東 聡伸 院長の独自取材記事
東町歯科クリニック
(野田市/愛宕駅)
最終更新日:2025/03/25

愛宕駅から徒歩約7分の場所にある「東町歯科クリニック」は、30年以上にわたり地域の口の健康を支えてきた。現在、院長を務める東聡伸(あずま・あきのぶ)先生は、総義歯に豊富な経験を持ちつつも、患者に治療方法を押しつけず、「患者さんの希望を最優先に考えています」と話す。また、“口の健康が全身の健康に直結している”と考え、メンテナンスの重要性を強調。「どんな状態の歯でも、そのことで患者さんをとがめることはありませんので、安心して最初の一歩を踏み出してください」と優しく語る東院長に、同院の特徴や今後の展望について語ってもらった。
(取材日2025年2月28日)
大学病院と変わらぬ高水準の治療を追究し、地域に還元
歯科医師を志したきっかけと、これまでのご経歴を教えてください。

歯科医師を志したのは、高校時代の環境が大きく影響しています。もともと理系で、工学部を志望していたのですが、高校に進学すると、周りの友人に医師や歯科医師の子どもが多く、「医療の道もあるんだ」と初めて意識するように。大学卒業後は学んだことを生かせる仕事に就きたいと思い、細かい作業が好きだったこともあり、歯科医師の道を選びました。当院に入職したのは、大学病院で勤務していた頃、上司の先生から紹介されたことがきっかけです。最初は勤務医として週に1回勤務していましたが、気づけば15年以上もここで診療を行っています。院長を継承したのは約2年前ですが、長年地域の皆さまを診てきたこともあり、患者さんとの関係性も深いですね。
ご専門は義歯治療だそうですね。
義歯については大学卒業後から専門的に学んできました。最初にお世話になった先生が総義歯専門だったこともあり、その影響を受けたのが大きいですね。義歯を極めようと思ったきっかけは、時間に縛られず、自分が納得いくまで作り込めるところに魅力を感じたからです。義歯は、ただ型を採って終わりではなく、細部までこだわることで、患者さんの噛みやすさや快適さが大きく変わります。試行錯誤を重ねながら技術を磨き、自信をつけていきました。義歯の面白さは、一人ひとりまったく同じ症例がないことです。歯が1本ない方もいれば10本ない方もいますし、同じように歯が残っていても噛む力や顎の骨の状態が違います。そのため、すべてオーダーメイドで、一人ひとりに合った義歯を作る必要があります。常に新しい経験ができ、技術を磨き続けることが求められる分、やりがいも大きいですね。
歯を失ったまま放置すると、どのようなリスクがありますか?

特に奥歯を失う方が多いのですが、実は奥歯は噛み合わせの高さを決める重要な役割を持っています。1本抜けただけではそこまで影響はありませんが、2本、3本と失っていくと、噛み合わせが大きく変わってしまうんです。例えば、奥歯がなくなると前歯でしか噛めなくなり、無意識のうちに顎を前に突き出して噛む癖がついてしまうことがあります。本来、上の前歯は少し斜めについているのに対し、下の前歯は真っすぐです。そのため、噛む度に歯同士が不自然にぶつかり合い、上の前歯が倒れるように動いてしまうんですね。こうして奥歯のトラブルが、やがて前歯にも影響を及ぼし、最終的には口全体のバランスが崩れてしまうこともあります。歯を失ってしまったら、早めに歯科医院に相談しに行ってほしいですね。
健康は口元から。メンテナンスで守る全身の健康
歯科医師になって一番印象に残っている思い出を教えてください。

