大成 浩征 院長の独自取材記事
大成整形外科
(交野市/交野市駅)
最終更新日:2025/05/14

京阪交野線・交野市駅に直結するビルの2階にある「大成整形外科」は、整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科を標榜する医院。駅舎の2階にある改札から、階段の上り下りをせずにアクセスできる便利な立地が特徴だ。院内には、診察室の他、骨密度測定装置を備えた検査室や、広々としたリハビリテーション室があり、看護師や理学療法士などのスタッフが働いている。院長を務めるのは、市立岸和田市民病院や星ヶ丘医療センターなどで、数多くの脊椎外科手術を手がけてきた大成浩征(おおなり・ひろゆき)先生。2007年の開業以来、腰痛や関節痛を訴える高齢者や、スポーツでケガをした小中学生など、さまざまな症例に対応してきた大成院長に、診療に対する考えやクリニックの特徴について話を聞いた。
(取材日2025年4月18日)
地域の基幹病院に勤め、外科手術など多彩な経験を積む
医師を志したきっかけを教えてください。

大それた出来事があったわけではないので、少しお恥ずかしいのですが、きっかけは曽祖母です。明治生まれの曽祖母は私をかわいがり、よく面倒を見てくれました。そんな曽祖母が「この子は利発だから、医師にさせなさい」と周りに言う姿を見て、医師になることを意識するようになりました。医科大学に進学して診療科を選択する時は、内科と整形外科で迷いました。最終的に整形外科を選んだ理由の一つは、自分がスポーツをしていたからです。学生時代の私はラグビー部に所属しており、試合中や練習中にケガを負って整形外科のお世話になることが日常茶飯事でした。最も身近で、もっとも肌に合うと感じた整形外科を、自分の専門分野にすることに決めました。
開業するまでに、どのような経験を積まれましたか?
大学を卒業後は、市立岸和田市民病に勤務しました。その後、星ヶ丘医療センターと関西医科大学香里病院で経験を積み、一度母校の大学に戻って助手を務め、さらに大学の付属病院に出向して働いた後、2007年に当院を開業しました。どの職場でも非常に優秀な上司に恵まれ、本当にたくさんのことを教わりました。特に印象に残っているのは、最初に勤めた市立岸和田市民病院での経験です。指導していただいた先生からは、発表される研究成果や、最新の論文から学ぶことの大切さを教わりました。経験を重ねることは言うまでもなく重要なことですが、自分自身の限られた経験だけで物事を判断してはいけません。研究発表や論文を通して、絶えず新しい知識や多様な考えを吸収し、学術的な論理に則って状況を見つめる必要があります。そんな整形外科医としての基本の姿勢を、最初の職場で築くことができました。
交野市に医院を構えた理由を教えてください。

理由は、整形外科医として長年この地域で活動を行ってきたからです。約5年間勤めた星ヶ丘医療センターは、このエリアの基幹病院です。約8年間勤めた関西医科大学香里病院は、隣の寝屋川市が拠点です。関西医科大学で助手を務めた時代には、非常勤の医師として交野病院で働かせていただいたこともありました。そのような経歴から、開業を考えた時、最もなじみのある地域として頭に浮かんだのが、交野市だったのです。「つながりのある医師や医療機関が多いから、きっと連携が取りやすいだろう」。「担当させていただいていたことがある患者さんも、無理なく通院していただけるかもしれない」。そんなことを思って、交野市駅直通のビルに医院を構えることにしました。交野市のイメージは、「地域愛の強い人が多い」です。就職などで一度市外に出ても、戻ってくる人が多いように思います。暮らす人を惹きつける魅力が、この土地にあるのでしょうね。
一人ひとりの暮らしや思いに合わせた治療をめざして
診療をする上で、大切にされていることを教えてください。

