松尾 隆広 院長の独自取材記事
まつお内科
(奈良市/学研奈良登美ヶ丘駅)
最終更新日:2021/10/12

学研奈良登美ヶ丘駅から徒歩1分、8つのクリニックが集まるクリニックモール内にある「まつお内科」。消化器内科を専門とする院長の松尾隆広先生は大阪医科大学を卒業後、同大学大学院で病理学を専攻。病理画像解析の分野でも研鑽を積んだ経験豊富なドクターだ。同院では内科・消化器内科を掲げ、内科疾患全般を幅広く診療。中でも、専門とする消化器内科の経験を生かし、内視鏡検査やCT・MRIなどを用いた画像診断による病気の早期発見・早期治療に力を入れる。「地域に根差した、地域の人々の心に残る医療」を提供することをめざし、誠心誠意一人ひとりの患者に向き合うよう努める松尾院長。穏やかで物腰やわらかな松尾院長に、医師をめざしたきっかけから診療理念や今後の展望まで、幅広く聞いた。
(取材日2021年6月19日)
内視鏡検査や画像診断による、早期発見・治療に注力
まずは、医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

医師だった祖父や父の影響は大きいですね。祖父は戦時中も診療を続けていて、大阪大空襲の際には薬を土に埋めて逃げ、空襲が終わった後に埋めておいた薬で多くの人を助けたそうです。そうした話を聞いて、幼い頃から医師という職業に憧れを抱き、自然と医師をめざすようになりました。消化器内科を専門に選んだのは、形を見て診断することに興味があったから。腫瘍が良性か悪性かなど、消化器疾患の診断の基本は形による診断。大阪医科大学卒業後は同大学大学院に進み、形を顕微鏡で詳しく調べる病理学を専攻。病理画像解析の研究にも携わりました。また、消化器内科は内科と外科、両方の要素を持つ科。内視鏡によるポリープ切除など、外科的な処置を行えることにも魅力を感じました。
開業にあたってなぜこの場所を選ばれたのですか?
開業するにあたり、大阪の難波など他の候補地もあったのですが、下見でこの場所を訪れたときに親しみやすさや将来性を感じたからです。私が奈良市富雄の出身ということもあり、この地に縁を感じ、ここでの開業を決意しました。2005年にクリニックを開業した当時は、学研奈良登美ヶ丘駅が開業し、これから登美ヶ丘の街が発展するというとき。この建物やクリニックモールも、駅周辺の開発の一環として造られたんです。今では、街並みも随分と変わり、近代的な街へと発展しました。このエリアには、長年お住まいの方もいれば、新たに移り住んできた方もいらっしゃいます。近隣に奈良先端科学技術大学院大学などの施設もあるためか、全体として健康意識の高い方が多いように感じますね。
クリニックの特徴について教えてください。

負担の少ない内視鏡検査やCT・MRIなどによる画像診断が特徴でしょうか。当院では、2種類のレーザー光により小さな病変も観察できる、レーザー内視鏡も導入しています。またCT・MRIに関しては、クリニックモール内にある登美ヶ丘画像診断クリニックと連携。電子カルテを共有しているため、リアルタイムに放射線科の医師の診断を受けられます。エコーをはじめさまざまな画像診断に対応できるため、がんなど緊急性の高い病気の早期発見・早期治療にもつなげやすいことが当院の特徴です。もし病変が見つかれば、可能なものはその場で切除。当院での対応が難しい場合は近畿大学奈良病院などに速やかに紹介させていただきます。さらに、8つのクリニックが集まるクリニックモール内にあるため、必要に応じて他科とも緊密に連携を図って対応しています。
地域の人々の心に残る医療を提供することをめざす
どんな患者さんがおみえになっていますか?

