菅井 健二 理事長の独自取材記事
医療法人社団聖カリスタス会 菅井歯科医院 鎌倉
(鎌倉市／鎌倉駅)
最終更新日：2024/10/11
鎌倉駅から徒歩8分。古風なたたずまいを残す街並みで、ひと際洗練されたフォルムを見せる「菅井歯科医院」を訪ねた。大理石で複雑に組み上げられた受付の壁面や全面ガラスで仕切られた診察室など、院内は高級ホテルのような質感に満ちている。アメリカで研鑽を積んだ菅井健二理事長は、終始おおらかで明朗闊達。その自信に満ちた口調には、安心して任せられる雰囲気がある。専門は歯周病とインプラント治療。「科学的根拠に基づいて、患者さんが納得するまで何時間でも何回でも説明します」という言葉からは、ゆるぎない信念が感じられる。クリニックのコンセプト、歯周病とインプラント治療の実際などを聞いた。
（取材日2014年12月19日／更新日2022年9月3日）
海外で腕を磨いた歯周病とインプラント治療の専門家
菅井先生は、開業されてから海外留学で研鑽を積まれたとお伺いしました。
日本大学大学院修了後、歯学部助手として務めた後、1990年に藤沢で開業しましたが、クリニックを任せられる人材が育ってきたため、私自身はニューヨーク大学の歯周病とインプラントの専門コースで学びました。また、ニューヨーク大学からの出向という形で、ルーマニアのブカレスト大学に行き、さまざまな経験を積みました。日本との間を行ったり来たりですから、足かけ3年くらいかかりました。次にテンプル大学でさらに専門性を高めて、最後は、ニューヨーク大学で師事した歯周病の専門家、ターナー教授の移籍先であるコロンビア大学で、インプラントのスペシャリストとしての教育を受けました。インプラント治療に関しては、やはりアメリカは大きく進んでいて、日本では経験できないような教育を受けることができました。
日本とアメリカでは歯科医療はかなり違いますか？
一言で言えば、システムがまったく異なります。そして米国は個人契約の社会なので、歯科医師も大きな責任を負うことになります。その患者さんを助けるためにどうすれば良いか、あらゆる手段を考えます。万一、うまくいかなければ、歯科医師の責任は重大です。そのために治療に見合った報酬ももらいますが、契約した以上はきちんと責任を果たすという考え方です。その環境で臨床医として治療に携わるには何よりも自信が必要です。自信は、知識に裏づけられた経験からしか得られません。
なぜ、鎌倉に歯科医院を開設されたのでしょうか？
鎌倉は、私の祖母が昔から住んでいて、私も幼い頃に暮らしていたことのあるなじみ深い街です。当院を開設したのは2006年ですが、ここは古くからの高級住宅地で、著名人もたくさん住んでいます。歯科医療に対しても、かなり難しい要望を出してこられることが多いですね。ただ、そうした高いレベルの医療を望んでこられると、私の場合は「それだけ力が発揮できる」とうれしくなります。一度、信頼関係を築くと、長く付き合っていただける患者さんが多いのです。世界を相手にビジネスをされている方もいますが、遠くは、海外、国内だと関西・東北から通って来られる患者さんもいます。
正確な診査・診断に努め、科学的根拠に基づく医療を
どのように患者さんとのコミュニケーションを図っていますか？
私は歯科医師も主治医であると考えています。ですから、予約のアポイントメントも1時間半くらい取って、歯科治療だけではなく、患者さんとさまざまな話をします。もちろん、そうした診療スタイルに合わない方もいます。歯科診療所の数はコンビニと同じくらいあるのですから、自分に合った診療スタイルの歯科医師を選べば良いと思うのです。私は、歯の健康に対する意識の高い方々のレベルの高いニーズに対して、持てる知識や技術をすべて発揮して、貢献していきたいと考えています。ですから、当院ではほとんどの方が紹介で来院されています。
歯科医師をめざした理由を教えてください。
