中川 雅之 理事長の独自取材記事
長谷川整形外科
(千葉市若葉区/千葉駅)
最終更新日:2024/08/05

長く地域に根差し、千葉市若葉区のかかりつけ医として親しまれてきた「長谷川整形外科」。2023年に中川雅之理事長を中心とした新体制になってからも、その立ち位置は変わらない。肩凝り、腰痛、関節の痛みや変形といった整形外科の症状だけでなく、骨粗しょう症や生活習慣病など幅広い悩みに向き合っている。整形外科と麻酔科の両分野にわたって研鑽を積んできたという中川理事長。超音波検査装置を活用した検査で不調の原因を探り、精密な治療につなげている。骨粗しょう症やスポーツ整形外科の分野にも詳しい中川理事長に、同院の診療の特徴や今後の展望について聞いた。
(取材日2024年7月1日)
これまでの歴史を大切に、さらに進化するクリニック
こちらのクリニックの診療内容について教えてください。

当院は、地域の皆さんにとってのよろず診療所です。肩凝り、腰痛、関節の痛みや変形といった整形外科のお悩みの他に、骨粗しょう症、高血圧症や糖尿病など生活習慣病の管理や治療にも力を入れています。特にご高齢の方ですといくつかの不調を抱えている方も多く、「膝の痛みの相談のついでに血圧も計っていく」など、全身の健康状態を確認するための場として利用される方もいらっしゃいます。近隣にお住まいのご高齢の患者さんが大半で、予約制ではありませんので皆さんそれぞれご都合の良い時に立ち寄ってくださいます。その他の世代では、お子さんですとケガや骨折、働き盛りの世代ですと交通事故で体を傷めたり、デスクワークによる肩凝りや腰痛にお悩みの方が多い印象です。また、広いリハビリテーション室も備えていて、理学療法士が痛みの緩和や治療後の再発防止のためのプログラムを組み立てています。
さまざまな角度から健康をサポートしてくださるのですね。
整形外科疾患や骨粗しょう症だけではなく、高血圧症、糖尿病なども、どんどん心身が衰えていくフレイルにつながります。例えば骨折して行動力が低下すると、筋肉が衰えます。高血圧症や糖尿病は動脈硬化につながり、脳梗塞や心筋梗塞といった大病を引き起こしかねません。脳梗塞などを患って行動が制限されると、さらに骨がもろくなります。この悪循環を断ち切るために、さまざまなアプローチを取り入れていく必要があります。もちろん、当院ですべての症状に対応できるわけではありません。症状を見極めた上で、必要に応じて適切な医療機関を紹介します。これもまた、地域のかかりつけ医の役目だと考えています。
骨粗しょう症の治療には特に力を入れていると伺いました。

はい。特に女性は50歳を過ぎたら骨粗しょう症を意識して、一度検査をしていただきたいです。男性にも無関係ではないのですが、やはり女性には閉経によるホルモンバランスの変化があり、全身に影響していきます。ご本人やご家族が過去に骨折経験があるならば、より気をつけていただきたいです。骨密度の変化は外見からはわからず、知らぬ間に骨がスカスカになってしまい、ちょっとしたことで骨折してしまうケースも多々あります。そして骨密度は、一度減ってしまったら元に戻すことは難しいです。そのため基本的な治療としては、骨密度が年々減っていく中で、一定のラインで維持することが治療の目的です。だからこそ、50歳を過ぎたら皆さんに骨密度の検査を受けていただき、骨密度が低下する前に治療介入をしていきたいと考えています。また、これからも検査環境をアップデートして、骨粗しょう症の治療に一層注力していきたいですね。
超音波検査装置を活用して精密な治療をめざす
先生は2023年に院長に就任されたと伺いました。

