学医学部を卒業し、付属病院で臨床について一通り学んだ後、複数の関連病院で消化器内科の医師として研鑽を積みました。当時、大阪大学では「第一」「第二」「第三」などのナンバー内科から、「消化器」「循環器」といった臓器別内科への再編成が進められていて。私自身は病気の研究をしたかったのですが、部長として後進の指導にあたる仕事を打診されました。それで今後どうするかを考えていたら、そもそも小さい頃は、大学病院で働くというより、「町のお医者さんになろう」と思っていたことを思い出したんですね。子どもの頃、近所のおじいさんやおばあさんが町の診療所にかかる様子を見て、医師をめざすようになったんです。きっかけを思い出し、周りからは驚かれましたが、部長職の誘いを断り、開業に踏み切りました。
なぜ消化器内科を専門にされたのですか?
消化器内科の中でも、最初は肝臓の病気を専門にしていました。医師になった頃、C型肝炎について聞くことが多く、治らない病気といわれていて、「何とかしなくては」と思ったんです。それでC型肝炎やB型肝炎のメカニズムや治療法について一生懸命勉強しました。また肝炎は肝臓がんへと進展するケースもあるため、肝臓がんの診断や治療についても研鑽を積みました。その後も「何とかして治して差し上げたい」という想いから、咽頭がんや食道がん、胃がん、大腸がんなど診療範囲を広げ、消化器疾患全般を専門とするように。がんに関しては、肺がんや腎臓がん、甲状腺がんなど、消化器以外のがんに関しても診断を行うことができます。
幅広い分野で研鑽を積まれたのですね。

そうですね。乳がんなどの婦人科疾患を直接診ることはありませんが、ご相談があれば、適切な病院へと紹介させていただきます。時には、皮膚科や整形外科の病気について聞かれることも。また「友人がこんな病気になって」「親がこんな状態で」など、ご友人やご家族の病気について相談されることもありますね。できるだけ患者さんのお話をよくお聞きするように心がけています。クリニックはレストランではないので、「時間になったから終わり」というわけにはいきません。自分が患者だったら、話の途中で帰るように言われたら嫌な思いをすると思うのです。いつも患者さんの立場に立って考えるよう努めていますね。仕事が忙しい方もいると思うので土曜・日曜も診療していますし、往診も行っています。
患者の健康意識を高めるために、こまやかにサポート
患者さんの年齢層や主訴について教えてください。

10代から100歳くらいまで、幅広い年齢層の患者さんが来院されています。私は総合内科専門医でもありますので、さまざまな症状や病気に対応しています。ですから、今いらしている患者さんの主訴は多種多様。高血圧症や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の方も多いですし、逆流性食道炎や睡眠時無呼吸症候群の患者さんもいらっしゃっています。また日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として、内視鏡検査にも力を入れており、日帰りでの大腸ポリープ切除も行っています。基本的にがんが見つかった場合、患者さんの年齢や状況に応じて、大阪大学の関連病院や近畿大学奈良病院、奈良県総合医療センターなど提携医療機関にご紹介。治療後のフォローアップは当院で行います。
診療ではどんなことを心がけていますか?
患者さん自身の健康意識を高めることに努めています。それで検査結果を伝える際も、ただ「こんな結果でした」と書類を渡すだけではなく、患者さん自身に改善方法を考えてもらうように心がけているんです。例えば検査の数値が悪くなっていた場合、「以前指導したことをきちんと行っているか」「今どんな生活習慣になっているか」など詳しく確認。「何が原因になっているのか」「どこを改善したらいいのか」を患者さん自身に考えてもらいます。「このままだと悪くなるから、改善しましょう」と励まし、良くなったら成功ですし、改善しなかったら、「問題は別のところにあるので、そこを改善しましょう」と励まします。患者さん自身が主体的に取り組めるようサポートしているんです。
とてもこまやかにサポートされているのですね。

中には、「数値が悪くなると先生に怒られるのでは」と心配される方もいるかもしれません。しかし、改善してもらうことが目的ですので、怒ることはありません。検査はテストのようなものではなく、結果を見て、「こういう生活をしていると、ここが悪くなる」など生活習慣を振り返るためのもの。患者さん自身で原因を考え、改善していかないと、なかなか良くなりません。患者さんに「これは勉強なんですよ」といつも言っていますね。自分で考えて取り組んだ結果、数値が改善したら、健康に対する意識も高まります。患者さんのモチベーションを高めるため、頑張っている点を褒めるようにも心がけていますね。またお仕事柄、飲み会などが多くなる方もいますので、お一人お一人の状況に応じて柔軟にサポートするよう努めています。
「町のかかりつけ医」として、なんでも相談してほしい
幅広く診療する中、力を入れている治療はありますか?

何かに特化することなく、幅広く診療しています。それで患者さんには、なんでも気兼ねなく相談してほしいですね。ただそうした中でも、最近増加傾向にある病気の治療などには、力を入れて取り組まなければならないと感じています。現在、慢性腎臓病や心不全の患者さんが増えていますので、そうした病気の治療や予防に努めていきたいですね。また日本人の三大死因である、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」の治療や予防にも引き続き力を入れていきたいと考えています。がんや心疾患、脳血管疾患を早期に見つけて治療するには、定期的に検診・検査を受けていただくことが重要です。クリニックとして、それらの病気で苦しむ人を減らすことに貢献していきたいですね。
ご専門の肝臓病治療の注意点についても教えてください。
肝臓病の治療は、肝臓専門医のいるクリニックで受けることをお勧めします。例えば、C型肝炎の経口薬は使用に関する基準がありますし、投与の仕方も難しいのが特徴です。また相互作用で薬の働きが弱まることもあるため、ほかのお薬との飲み合わせにも注意する必要があります。適切な治療を行うには、飲み合わせに注意が必要な薬などをきちんと見極められなくてはなりません。肝炎の場合、肝臓がんの発症リスクを抑えるためにも、肝臓専門医を受診して適切なフォローアップを受けることが重要です。「肝臓専門でない病院で治療を受けていたけれど、なかなか良くならなかった」ということで、当院にご相談にいらっしゃる方もいます。
最後に今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

この先、医療AIなどがますます進歩していくことでしょう。とはいえ、そうした先進的な医療は大きな病院に任せ、当院では今後も従来の方法でしっかりと病気の診断を行い、適切な治療を提供するよう努めていきたいと思っています。当院は町のかかりつけ医として、一般的な内科疾患や生活習慣病の治療から消化器疾患の専門的な治療まで幅広く行っています。ここでの対応が難しい場合は、大阪、奈良の複数の病院と連携して対応します。もしがんの治療でお悩みでしたら、一人ひとりに合わせた治療法を知るための「がん遺伝子パネル検査」を行っている病院に紹介することも可能です。何か気になることがあったら、「次の日には良くなった」という場合でも、そのままにしないことが大切。不安なことや心配なことがあったら、なんでもお気軽にご相談ください。