篠原耕作院長の独自取材記事

しのはら歯科クリニック

(厚木市／本厚木駅)

最終更新日：2021/10/12

本厚木駅前の大型商業施設内という便利な立地にある「しのはら歯科クリニック」。院長を務める篠原耕作先生は、一人ひとりの患者に真摯に向き合い、丁寧な診療を行う。診療時間外はセミナーに足を運ぶなど、歯科医師として努力を惜しまない。そんな篠原院長を慕い、連日老若男女問わず多くの患者が訪れる。その半数は治療でなくメンテナンスで来院するそうで、篠原院長が地域住民に尽くし、健康維持に貢献してきた様子がうかがえる。今回、篠原院長に歯科医師をめざしたきっかけから同院に至るまでの経緯、診療や患者にかける思いなど、話を聞いた。

（取材日2019年1月29日）

予防に注力し、地域住民の口腔内の健康維持をサポート
こまやかな気遣いで患者のささいな反応や変化に対応
めざすは安心感を届けられる地域のかかりつけ医

予防に注力し、地域住民の口腔内の健康維持をサポート

まずは歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

父が内科の医師、叔父が歯科医師でして、子どもの頃からその姿を見て医療関係の仕事に興味を持ち、歯科医師になろうと思いました。僕は当初特別手先が器用なほうではなかったので、歯学部に入ってから苦労したのを覚えています。人の倍、訓練を重ねた経験が、今となっては診療する上での糧となっており、苦労をして良かったと思いますね。僕は臨床が好きだったので、研修医を経て、その後一般の歯科クリニックで勤務しました。その時の院長は歯科医師として新米の僕に、勤務初日から患者さんを任せてくれ、その後もさまざまな治療を行うチャンスをくれました。例えば、そこはインプラント治療を行っていないクリニックだったのですが、患者さんがご希望されたので相談すると、僕にインプラント治療の勉強に行く機会をあたえてもらい、実際に治療を手がけることになりました。僕にとって思い出深い出来事ですね。

篠原先生がこちらのクリニックの院長に就任されたのが2017年だそうですね。

ここは以前「さくらい歯科」という歯科医院で、この地で30年以上診療しているクリニックでした。僕が開業しようと物件を見て回っていたときに、ちょうど当時の院長よりここで勤務するお話をいただいたのです。院内には予防を専門に行う診療室が3つあるのですが、今後歯科では予防に注力する必要があると考えていたので、その環境はまさに理想でした。そこで引継ぎのお話を受けることにし、さくらい歯科の副院長として勤めた後、2017年に院長に就任。それを機にクリニック名を改めました。ですから当院では予防歯科や歯を残す治療を診療の柱としながら、主に一般診療を中心に行っています。以前の勤め先の院長が口腔外科出身で、そこで培った経験を生かせるよう、根管治療に用いる機器をはじめ、必要な医療機器を新たに導入しました。審美歯科の診療経験もありますので、ご希望があればセラミックやジルコニア等を用いた補綴も行っています。

どのような患者さんがいらっしゃいますか？

僕がここで診療する前から通院している患者さんに加え、新しい患者さんも増えています。お子さんからご高齢の方まで幅広い患者さんがいらっしゃいますね。特に厚木市は、子どもの医療費助成制度により、子育て支援に力を入れていることもあり、お子さんの数が多いですね。主訴としては、患者さんの半分が予防歯科、つまりメンテナンスで来院されています。現在、土曜日の予防歯科の予約は取りにくく、3、4ヵ月お待たせしてしまっている状態です。当初より、この地域の患者さんのデンタルIQの高さを感じていましたが、診療を通して予防歯科の啓発を続けたことで、お口に関心を向けてくださる患者さんがより増えたように思いますね。患者さんに診療をお待たせしているこの状況をたいへん申し訳なく思いますが、日々の診療の積み重ねがこうして結果になって表れていることがうれしく、たいへんありがたく思っております。