はい。縁あって2023年に当院を引き継ぐこととなりました。長く地域に根差しているクリニックですから、当面は院名もこれまでどおりにしていく考えです。前院長の長谷川先生も週に2日診療を担当していますし、ベテランのスタッフたちもこれまでと変わらない笑顔で患者さんをお迎えしています。私は大学を卒業してから20年以上、整形外科と麻酔科の両分野にわたって研鑽を積んできました。両方の視点を持つことで、当院でも一歩踏み込んだ整形外科の治療ができるのではないかと思っています。丁寧な診療とわかりやすい説明を心がけて、患者さんに納得していただける治療ができるよう努めていきたいです。
麻酔科でのご経験は、現在の診療にどのように生かされていますか?
麻酔科の医師として得意としてきた「超音波」の活用が大きいです。筋肉など軟部組織の状態がわかるのが超音波検査の利点です。骨の状態を確認するエックス線検査と併用すれば、痛みの原因をよりしっかりと探ることができます。神経の状態も映し出すため、関節注射やブロック注射を打つべき場所もよりわかりやすく、治療の精度向上につながります。超音波検査装置を使って痛みの緩和を図ることができれば、体も動かしやすさにつながり、リハビリテーションもより有用になることが期待できるといえますね。
こちらで受けられるリハビリテーションの特徴を教えてください。

リハビリテーション室は広々とした明るい空間で、ウォーターベッド、各種電気治療器、温熱治療器、リラクゼーションの機械など、設備は十分に備わっています。診察後、医師は理学療法士に、書類だけでなく口頭でも細かく要点を指示し、理学療法士はその内容に従ってリハビリテーションメニューを組み立て、運動療法をメインに物理療法でさらなる回復をめざします。また通常のリハビリテーションの他に、ロコモ度テストの結果に応じて、医師と理学療法士が協力してロコモーショントレーニングを行うこともあります。骨と筋肉を鍛えられるよう導き、ロコモティブシンドロームを防ぐための運動です。年齢を重ねて筋力の低下を感じたり、運動機能に不安を感じたりする方は、ぜひ気軽にロコモ度テストを受けにいらしてください。
多角的に患者を支える、地域のよろず診療所
他にも得意とする分野はありますか?

先ほども挙げた骨粗しょう症と、スポーツ整形外科です。これは私と同時に当院の診療に加わった原田遼先生も同じです。私も原田先生も骨粗しょう症に関する勉強会で専門知識を深めてきましたし、アスリートの体の動きを熟知してスポーツ整形外科に取り組んでいます。「運動の際に痛みを感じる」「体が動かしにくい」といったことを、ぜひご相談いただければと思います。私自身、休日にスポーツを楽しんでいますが、やはり学生の頃とは体の動きが変わりました。大人が体を動かすためには柔軟性が必要です。年齢を重ねれば程度の差はあれ柔軟性は衰えるものですが、関節可動域を広げるためにもリハビリテーションは有用ですね。
先生はどのようなスポーツをされているのですか?
野球、ボクシング、ゴルフなどいろいろとチャレンジしてきましたが、今はゴルフを楽しむ機会が増えています。その中でもゴルフのスイングで肘や腰を痛める方も多いです。アマチュアゴルファーとして、また整形外科の医師として、自身もスポーツをしている経験を生かして、技術も体もサポートできるような活動ができたらと考えることもあります。いずれ実現できたらうれしいですね。
今後の展望をお聞かせください。

これから中心となっていく世代にも目を向けていきたいと考えています。この辺りはご高齢の方が多く、予約が不要で診療にオンラインを取り入れていないことが、むしろ「通いやすい」というメリットにつながっています。ですがこれから時代が進めば、患者さんの求めるニーズも変わってくるでしょう。当院、また法人全体で、患者さんと時代が求めるスタイルに柔軟に進化していきたいと思っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
当院のこれまでの歴史や地域との信頼関係を大切にしながら、できる範囲を少しずつ広げています。超音波検査装置の活用もその一環です。骨粗しょう症やリウマチなど、私が積み重ねてきた専門知識を地域医療に生かしていきたいと考えています。当院は、いつでも気軽に相談できる地域のよろず診療所です。整形外科疾患は幅広く対応していますので、気軽に相談いただいたり、情報収集の場としてもご活用ください。