保田 靖 院長の独自取材記事
MFデンタルクリニック
(千葉市中央区/千葉中央駅)
最終更新日:2025/07/24

“患者に寄り添う医療”をモットーに、2004年に開業した「MFデンタルクリニック」。千葉中央駅から徒歩4分の好立地にあり、歯科・小児歯科・矯正・口腔外科まで対応する総合歯科として、地域の健康を支えている。法人名の「ともしび会」は、患者が口腔の悩みを抱えて苦しい時に思い出してもらえる、道しるべのような存在でありたいという想いから名づけられたという。保田靖(やすだ・たつる)院長に、診療に対する姿勢やチーム医療への考え、スタッフ教育、そして地域医療への展望について話を聞いた。
(取材日2025年6月17日)
歯1本単位でなく「1つの口腔」として総合的な治療を
どのような患者さんが来られていますか?

患者さんの年齢層としては、30代から50代の方が中心です。当院では、歯科、小児歯科、歯科口腔外科、矯正歯科と幅広い診療に対応しており、主訴の内容もさまざまですが、特に最近は定期検診を目的にご来院される方が増えていると感じています。歯科医院に通うことや歯科予防という意識が、日常の中にしっかり根づいてきているのだと思います。定期検診の際にも、過去の治療で入れた金属が劣化していたり、新たな虫歯が見つかったりすることもあるため、充実した検査体制を生かして丁寧に細かく診るよう心がけています。
治療を行う際に大切にしていることは何ですか?
歯1本単位ではなく、お口全体を「1つの口腔」として総合的に捉えた上で綿密な治療計画を立て、それを患者さんにわかりやすくお伝えすることです。初診時には、まず全体の状態を把握するために、口腔内の撮影、エックス線撮影、血圧・握力測定、歯周病の進行状況や歯周ポケットのチェック、骨の状態を確認する各種検査を行います。得られた情報をもとに、次回以降、3〜4枚にまとめた治療計画用の資料を患者さんにお渡しし、セカンドコンサルのスタッフを交えて、資料を見ながら「こちらの歯の痛みから治療しましょう」「歯周病への対応を優先しましょう」など、患者さんと相談します。資料には、例えば「根管治療」など専門的な処置についても、イラストを交えて歯の構造や神経の位置などが視覚的に示されています。患者さんからも「理解しやすい」と喜ばれており、ご自宅で読み返したり、ご家族と相談する時に使ったりしていただいているようです。
患者さんが理解・納得して治療に臨めるよう、さまざまな工夫をされているのですね。

当院が大切にしているのは、「診療を受けて本当に良かった」と患者さんに感じていただくことです。歯に痛みや不安を抱えて来院される患者さんに、診療を通じて少しでも笑顔になってもらいたいという想いを軸に、日々の診療に誠意を持って取り組んでいます。患者さんの生涯の歯科医療費を抑えるためにも、行き当たりばったりの処置ではなく、将来を見据えたトータルな治療計画が欠かせません。例えば、あらかじめ歯や口腔状態の変化を予測できていれば、インプラントの本数を抑えたり、矯正を早めに提案したりすることで、結果的に治療費を抑えることも望めます。「削って終わり、抜いて終わり」ではなく、10年後、20年後を見据えた口腔管理を患者さんとともに築いていくことが、私のめざす歯科医療です。
勉強会での情報共有と学びが、チーム診療の質を高める
チーム医療としてスタッフ教育に力を入れているとか。

土曜の午後は歯科衛生士を中心に歯周病の治療や定期検診を行っており、私はスタッフ教育の時間に充てています。新人スタッフにはカメラ撮影の練習や接遇講習を行い、基本からしっかりと学べる環境を整えています。また、毎週金曜日には1時間の院内勉強会を実施し、月に1度は外部講師を招いて新しい知識やスキルを吸収する機会も設けています。勉強会では新規患者の情報や、長く通っている患者さんの最近の変化、服用薬の内容、治療への希望・不安などを共有し、チームとしての理解を深めています。スタッフは12人ほどと小規模ながら、お互いに気軽に話し合える雰囲気があり、和気あいあいとコミュニケーションしています。
スタッフの勉強会を始めたきっかけは?
スタッフ間や患者さんへの情報伝達不足や「言った・言わない」といった行き違いをなくしたいということが勉強会を始めたきっかけです。勉強会を通じて患者さん一人ひとりの情報をチームで共有することで、そうした曖昧さが大幅に減りました。また、例えば「減菌・消毒」について外部講師を招いて再確認するなど、基本的な内容にもあらためて取り組んでいます。一度習得したつもりでも、時間がたつと自己流になっていたり、思い込みや誤解があったりするので、非常に学びの多い貴重な時間となっています。以前は、セカンドコンサルを担当するスタッフだけが私から直接説明を受けていましたが、ほかのスタッフはその内容を知らず、情報が分断されていました。現在では、患者さんの背景や治療状況がある程度把握でき、無駄な説明や確認のやりとりも減り、業務の効率化につながっています。
スタッフの活躍で印象に残っていることはありますか?

