浜田 陽一郎 院長の独自取材記事
浜田歯科医院
(松江市/松江しんじ湖温泉駅)
最終更新日:2022/04/28

口腔外科が専門の浜田陽一郎院長が開院した「浜田歯科医院」。松江城や宍道湖にほど近い場所に位置し、山陰各地の患者を26年診てきた。過去には病理学教室で悪性腫瘍の研究や解剖なども行っており、その分野で医学博士も取得。内科疾患や薬への理解も深く、持病がある患者に配慮しながら歯科治療を行っている。経歴の中で育まれたネットワークを生かし他院への紹介にも積極的なほか、インプラント治療に対応し、歯科恐怖症の患者にも配慮した診療を心がけるなど、患者の困り事に幅広く対応。若手の歯科医師を集めた勉強会の開催にも力を入れていて、そのノウハウを歯科業界に残したいと願っている。専門的な技術と豊富な実績を持つ一方で、親しみやすく朗らかなコミュニケーションも得意な浜田院長にその経歴や治療への想いなどを聞いた。
(取材日2022年3月29日)
医科での経験を生かし、幅広い見識を活用した診療を
歯科医師をめざされたきっかけは、ご自身の歯痛からだったそうですね。

そうなんです。実は私はもともと文系で、弁護士か会社経営をめざしていたんですね。そんな中、ある時すごく歯が痛くなって丸3日寝込んだことがありました。歯科医院にも行ったのですが、痛みは解決してもらえず……。単純ですが、それをきっかけに理系の勉強をして大学の歯学部に入ったんです。卒業後、どんな専門分野に進もうかと考えていたところで鳥取大学の歯科口腔外科の教授に手術を見せていただきました。見事な手さばきを目の当たりにして、私も口腔外科の道に進むと決めたんです。ところが人生いろいろで、鳥取大学医学部の病理学教室に助手として出向することになりまして。3年ほど病院から離れて解剖などに関わり、病気の原因を徹底的に調べるために医科の勉強もして、医学博士を取りました。この時の経験は、今の歯科診療に大きなプラスになっています。
大学の医科で学ばれたことが、どのように歯科治療に役立っているのでしょうか。
歯と全身との関係をさまざまな例から予想できますから、手段や方針も増えますし、人脈も生かせます。例えば歯科は耳鼻咽喉科との境界領域といわれることがあり、蓄膿症(ちくのうしょう)や耳鳴り、睡眠時無呼吸症候群なども口腔の状態と関係していることが少なくありません。整形外科の顎の疾患についてもやはり口腔と切り離せませんし、そのあたりの専門的な知識を持つ私としては、顎も専門分野と言わせていただけるところですね。また、お口の違和感がストレスになって心療内科に行かれる方もいらっしゃいますし、糖尿病などの生活習慣病で内科と連携することもあります。医科で経験したことが多岐にわたる見解を生みますので、これまでの経歴が当院の患者さまの一助になることはうれしいですね。
開院当時の話やスタッフの方々についてお聞かせください。

病理学教室の後は、ここ松江に移って病院の歯科口腔外科の部長を務めていました。それがある時、急に独立のタイミングが訪れて開院する運びになったんです。倉庫だった場所を急ごしらえで工事してもらいながらの準備でバタバタしましたが、歯のことでお困りの方すべてを受け入れたいという情熱はぶれませんでしたね。スタッフの募集には40人以上の応募があり、やっと決まったと思ったらトレーニングをする前から患者さまが来られて、まるで見切り発車のように始まりました。ありがたいことに気の利くスタッフや経験豊富なスタッフのおかげですぐに軌道に乗りまして、私は安心して診察に専念させていただいています。
双方向のコミュニケーションを重視した診療スタイル
診察で心がけていらっしゃることはありますか?

