佐々木 研一 理事長、福澤 幸子 先生の独自取材記事
佐々木歯科・口腔顎顔面ケアクリニック
(館山市/館山駅)
最終更新日:2021/10/12
JR内房線・館山駅から車で約8分の「佐々木歯科・口腔顎顔面ケアクリニック」は、歯科口腔に関するさまざまな疾患・外傷に対応する歯科医院。平日には転倒やスポーツによる外傷の救急治療にもあたっている。口腔がんや神経麻痺など全身麻酔で行う専門性を要する手術を行う一方、虫歯や歯周病治療、小児歯科や矯正歯科まで、口の周辺のトラブル全般にも対応する。理事長の佐々木研一先生は「地元の館山に大学病院とほぼ同じレベルの歯科治療を提供したい」と考えて2004年に開業。今では訪問歯科部門も立ち上げ、地域医療に貢献している。佐々木理事長には同院のコンセプトを中心に、そして今年4月から院長代理となった福澤幸子先生には現在の診療内容について話を聞いた。
(取材日2021年4月6日)
館山でも先進の歯科治療が受けられる歯科医院に
まずこちらのクリニックの概要から伺います。
【佐々木理事長】開業して18年目となる歯科口腔疾患の全般に対応するクリニックです。私は開業するまで鴨川にある「亀田総合病院」の歯科口腔外科部長を務めていまして、当時館山の患者さんは、口腔外科的な処置が必要となればわざわざ鴨川まで手術を受けに行かれていたものです。「地元にもそんな医療施設があればいいな」と常々考えていたことが、この地に出院した理由です。2つの個室病床を設けているのも、口腔がんや顎骨骨折、神経修復手術の後に地元でリカバリーできるよう、患者さんの利便性を考えた結果です。大学病院など規模の大きな施設以外に、個室有床で全身麻酔を伴った手術ができる歯科施設は全国的にも珍しいかと思います。また、臨床研修歯科医師を毎年受け入れていることも特色です。
院内に入るとわかりましたが、大勢のスタッフさんがいらっしゃるんですね。
【佐々木理事長】全職員合わせると45人、歯科医師では口腔外科・麻酔歯科・小児歯科・矯正歯科など非常勤も含めて16人が診療しています。全員が高い専門性を有する口腔科学者でして、一人の患者さんに対して分野の垣根なく、チームで医療にあたる体制となっています。例えば大学病院では補綴や歯周病、骨造成、摂食嚥下など専門分野がそれぞれ分化して対応する体制なので、専門部署間を横断して1人の患者さんをトータルにキュア&ケアすることがなかなかできにくいものです。当院ではそれをチーム医療でやっていることが一つの特色といえるでしょう。また、歯科衛生士は19人在籍していますが、その中には歯科助手やクラーク的な役割を兼任するスタッフも2人配置し、人材面でも質にこだわった医療が提供できる体制を築いています。
訪問歯科診療に力を入れているのも大きな特色だと感じます。
【佐々木理事長】訪問診療は開業当初から行っていますが、近年には重点項目として熱心に取り組んだ結果、当初は外来に比べて1%程度だった件数が今では10%近くまで伸びてきています。加齢により当院まで通えなくなる方も増えていくでしょうから、今後も訪問には力を入れていく予定です。
【福澤先生】館山周辺では積極的に訪問診療を行っているクリニックは少ないですが、地域の高齢化率は高く、需要はまだまだ高いですから、当院では昨年より訪問診療の車両も1台追加して3台にするなど力を入れています。なお、訪問エリアは南房総市や鋸南町も含みます。
通院できず困っている患者を訪問歯科でサポートしたい
1日あたりの訪問件数も教えてください。
【福澤先生】昨年からは3チーム体制で運営するようになりました。件数としては3チーム合計で1日10~15件、移動もあるので1チームあたり5~6件ですね。疾患としては虫歯治療や入れ歯の調整などですが、ご自身やご家族だけではブラッシングのケアも難しいというケースがほとんどです。そのため当院では歯科衛生士だけの口腔ケア専門チームも一つ設けています。治療や診断が必要な場合は、歯科医師と歯科衛生士と看護師の3人がほかの医療科と連携し、必要に応じて採血を行うこともできます。
訪問歯科の「やりがい」はどんなところで感じますか?
