比良田 智慎 院長の独自取材記事
ひらた歯科クリニック
(出雲市/出雲市駅)
最終更新日:2022/02/10

出雲神立通りから1本入ってすぐの場所にある「ひらた歯科クリニック」。院内は明るく、清潔感ある白い壁に温かみのある木材を基調にしていて開放的な空間だ。完全個室の診療ユニットをはじめ、患者のプライバシーに配慮し、落ち着いて治療が受けられる環境を整えている。院長の比良田智慎(ひらた・とものり)先生は歯科治療に真摯に向き合い、患者からの信頼も厚い人物。専門の補綴以外にも歯科全般に対応するほか、定期メンテナンスも行っている。そんな同院がめざすのは、患者自らが主体的に治療法を選ぶ「患者主体の歯科治療」。「納得して治療を受けていただくことで、治療やその後のケアへのモチベーションにつなげられたら」と話す比良田院長に、患者主体の歯科治療や定期メンテナンスへの想い、そこに向けた同院の取り組みなどについて聞いた。
(取材日2022年1月24日)
患者が自分で決める歯科治療をめざして
落ち着いて治療が受けられそうな温かみのある院内ですね。

ありがとうございます。造りや内装は2013年の移転時にかなりこだわりました。過去に携わった建物を見ながら、想い描くクリニックの雰囲気に合った建築士さんを選ぶところから関わらせてもらったりと、建築会社さんと建築士さんには本当にいろいろな要望をかなえていただきました。以前は個室がなく患者さんのプライバシーへの配慮が課題だったので、移転に伴ってすべての診療ユニットを個室形態にしました。個室なら相談しづらい悩みも話してもらいやすいのではないかと思います。ほかには感染症対策も強化していて換気システムの導入やユニットの消毒を行うなど、患者さんにリラックスして治療を受けていただける環境づくりを心がけています。
ひらた歯科クリニックはどんなクリニックでしょうか?
おかげさまで、小さなお子さんから90代の方まで幅広い層の患者さんにご来院いただいておりますので、一般的な歯科治療全般はもちろん、長年研鑽してきた専門性を生かした「入れ歯」や「かぶせ物」といった補綴治療、定期メンテナンスなど、患者さんのさまざまな症状やお悩みにお応えできればと思っています。また、当院では「患者さんが自分で治療法を選択できるような歯科治療の提供」をめざしているので、丁寧なご説明を心がけており、とにかく納得して治療を受けていただくことを大切にしていますね。
比良田先生はどうして「納得して治療を受けてもらうこと」を大切にされているのですか?

納得のいく説明が治療へのモチベーションにつながると考えているからです。治療方法を「お任せ」される方も多いのですが、当院では治療方法を患者さんに選択していただくようにしています。歯科治療において重視することは患者さんによって違っていて、見た目を重視する方もいれば費用を抑えたいという方もいます。治療法が複数あることも多いので、必ず治療前にそれぞれのメリットとデメリットをしっかり説明して、患者さんが自分に合った治療法を選択できるように心がけています。また、歯科治療は継続的な通院が重要ですので、わかりやすい説明のためにモニターを使い、治療経過の記録として口腔内写真を活用しています。治療が終わった後には、必ず「良い状態をどうやって維持していくか」についてもお話しするのですが、おうちでのセルフケアや定期メンテナンスなどを通して、口腔内の健康を保つことへの意識を持っていただければと思っています。
メンテナンスにも注力されているのですね。
スタッフと協力して定期メンテナンスの啓発にも取り組んでいます。「患者さんに喜んでほしい」と、歯科衛生士をはじめスタッフ皆が本当に頑張ってくれていて、状態のチェックや歯石除去のほか、歯ブラシの指導まで丁寧に対応しています。そんなスタッフのおかげもあって、きちんと定期メンテナンスに通ってくださる患者さんも多いですよ。講師を招いての院内研修を行っていて、スタッフ皆で技術向上にも努めています。
患者の納得感を重視し、口腔内写真で治療経過を可視化
口腔内写真で治療経過を記録する意味はどのようなものでしょうか。

