薬に頼らない糖尿病治療
経済的・身体的負担の軽減を図る
福津内科クリニック
(福津市/福間駅)
最終更新日:2023/10/17


- 保険診療
代表的な生活習慣病の一つである糖尿病。高血糖の状態が続くとさまざまな合併症を引き起こすため、早期に治療に入り、血糖のコントロールを図ることが大切だ。しかし、糖尿病自体は初期における症状が乏しいため、自分では気づかない人も多い。糖尿病の治療を専門的に行う「福津内科クリニック」でも、糖尿病患者の約8割が健康診断での指摘をきっかけとする来院だという。日本糖尿病学会糖尿病専門医である同院の市川晃治郎院長は、積極的に新しい治療方法や検査機器を導入する一方で、できるだけ薬に頼らず、食事や運動に関するアドバイスで症状を改善に導くことを重視している。同院で行っている無理なく続ける糖尿病治療の特徴や、患者が心がけたいことなどについて市川院長に聞いた。
(取材日2023年5月11日)
目次
放置すれば重篤な合併症も引き起こす糖尿病。全身状態にも目配りし疾患の早期発見に努める
- Q糖尿病とはどのような病気ですか?
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A
▲日本糖尿病学会糖尿病専門医である市川院長が診療にあたる
1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などに分けられます。1型は血糖をコントロールするインスリンの分泌が極端に低下する状態で、子どもの患者さんも多いです。2型が一般にイメージされる糖尿病で、食生活や運動不足などの生活習慣が主な原因となります。血糖値が高い状態が続くと、さまざまな合併症を引き起こすので、早期に治療を始めることが重要です。自覚症状としては、喉の渇きや体重の減少などが挙げられます。糖尿病というと太り気味の方が罹患すると思われがちですが、痩せているのに糖尿病だったというケースも多くあります。さらに、初期の段階ではほぼ無症状ですので、早期発見のためにきちんと健康診断を受けることが大切です。
- Qどのような治療を行うのでしょうか。
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A
▲新患の場合は、まず栄養士の食事指導を受ける
血液や尿などの検査を行い、治療方針を立てます。当院では、生活習慣が主な原因となっている場合は、できるだけ薬に頼らず、食事療法や運動療法を行っていきます。たとえいい薬を服用しても、生活習慣に問題があれば思うような効果が期待できず、薬の量を増やしていかざるを得ないからです。さらに症状が進めばインスリン注射による治療が必要となります。そうなると、患者さんの身体的、経済的負担は大きくなってしまうでしょう。当院では、管理栄養士が、カロリーを抑えつつも満足感が得られるような調理方法や外食時のメニューの選び方などをアドバイスします。早期に治療を開始すれば、こうした食事療法で症状の改善をめざすことができます。
- Q糖尿病治療において重要なことは何ですか?
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A
▲同院では予約システムを取り入れ、待ち時間の削減に努めている
糖尿病は完治するものではなく、コントロールを図りながら付き合っていく病気ですから、通院をして検査を受けていただくことが何よりも大事です。当院では、耳たぶから血を一滴取るだけで検査できる機器を導入したり、予約システムを導入して待ち時間の削減に努めたり、患者さんが来院しやすいクリニックづくりを心がけています。症状に応じて1~2ヵ月に1度の来院をお願いしていますが、忙しくて通院間隔が空いてしまったり、食事の管理がきちんとできなかったりして、行きづらいということもあるでしょう。当院では、患者さんを非難するようなことはいたしませんので、気兼ねなくお越しいただければと思います。
- Q通院せず糖尿病を放置すると、どんなリスクがあるのでしょう?
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A
▲ドロップアウトを防ぐため、治療の重要性などを伝えている
糖尿病自体は、痛みなどの自覚症状が乏しいため、放置してしまう方が少なからずいらっしゃいます。糖尿病で怖いのは合併症です。放っておくと糖尿病性網膜症が進行して失明したり、糖尿病性腎症で人工透析になってしまったり、あるいは、脚の血管が詰まって最終的には脚を切断というケースも多くあります。心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まります。ですから、糖尿病の治療は血糖値を下げるだけでは不十分で、全身の状態に目配りすることが大切です。また、同じ60歳の糖尿病の患者さんでも、50代で発症した方と30代で発症した方では、合併症の進行の仕方も全然違います。罹患している期間が長い人ほど注意が必要です。
- Qこちらのクリニックで受けられる治療の特徴はありますか?
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A
▲先進の機器を取り入れ、患者の状態が悪化しないよう注意している
当院では、センサーを腕に取りつけて持続的に血糖を測定できる機器や新しいインスリン注射器など、進化していく糖尿病治療方法を積極的に取り入れ、患者さんに提供しています。糖尿病は腎疾患や循環器疾患、感染症など、全身の疾患と深く関係があります。私は、糖尿病を治療するには病気に関する幅広い知識が必要とされることにやりがいを感じ、糖尿病の分野で研鑽を積んできました。患者さんの状態によって眼科や循環器内科の受診を勧めるなど、考え得る合併症を常に考慮し、いろいろな疾患の初期症状を見逃さないよう注意深く診療しています。