こまやかな気遣いで患者のささいな反応や変化に対応

予防に注力するようになったのはなぜでしょうか？

さまざまな治療を行う中で、治療が必要になる前の段階での予防が、お口の健康を考える上で何よりも大切だと、改めて思うようになったからです。予防専用の診療室は個室ですから、タービンによるキーンとした歯科特有の嫌な音も聞こえにくくなっています。患者さんと密にお話しできる空間になっており、リラックスして受診いただけます。じっくりと患者さんのお話を伺えるよう、また治療が必要な場合、患者さんにとって何度も歯科医院に足を運ぶことは大変ですので、なるべく一度でできる限りの治療を行えるよう、当院ではあらかじめ診療時間をゆとりもって取っているのも特徴です。

患者さんに予防の意識を高めてもらうことは大変なのでは？

そうですね。ですから一通りの治療が終わってから、患者さんに予防の大切さというのを画像や図を用いて丁寧にご説明しています。また、クリーニングで歯がしみて痛みを感じる患者さんがいらっしゃれば、超音波機器を用いず別の処置を取るなど、各歯科衛生士が工夫をしてくれています。そうした患者さんの細かい反応や変化に対応できるよう、当院は歯科衛生士を担当制にしています。一人ひとりの患者さんに合った治療の提供が、患者さんの足を無理なくクリニックへと向かわせ、やがてそれが病気の予防、患者さんの健康へとつながっていると思いますね。

子どものうちから予防の意識をもつことも重要だと思いますが、小児の治療に関してはいかがでしょうか。

最近の親御さんは歯への意識も高いので、お子さんが小さい頃から通っていただいている傾向がありますね。小児歯科では主に歯磨き指導やクリーニング、フッ素の塗布など、基本的なことを行っています。お子さんの診療では、強引に診療をしてしまうと来院してくれなくなってしまいますから、お子さんのほうからお口を開けてくれるまで無理強いしません。大人か子どもか関係なく、まず患者さんと信頼関係をつくることを大切にしています。小さい頃から歯科医院に通う習慣がついていたほうが、長い目で見たときには通う負担も経済的負担も少なく済みますから、歯科医院に気軽に来ていただきたいです。僕自身も子どもがいるので、親御さんの気持ちもよくわかりますし、お子さんへの対応も比較的に慣れているほうだと思いますから、ご安心いただきたいですね。

他にも、診療する上で何か心がけていることはありますか？

一般診療を基本に忠実に丁寧に行うことに尽きます。患者さんが痛がっているならその痛みを軽減する努力をし、入れ歯が合わないならそれを調整する。当たり前ですが患者さんの希望にお応えすることを常に意識しています。それから、キーンとした音や、お薬の苦い味、黙って口を開けさせられて何をされるかわからない雰囲気など、患者さんが歯科から足を遠のく原因を逆の立場になって考え、それを解消できるように診療することを心がけています。

めざすは安心感を届けられる地域のかかりつけ医

お忙しいとは思いますが、休日はどのようにしてお過ごしですか？

休みの日はできるだけセミナーに参加し、普段から歯科診療にアンテナを張るようにしています。患者さんの声に応えられる歯科医師であり続けるには、地道な努力しかありませんからね。それ以外では、釣りが子どもの頃から大好きで。診療が終わるとその足で寝ずに千葉まで行くこともあります。それから、歯科医師会では野球部に属し、体力づくりにも励んでいます。

患者さんに口腔ケアについてアドバイスはありますか？

一昔前に比べて、最近はブラキシズムといって歯ぎしりや食いしばりによって歯がすり減っている患者さんが多く見られるのが気になりますね。マウスピースを作って防ぐこともできますが、日頃のちょっとした意識づけで変化をもたらすことができます。食いしばりというのは集中しているときや、重い荷物を持ったときに起こることが多いので、その際にご自身で注意したり、普段から上下の歯を接しないようにお口の状態を保つことを心がけるだけで、状態は大きく変わってきますね。

最後に今後の展望についてお聞かせください。

現在予約が取りにくく、患者さんにご迷惑をおかけしているので、予防専門の診療室をもう1部屋増やす他、院内をバリアフリー化する計画を立てています。今いらしている患者さんにより快適に受診いただけるよう、改良していきたいですね。診療については、患者さんが一生自分の歯でおいしくご飯を食べることができるよう、これからもそのお手伝いをしていきたいです。そして、この病院にかかっていればお口について安心、と思っていただけるような地域のかかりつけ歯科医院でいられるよう、今後も努力を重ねていきたいと思います。