以前は治療前後の口腔内の様子は手鏡などで患者さんにお見せしながら説明していました。しかし、「自分の口腔内に興味関心を持って自分で治療法を決めるプロセスが大切」との思いから、治療前と後の口腔内の様子を写真で記録して患者さんご自身に見てもらうようにしています。今ではほぼ毎回の治療で前後の口腔内の写真を撮っています。これは当院の特徴の一つでもありますね。前と後の口腔内の様子を知ってもらうことで、継続的な治療や定期メンテナンスのモチベーションの醸成をめざしています。
比良田先生が歯科医師をめざしたきっかけをお伺いしてもいいですか?
親戚が勤務する歯科医院に幼少期から通っていて親切に治療してもらった記憶があり、歯科医院自体に良いイメージを持っていました。高校生の頃に進路選択で迷いましたが、そういった人とのご縁から歯科医師を志すようになりました。歯科医師として島根県に帰ってくることで「自分の学んだことで、地元や地域医療に直に貢献できるのでは」と感じたのも大きかったですね。私自身は美郷町の出身なのですが、開院した出雲の地は幼い頃から親戚のところへよく行っていた、なじみの深い場所でしたし、出雲大社をはじめ「縁結び」にゆかりがあるのも魅力でした。大学で補綴を専門に選んだのも「人とのご縁」がきっかけでしたし、「このエリアで開業を」と自然に考えていましたね。
「人とのご縁」が補綴を専門にされたきっかけなのですね。

はい。尊敬する先輩の在籍されていた「補綴科」へ入局し、研修させていただきました。師事したのが熱心な先生で、補綴の技術はもちろん、目の前の患者さんを良くしたいという使命感や歯科治療への真摯な姿勢を教わることができました。補綴は手間をかけるほど治療の質も上がる分野だと考えているので、時間をかけて患者さんに向き合う姿勢を当時から大切にしています。実際、休日に診察することもありましたし、たくさんの時間をかけて治療した思い出もあって、なかなか経験できないような症例や技術を学ぶことができました。時間がかかっても丁寧に補綴の器具を作り、目の前の患者さんに真摯に向き合う姿勢は、開業してからの治療方針の基盤にもなっています。何より、患者さんに喜んでいただけたら歯科医師としてうれしく思います。
定期的なメンテナンスで歯を守るサポートを
大学病院の先生とも連携されていると伺いました。

矯正やインプラント治療を専門とする先生方とも連携しています。私自身が島根大学附属病院の歯科口腔外科学講座に10年間在籍させていただいたこともあり、日頃から専門医の先生方との関係強化に努めています。すべての症状に自ら対応するのではなく、必要に応じて各専門分野の先生を紹介することで、当院は地域のかかりつけ歯科医として歯科医療に貢献していきたいと考えています。専門分野の先生に紹介した結果、口腔がんなどの重篤な病気が見つかるというケースもありますから、病診連携を強化することは、かかりつけの大切な役割だと思っています。
新しい知識や技術の習得にも注力しているとか。
歯科医療の分野でも治療技術の進歩はめざましく、常に新しい技術を習得できるよう心がけています。以前は休診日などを利用して東京や大阪に講習を受けるために出かけていました。最近はオンラインセミナーが充実していて診療後にも受講できますし、有名な先生の勉強会も気軽に受講できます。地方の開業医としてはうれしい限りですし、以前に比べると倍以上の講習に参加しているかもしれません。今後も積極的に新しい治療法や技術を取り入れて、患者さんに還元していきたいと思います。
読者へのメッセージをお願いします。

歯科クリニックでの定期メンテナンスを上手に活用していただきたいです。継続的に通院することで、異常があった場合の早期発見につながるケースもあり、早期発見ができれば、一気に症状が悪化することを防いで自分の歯を維持するための治療も可能になります。当院ではなるべく長く自分の歯で食べられることをめざしているので、患者さんと二人三脚で治療に臨みたいと思います。自宅でのケアは大切ですが、毎日の歯磨きだけで口腔内を清潔に保つことは容易ではありません。ホームケアに向けたアドバイスはもちろん、クリニックでの治療や定期メンテナンスで口腔内を清潔に保つサポートができればと思っています。「歯科医院に行くぞ」と気負う必要はないので、美容院に行くような感覚で気軽にお越しください。