私の4代前は現在の愛媛県今治市、伊予今治藩の口中医（こうちゅうい）でした。祖母は医師をめざして現在の聖路加国際病院で研修していましたが、時の院長の頼みで、現・日本大学歯学部の創設者・佐藤運雄先生が計画していた歯科大学設立に関わることに。その後、祖父母は小さな診療所「菅井口腔外科」を経営していました。1920年頃に法改正があり医科ではなく歯科を選択し、菅井歯科医院となりました。母の両親は内科と歯科の医師です。私自身は建築家になりたかったのですが、親の期待を考えると歯科医師という選択しかありませんでした。最初は大学の講義は面白くなかったのですが、その中で唯一、興味を覚えたのが歯周病学。目からうろこが落ちたような衝撃を受け、大学院に進むことを決意しました。日本大学の歯周病学教室は非常にレベルが高く、恩師や先輩にも恵まれました。そのときの恩師や先輩方に現在の私の基礎をつくっていただいたと思います。
貴院での歯周病の診療の流れをご説明ください。
まず、必要なことは正確な診査・診断です。患者さんにご自分の歯周病の正確なステージ（進行程度）となぜ歯周病に罹患したか、その原因を知っていただかなければなりません。最初に口の中の細菌検査と、ペリオドンタルチャートという8項目の検査を行い、客観的なデータで歯周病の進行状態や原因を示します。どんな細菌が原因で、どこが磨けていて、どこが磨けていないか、どこにどのくらいの病変があるか、それらが客観的な数字で表示されます。もちろん細菌検査画像、CTなども示して、目で見て納得してもらいます。歯周病は基本的には口腔の細菌感染症ですが、他の因子が重なっていることもあります。それらを総合して診断し、初期治療を実施します。
その後はどうするのでしょうか？
その後再評価し、必要であれば外科手術やインプラントを行います。「患者さんが抜いてくれと言うから抜く」のではなく、すべての治療は科学的根拠に基づいて治療方法をご説明し、納得して治療していただく方針です。納得していただけるまで、何時間でも何回でもご説明します。実際、話だけで終わる患者さんも多いですよ。メリット、デメリットも、リスクもすべてを理解した上で、患者さんに選択してもらわなければならないからです。理解していないのは、私たちの説明不足というしかありません。
いつまでも噛んで味わえるように、あらゆる手を尽くす
歯科医療に対する基本的な考え方をお聞かせください。
私たちは、歯周病治療が歯科医療の根幹をなすものだと考えています。歯周病で周囲組織がボロボロになってしまったら、歯が丈夫でも抜け落ちてしまいます。言い換えれば、虫歯の治療からインプラント治療まで、すべての歯科治療をQOLの向上に有効なものとするためには健康な歯周組織とその機能を維持することが絶対の要件となります。最近では、歯周病で失った歯根膜や骨などを、各種の生体材料を用いて再生させるための歯周組織再生誘導療法も取り入れています。ただし、それらが適応となる方は完璧な自己管理・終わった後の継続的なメンテナンスが約束される方のみです。そこが最も重要です。そこを、ぜひ理解していただきたいと願っています。
こちらでは、どのようなインプラント治療ができるのでしょうか？
インプラントに関しては重度に進行した歯周病患者の方などでは、インプラント治療の可否についての限界はあります。ですが、大学などとのネットワークを活用し現在ではかなりの難症例と考えられるケースも好成績を継続できていると思っております。その一方で、ますます天然歯（自分の歯）の偉大さに気がつくことが多くありますね。私はインプラントの専門家でもありますが、それでも一番良いのは自分の歯で食べることだと思います。食物を味わって食べることは、人間のアイデンティティーともいえる文化的活動の一つだと考えています。他方、インプラントは天然歯と同じではありませんが、義歯に比べると多くの項目でQOLの向上に貢献しているものだといえるでしょう。インプラント治療を行うことで、患者さんが食べたかったものが楽しんで食べられるようになるなど、そういう笑顔を見られたら一番うれしいですね。
お忙しいかと思いますが休日のリフレッシュ方法はありますか？
サーフィンと最近始めたテニスが趣味です。実は大学時代は山岳部だったんですが、自然を相手にすることが私にとって一番のリフレッシュ法なんです。絶対にかなわないものに畏敬の念を持つことで、心が素直になるんです。絵画やクラッシック音楽も好きです。診療室には好きな音楽が流れ、診療室の至るところに先代からのコレクションが多く飾られています。感性を揺さぶる作品に出会えるとうれしくなります。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療／一本64万円～、かぶせ物／15万円～