どの診療科もそうかもしれませんが、特に整形外科は患者さんのバックグラウンドを知ることが大切だと考えています。例えば、同じ捻挫でも、スポーツ選手と高齢者では、治療の目的や内容が異なります。前者は競技への復帰をめざす治療になり、後者は生活の質を保つことをめざす治療になるでしょう。また、同じ高齢者の捻挫でも、一人暮らしをしている人と、同居家族のサポートが見込める人では、状況が変わってくるはずです。患部だけを見ていては、適切な治療はできません。患者さんの年齢や職業、生活環境、ご家族の考え、ご本人の希望など、できるだけたくさんの情報を収集した上で診療にあたるのが理想です。診察の際は、痛みの程度や症状の経緯だけではなく、普段の生活や今後の目標などについても詳しく伺うようにしています。
どのような症状を訴える人が多いですか?
当院は、整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科を標榜しています。患者さんの8割が高齢者ということもあり、加齢による膝、腰、肩の痛みや、リウマチによる関節痛などで来院される方が多いですね。次いで多いのは小学生や中学生。こちらはスポーツ外傷が主になります。私は、開業前の勤務先では脊椎外科を専門にしており、脊椎や頸椎の除圧術、あるいは固定術などの手術を数多く扱ってきました。ですから、脊椎の外科手術に関しましては、詳しい説明やアドバイスができるかと思います。ご要望があれば、エックス線検査の画像から判断できることや、手術によって改善が期待されることをお伝えした上で、その方にとって何が最適な選択かを一緒に考えます。手術をするかどうかで迷っておられる患者さんがいらっしゃいましたら、どうそご相談ください。
医院の理念を教えてください。

理念として決まった言葉を掲げているわけではありませんが、一緒に働くスタッフには「治療を行うのは医師だけではない」ということを伝えています。私は、看護師はもちろん、リハビリテーションや事務を担当する職員にも、「治療に携わっている」という意識が必要だと考えています。例えば、患者さんの中には、「痛い」「つらい」という気持ちを周りに理解してもらえず、落ち込んでいる方もいます。そんなとき、医院のスタッフから「お大事にしてください」と優しく声をかけられたり、話を聞いてもらえたりしたら、救われた気持ちになるかもしれません。そして、それは症状の改善につながる可能性もあるのです。スタッフ一人ひとりが治療に携わっているという自覚を持ち、責任を持って患者さんと向き合う医院であることをめざしています。
理想は、自力で歩き続けること。運動を毎日の習慣に
地域の健康づくりについて、考えておられることを教えてください。

私は、「自分の意思を持って、行きたい所へ行きたい時に行ける」ということは、人が生きる上で最も大切なことの一つだと考えています。ですから、今自分の足で動くことができる人は、運動などを通して、運動器の機能低下を予防していただきたいです。30代や40代の方は忙しく、時間をつくるのが難しいかもしれません。それならば、通勤時に1駅分歩くとか、バスや電車ではなく自転車で移動するとか、まずはそんな無理なく取り組める範囲で構いません。少しずつでも運動習慣をつけてもらえればと思います。
今後の目標を教えてください。
地域の中で、ロコモティブ症候群を防ぐ活動がしたいと考えています。手始めに、理学療法士が指導する体操クラスを立ち上げました。今後もいろいろなかたちで情報発信や働きかけを行い、微力ながら地域の健康に貢献できればと思います。
読者にメッセージをお願いします。

患者さんから、「インターネットで見つけた治療法を実践している」や、「配信サイトの動画を見ながら体操をしている」といったお声を聞くことがあります。情報収集をすること自体は悪いことではありませんが、それがあなたに合う治療法・リハビリテーションとは限りません。間違ったことを実践することで、症状が悪化する恐れもありますから、どうぞご注意ください。どうしてそのような症状が出ているのか、どのような治療が最適なのかは、専門家にしかわかりません。自分のことは自分が一番知っていると思いがちですが、実はそうでもないのです。症状が出たときは、自分で判断せず、自己流の治療法でごまかさず、どうか私たちにご相談ください。あなたにとって一番良い治療法やリハビリテーションを、一緒に考えたいと思います。