【福澤先生】やはり「来てくれて助かった」と患者さんだけでなくご家族にも喜ばれることですね。というのも、対象となる方は重度の認知症や脳神経麻痺、交通事故の後遺症など、訪問診療がないと本当にお困りの方々が多いのです。実際、お口の中は虫歯の治療後に20~30年たって冠が外れていたり、歯そのものも歯周病などで傷んでいたりですが、それらを治療するだけでなく、入れ歯の型採りや虫歯の治療も自宅で行いますので治療にはそれなりの技術と経験が求められます。患者さんはクリーニングを含め定期的な口腔ケアを図ることで、誤嚥性肺炎をある程度防ぐことができます。お口の中がスッキリすると皆さんうれしそうで、その笑顔を見るたびにスタッフもモチベーションを上げていますよ。
一般歯科の内容についても教えてください。
【佐々木理事長】外来は一般歯科が7割、専門的な治療が3割の比率です。専門性を持つ歯科医師が集まったクリニックとはいえ、地域に根差した医療提供が大切ですからね。当院の臨床研修歯科医師たちも、自身の開業後には一般歯科の治療内容が求められますから、専門性を持ちながら虫歯や歯周病治療もしっかりとやっていこうというスタンスです。
【福澤先生】虫歯、歯周病治療が多いですが、インプラントや親知らずの抜歯などの治療も結構あります。高齢者が多いので、入れ歯治療も多いですね。小児歯科や矯正歯科は専門の歯科医師が定期的に診療日を設けて診ています。また院内には歯科技工士が常駐しているので、かぶせ物が外れた際に飲み込まないよう、防止のために医療用の糸つきの技工物もその都度作っています。かぶせ物などの補綴物の製作では導入しているCAD/CAMシステムを使えば、あまりお待たせせずに装着することも可能です。
もう一歩踏み込んだ地域医療への貢献をめざす
診療領域がとても幅広いですが、最近多い疾患などありますか?
【福澤先生】院内で診察から治療まで行っている疾患で多いのは顎関節症です。60~70代の方で噛み合わせが悪くて発症するケースと、ストレスから噛み締めが強くなって発症など、さまざまな要因があります。例えば大きなものを食べようと口を開けすぎたことが原因で起こる急性顎関節症は、早急に治療を行えば症状が長引くことはほぼないでしょう。しかし噛み合わせが原因で起こる顎関節症は治療を継続しないと会話や食事にも困るようになりますので、ひどくならないうちに適切な治療を受けてほしいですね。
福澤先生がこれから取り組んでいきたいことは何ですか?
【福澤先生】摂食嚥下の機能回復をもう一歩深めることです。訪問診療でも少しずつ症例を経験してきているところです。当院は今、訪問診療でもVE(嚥下内視鏡)検査を行っています。訪問でもVE検査ができる体制になっているので、患者さんの嚥下機能の回復にも寄与できますし、皆さんにより安心して過ごしてもらえるよう、力になりたいですね。今後さらに言語聴覚士がスタッフに加われば、消化器内科の先生とともに一貫した治療も可能ですから、その体制を早くつくりたいと考えています。
最後に、今後の抱負について伺います。
【佐々木理事長】私も70歳近いので、診療や手術の最前線は若い先生たちに任せて、自分はより教育に力を入れていこうと考えています。臨床研修歯科医師や歯科衛生士など、次の世代を育てることは地域医療にも貢献することですし、南総エリアの医療体制を厚くすることで地域の皆さまの健康維持を引き続きサポートしていく考えです。大学では顎顔面から鼻腔内、口腔内、摂食嚥下までさまざまな病気の治療を教えていますが、普通の歯科医院でその学びを実践に生かす場はあまりありません。当院では歯科大学で習うすべての疾患を扱い、さらに訪問歯科も行っています。それらの臨床の技術と経験を積んで専門性を持ってもらいながら一般歯科の治療も担当することで、どんな疾患にも対応可能な、全人的な診療ができる歯科医師となることができます。地元はもちろんですが、そうして育った歯科医師がいずれ地域医療を支えてくれればというのが私の願いです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/38万5000円~
矯正歯科/82万5000円~、小児矯正/38万5000円~、
CAD/CAMシステムによるオールセラミッククラウン/8万8000円~、
CAD/CAMシステムによるオールセラミックインレー/5万5000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。