当院では、スタッフ一人ひとりが自分の役割に誇りを持ち、積極的に診療を支えてくれています。中でも印象的なのは、アシスタントスタッフの活躍です。治療の効率を高めるため、当院のアシスタントは一般的な歯科医院よりも広い役割を担っています。例えば根管治療の際には、通常歯科医師が行うファイルという歯科用のやすりの長さ測定をアシスタントが担当しています。そのおかげで私は治療に集中することができ、スムーズかつ精密な処置が可能となります。こうした信頼関係があるからこそ、スタッフに任せることができ、チーム全体として高い診療レベルを保つことができているのだと思います。
体の健康にも着目。管理栄養士による栄養アドバイス
イベントなども多く開催されているそうですね。

院内イベントとしては、例えば健康診断の日は、終了後スタッフ全員でバーベキュー大会を開くのが恒例です。前日からの食事制限の反動もあり、みんなで食べる食事は格別においしく感じられます。年末には全員で大掃除を行い、院長の私が率先して動いていますので、スタッフもさぼることはできません(笑)。掃除の後には、近所のうなぎ屋さんで打ち上げをします。外部向けのイベントでは、開業祭や夏祭り、クリスマス、ハロウィーンのイベントを行っており、スタッフは法被(はっぴ)やサンタの衣装などでちょっとした仮装しながら診療を行います。開業祭では、患者さんのお子さんが「歯医者さん体験」としてお母さん、お父さんの歯を電動歯ブラシで磨くなど、親子で楽しめる企画も好評です。スタッフの家族や私の家族もイベントに参加し盛り上げています。こうした取り組みは、スタッフの一体感を育み、スタッフにも患者さんにも楽しんでいただいています。
先生自身も楽しんで取り組まれていることが伝わってきます。
院長の私の診療方針をいかにスタッフに共有して、いかにクリニック全体の診療方針にしていくかということは常に考えています。そのため、イベントだけでなく、日頃から私自身が率先して動くことを何よりも意識しています。例えば、足の悪い患者さんをお見送りする、業者さんにお茶を出す、といったこまやかな対応も、最初は私からお願いしていましたが、今ではスタッフが自発的に行ってくれるようになりました。そうした行動の根底には「相手の立場に立つこと」があり、これは私が常に伝えている価値観です。患者さんは短い診療のために、準備や移動に何倍もの時間をかけて来院されている。その貴重な時間を無駄にしないためにも、来院されてから帰られるまでを中身の濃いものにしようとスタッフに言い続けています。
今後の抱負をお願いします。

歯科医院を「当たり前に通う場所」としての意識を皆さんに広めていきたいと考えています。そのため、SNSやインターネットの動画共有サービス、ブログによる情報発信や、地域イベントの開催を通じて、少しでも多くの方に歯の大切さを伝えています。まずは地域から、そしてゆくゆくは全国へと啓発を広げていきたいと思っています。また、管理栄養士による栄養に関するアドバイスにも取り組んでいます。栄養の仕組みを知り、食生活を見直すことで、健康の土台から歯や口腔状態を支える意識づくりをしていきたいと考えています。将来的には、歯科に限らず、内科や耳鼻咽喉科なども含めた「1つのビルで完結する小さな総合病院」のような医療拠点をつくり、開業医のチーム医療によって地域の健康を包括的にサポートする場を実現することが夢です。
自由診療費用の目安
自由診療とは成人矯正/92万4000円~、インプラント/49万5000円~