私が話し好きなこともありますが、患者さまにはしっかりと言葉で説明することを心がけています。あなたの口の中はこうなっていて、こういう治療をするとこうなります、というイメージをしっかり共有したいんです。伝えたいと思うあまり、つい熱が入ったり繰り返し言ってしまったりすることもあるようですが(笑)、とにかくきちんと説明をしてご要望を聞き、明るく会話をすることですね。おそらく患者さまお一人にかける診療時間のうち3分の1は会話じゃないでしょうか。それが当院らしい診療だと思っています。
健康的な食生活の大切さとインプラントのご説明にも力を入れられているとか。
当院には山陰各地からさまざまな方が来られていて、なるべく短期間で終わらせたいとか、治療費を抑えたいとか、それぞれご事情を抱えていらっしゃいます。保険の中でより良い治療をすることが基本ですが、インプラント治療は長らくやってきてそのメリットもしっかりわかっていますから、「もし取り入れたら、食生活がこんなふうに変化することも期待できます」ということはきちんと説明させていただきます。私自身もインプラントを入れているので、具体的な使い心地をお伝えすることもできますよ。また、よく患者さまにお伝えしているのは「お孫さんと一緒に焼肉を食べられる歯にしましょう」ということです。自分の歯で食べることは健康に良いだけでなく精神的に豊かになりますし、入れ歯では難しいですからね。とはいえ、やはり治療法は患者さまのご事情によってご判断いただいています。
患者さんから見える最近の傾向などありますか?

親知らずや歯周病にお悩みの方が多くいらっしゃいますね。親知らずの抜歯はこれまで数多く行ってきましたので、当院で得意な治療の一つと言えると思います。ほかに、糖尿病などの生活習慣病の影響がお口に現れていると感じる方もたくさんいます。また、最近の補綴治療では銀歯はあまり好まれなくなり、保険適用可能な白い詰め物・かぶせ物を選ばれる方が多くなりました。見た目の問題だけでなく、金属アレルギーが増えたことも関係あるかと思っています。診療スタイルはどんどん変化させていかなければなりません。患者さまのニーズや生活スタイルは変わっていきますし、機材や技術も日々進歩していきますから、徐々にではなく一気に変化する瞬間をこれまでも見てきました。当院でも詳しい先生に来ていただいて相談したり、技工士さんと話し合ったりして、常に更新の努力をしています。
地域のスペシャリストとして高度な治療を提供したい
非常に多くの経験と研究実績をお持ちですね。

内視鏡を使った顎の手術をしたり、病院を離れてがんの研究をしたり、解剖をしたり、ちょっと変わった経験を持つ歯科医師かもしれませんね。そのぶん、知識と経験をしっかり役立てて診させていただくつもりでおります。気づいたことがあれば専門の先生へご紹介する形を取りますし、歯のことでなくとも、体に関わることであれば健康の窓口になって他科との橋渡しができればと思っています。経験してきたことを地域の皆さまにしっかりと還元していきたいですね。
休日の過ごし方やご趣味を教えてください。
趣味はいろいろありまして、最初に凝ったのは茶道です。裏千家で茶名もいただいているんですよ。書道も10年以上やっていて師範を持っていますし、水泳では年齢別のマスターズ大会に出場したりしています。あとは、2人の孫がなついてくれているので、遊んだり果物をむいてあげたりする時間も好きですね。じいじと呼んでくれて、とてもかわいいですよ。
歯科医師としてのメッセージや、今後のビジョンをお教えいただけますか。

私としましては、当院の未来というより歯科全体、医療業界全体について考えるところにきています。以前はよく東京の集まりに参加していましたが、最近はできないのでオンラインで話し合ったり、月に1度くらい若い先生に来ていただいて勉強会をしたりしていますね。私が培ったものを後進の先生たちに少しでも生かしていただけたらという想いで、エックス線写真を見ながら夜遅くまで盛んに議論しています。歯は体とは別の健康次元であるとお考えになっている患者さまも多く見受けられますから、歯科全体で歯も歯茎も顎も健康でないと全身が健康とはいかないことを伝えていきたいです。私も引き続き「長生きするためには歯磨きをしてください」と言い続けます。冗談を含めながら楽しくお話ししたいので、どなたにもお気軽に来ていただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万円~