お子さんからご高齢の方まで幅広くいらしていますが、消化器疾患の診断や治療を専門としていることから、50代~80代くらいの患者さんの割合が多いでしょうか。また最近では、糖尿病や高血圧症など生活習慣病の患者さんも増えてきたように感じています。内視鏡検査や画像診断を特徴としていることを聞きつけて、自ら検査を受けに来られる方もいらっしゃいますね。以前は検査の結果進行がんが見つかることも多かったのですが、今では医療機関も増え、皆さんの意識も高まったことから、早期に発見できることが多くなりました。40歳以上の方は、年に一度腹部エコーと胃内視鏡検査、便潜血検査を受けていただければ幸いです。もちろん、患者さんが納得した上で診療を進めていくことが大切ですので、決して無理強いしたりしないよう心がけています。
現在の診療体制は?
現在、私と副院長の奥田英之先生、女性医師の白井康代先生の3人体制で診療しています。当院では、午前診・午後診・夜診と休まず診療。外来診療の合間に私が内視鏡検査も行っていたのですが、検査を希望される患者さんが増えてきていまして。私一人では対応できる検査数も限られますし、患者さんをお待たせすることにもなります。それで、内視鏡治療で経験を積まれた奥田先生に来ていただいたのです。奥田先生は近畿大学奈良病院に長年勤務。当院の患者さんを近畿大学奈良病院に紹介していた際に、内視鏡治療を担当してくださっていたんです。技量もお人柄もよくわかりますので、安心してお任せできますね。内視鏡検査に関しては、今は奥田先生が主に担当してくださっています。
先生の診療理念をお聞かせください。

「地域に根差した、地域の人々の心に残る医療」を皆さまに提供したいと思っています。かかりつけ医として地域に密着した医療を提供することはもちろん、将来もし私がいなくなったとしても、「私の親は何かあったらまつお内科で診てもらっていた」など、患者さんのご家族、お子さんやお孫さんに語り継がれるような医療を提供したいと思っているのです。例えば、将来、患者さんが私の子どもに、「私はあなたのお父さんに病気を見つけてもらいました」などと言ってくださったらうれしいですね。そのためにも、日々誠心誠意患者さんに向き合いたいと思っています。お一人お一人のお話にしっかりと耳を傾け、お体の少しの変化にも注意を払うなど、丁寧な診察や検査を心がけていきたいですね。
在宅医療を行う施設とも連携し、患者や家族を支えたい
医師人生で影響を受けた恩師はいらっしゃいますか?

研修医時代に病棟や外来で直接指導してくださったオーベン(指導医)の先生の影響が大きいです。その先生は、とても熱心に患者さんの治療にあたられる先生で、一人ひとりの患者さんを時間をかけて診療していらっしゃいました。時には怒られることもありましたが、勉強会発表を準備する私に徹夜で付き合ってくださったりよく飲みに連れていってくれたり。面倒見のいい先生で、医師として多くのことを学ばせていただきました。もう一人は、大学院で病理学教室の教授を務めていらっしゃった先生。言葉遣いなどにもこだわられるとても思慮深い先生でした。普段の診療で行っている触診など診断の基礎となる部分においても、先生に指導していただいたことがベースになっています。
趣味や健康法についても教えていただけますか?
趣味はアクアリウムを作ることやうさぎなど小動物の飼育。アクアリウムの魅力は、水槽の中に生態系を再現できること。適度な光や温度を保つことで、水草も育ち、魚も生きていくことができます。父もコイをたくさん飼っていましたので、そうした影響もあるのかもしれません。うさぎは被捕食動物であるがゆえに、自分の身が危ないときでも、周囲に知られないよう隠す習性があります。そんな様子が何ともいとおしくて。今は飼っていないのですが、中には私が家に帰ると寄ってきて肩まで駆け上がってくるうさぎもいました。健康法は、よく眠ることでしょうか。診察の際に最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、少しでも疲れを感じたら意識的にしっかり睡眠をとるよう心がけています。
最後に今後の展望をお聞かせください。

現在、午前診・午後診・夜診と一日中外来を開けており、おかげさまでたくさんの患者さんにご利用いただいています。ただ、この地域でも高齢化が進んでいますので、今後は外来診療だけでなく、在宅医療を行う施設との連携をさらに強化する必要があると感じています。その点、訪問看護ステーションや訪問リハビリテーションを行う施設などと連携して、通院が困難な患者さんをサポートする体制を整えていきたいですね。これまでも訪問看護指示書を何枚も書いてきたのですが、今後はさらにそうした必要が増していくと思うのです。もちろんこのクリニックの大きな特徴である、内視鏡検査や画像診断の質をいっそう高めていくようにも努めていきたいと考えています。