内視鏡検査も「継続」が大切
かかりつけ医のもとで定期的な検診を
医療法人 松嶋内科クリニック
(福岡市中央区/赤坂駅)
最終更新日:2024/10/24
- 保険診療
以前は胃・大腸の内視鏡検査はきつい、というイメージが強かったが、クリニック側のさまざまな工夫によって現在では検査を受ける人もかなり増えてきた。その一方でまだ一度も受けていない人や、一度受けたきりでその後の検査予定がない人も多い。「松嶋内科クリニック」の松嶋祐院長は、福岡大学筑紫病院などで数多くの内視鏡検査を行ってきた「胃と腸の専門家」。現在は赤坂エリアを「かかりつけ医」として見守る立場にあり、その中で患者一人ひとりの体調や生活の様子に耳をすませながら丁寧に検査を行っている。「内視鏡検査も『一度受けてみよう』から『定期的に受けましょう』に段階が上がっているようです。ぜひ定期的な検査でご自分の健康を守ってほしいですね」と朗らかに話す院長に、内視鏡検査を受けたい症状や年齢などについて話を聞いた。
(取材日2023年4月11日)
目次
病変を発見しやすく、治療もしやすい胃・大腸の内視鏡検査。継続的な検査を意識し、自分の体を守ってほしい
- Q内視鏡検査はどんな方が受けるべきなのでしょうか?
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A
まず一度も内視鏡検査を受けたことがない方です。40歳で一度受けておくと安心です。初回検査で胃や大腸の状態を把握し、生活歴や家族歴、基礎疾患などをふまえ、今後の検査方針を提案します。最近内視鏡検査を受けたことがない方は減りましたが、時に自分は無症状なので受けなくていいという方も。しかし、症状が出てから検査を受ける場合、進行がんなどの深刻な病変が見つかる頻度も増し、「もう少し早く検査を受けていれば」と思うことが何度もあります。まずは無症状のうちに内視鏡検査を受け、自身の胃と腸の状態を知り、その後適切な間隔で検査を受ける。そうすれば、致命的な胃がんや大腸がんの多くは回避できる事を知って頂きたいです。
- Q検査を受けたほうがいい症状などはありますか?
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A
胃の痛み、食事のつかえ感、慢性的な便秘や下痢、血便などの症状のある人は内視鏡検査を受けてください。胃がんの原因となるピロリ菌の有無を調べる胃がんリスク検診(ABC検診)は、20代などの若い方にも受けていただきたいですね。お酒をよく飲む人で、顔が赤くなる人や喫煙をする方は咽頭がん・食道がんのリスクが高いため、バリウム検査よりも内視鏡検査を選んで、喉や食道も注意して検査してもらいましょう。早期発見、特にがんの場合はほとんどが無症状です。症状の有無に関わらず、定期的な検診が重要です。検査を受けた際には必ず次の検査の時期を医師に確認してください。お一人お一人に適した検査を継続してほしいと思います。
- Qこちらで行う内視鏡検査の特徴を教えてください。
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A
小さな医院なので、1日の検査数も限られます。その分、一例一例時間をかけ丁寧な検査を心がけています。もちろん鎮静剤を使わない方法も可能ですが、基本胃・大腸内視鏡検査どちらも鎮静剤を使用するので、眠っているような状態で検査を受けれます。胃腸を膨らませる際は通常の空気より吸収されやすい二酸化炭素を使用するので、検査後のおなかの張りも軽減されます。また胃では経口検査のみに対応していますが、経鼻用の細いスコープを使用するので楽に受けて頂けると思います。内視鏡機器の性能にこだわると同時に、患者さんが楽に受けられる環境を用意し、「数年後もきちんと検査を受けよう」という意識につなげて行きたいと考えています。
- Q内視鏡検査も「継続すること」が大事なのですね。
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A
残念ながら検査の精度は100%ではありませんし、稀に急に進行する病変もあります。しかし、前述した通り、胃や大腸は定期的に内視鏡検査を受ければ、致命的な病変の多くを回避できます。大腸がんの多くは、大腸ポリープが10年以上かけがんへ変化すると言われています。逆に言えば、ポリープががんになるまで10年以上の猶予期間があるのです。その間検査を受け、ポリープを切除してしまえば良いわけです。大腸内視鏡は今だに敬遠されがちですが、検査と治療を同時に行えるので、受ける価値が非常に高い検査と言えます。年に1日内視鏡検査のために仕事を休む事になっても、将来の健康な時間を得るためと前向きに考えて頂きたいです。
- Q患者さん一人ひとりを大切に検査されているのですね。
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A
勤務医時代は内視鏡検査を専門としていましたが、ここは街中にあるクリニック。さまざまな世代、症状の方がいらっしゃいます。腹痛一つにしても、心筋梗塞からアニサキス症、性感染症やストレスなど多岐に渡ります。その中で私が大切にしているのは、患者さんのお話を丁寧に伺い隠れたヒントを見落とさないことと、求めている事をしっかり把握することです。中には検査や治療が重荷になる方もいらっしゃいます。そんな時は患者さんの意思を尊重し、状況に応じ柔軟な対応ができるよう心がけてます。病気を治すことが医師の仕事ですが、かかりつけ医として医療を通じ患者さんの生活の手助けができれば、存在意義があるのではないかと考えています。