私の専門は総義歯です。総義歯は、歯が1本もない状態から、すべてを作り上げる治療となるため、患者さん一人ひとりの骨格や噛み合わせに合わせた、オーダーメイドの義歯を作る必要があります。患者さんがなんでも噛めるような、しっかり機能する義歯を作製できた時は、この仕事を専門にしていて良かったと感じます。そして現在、大学病院で培った義歯の技術をそのまま当院の患者さんに提供しています。義歯の製作工程も大学病院と同じなので、わざわざ遠くまで足を運ばなくても、身近な場所で高水準の義歯を作ることができます。義歯でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
どのような症状で悩まれている患者さんに利用していただきたいですか?
「こんな状態で歯科医院に行ったら怒られるかも……」そう思って、なかなか足を運べない方は意外と多いんです。「虫歯がいっぱいでボロボロ……」「見せるのが恥ずかしい……」と悩まれる方もいらっしゃいますが、そんなことは気にしないでください。私は総義歯専門として、これまで歯が1本もない方の治療もたくさんしてきました。そのため、どんな状態の歯でも「まだ大丈夫」と思えます。私自身、状態が悪いからといって患者さんをとがめたりしたことは一度もありませんので、安心して最初の一歩を踏み出してほしいですね。歯を治せるのは歯科医師だけです。だからこそ、どんな状態でも遠慮せずに来ていただけたらと思います。
「お口を健康に保つこと」の重要性を感じたエピソードはありますか?

総義歯専門だったことから大学病院時代から、高齢の患者さんを診る機会が多くありました。寝たきりになったり、転倒で骨折したり、病気をきっかけに食べられなくなったりすると、驚くほど早く体力が落ちてしまいます。みるみる痩せてしまい、顎の骨まで痩せていくことで義歯が合わなくなることも。そうした方々を実際に診てきて、「お口の健康が全身の健康に直結している」と強く感じるようになりました。食べることは、ただ栄養を取るだけではなく、生きる力そのものです。歯や義歯がしっかり機能していれば、食事を楽しみ、体力を維持することができます。そのためには、日頃のメンテナンスが本当に大切なんです。そのため、患者さんには口を酸っぱくして「メンテナンスが重要ですよ」と伝えています。
患者一人ひとりを知ることが、最適な治療へとつながる
患者さんと接する際に大切にしていることは何でしょうか。

私は、患者さんと接する際に「治療だけでなく、その方のことを知る」ことを大切にしています。ただ歯を診るのではなく、その人自身に興味を持つ。それが、より良い治療につながると考えているからです。患者さんが興味を持っていることについて、できるだけ話せるようにしています。政治やスポーツ、時事ニュースなど、広く浅くでも知っておくことで、ちょっとした雑談が生まれたりします。治療の合間に「最近どうですか?」なんて話をすると、患者さんも自然といろいろ話してくれるようになります。例えば、毎日釣りを楽しんでいる患者さんがいて、その方は釣り場の猫に餌をあげるのが日課なんです。そのため、その方が来院されたら「今日も猫ちゃんにごはんあげました?」があいさつ代わり。こういうやりとりがあると、患者さんも「実はここがちょっと気になるんだけど……」と、気軽に相談してくれるようになります。
将来的に取り組んでみたいことを教えてください。
将来的には、より幅広い専門的な治療を提供できる歯科医院をめざしたいと考えています。歯科には、矯正・インプラント・口腔外科・小児歯科など、さまざまな専門分野がありますが、すべてを一人で完璧にこなすのは難しいです。中途半端にやるよりは、それぞれの分野のスペシャリストに任せるほうが、患者さんにとってもベストな治療につながるのではないでしょうか。幸い、私は各分野の専門家とつながりがあり、信頼できる先生方がいます。将来的には、そういったスペシャリストの先生方に定期的に来院していただき、大学病院に行かずとも当院で高度な治療が完結できる体制を整えたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

治療を進める上で、インフォームドコンセント、つまり、患者さんにきちんと納得していただいてから治療を行うことが重要だと考えています。例えば、私が義歯が最適だと思っても、「義歯はちょっと……」と抵抗を感じる方もいらっしゃいますよね。そういった場合に、無理に押しつけるようなことはしません。患者さんが納得できる方法を一緒に考え、ベストな治療を選んでいきたいと思っています。また、歯周病などのリスクについても、できるだけわかりやすくお伝えするよう心がけています。口頭で説明するだけでは伝わりにくいこともあるので、図や資料を使いながら、視覚的に理解できるよう工夫。患者さんご自身がしっかり納得し、安心して治療を受けられるようにサポートしていきますので、ご不安なことがあれば、気軽に相談してくださいね。